東京モノレール700形電車
東京モノレール700形電車 | |
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基本情報 | |
製造所 | 日立製作所 |
製造年 | 1982年-1986年 |
主要諸元 | |
電気方式 | 第三軌条下面接触式、SCH-50-3型 |
編成定員 | 600名 |
車両定員 | 127名(座席15名、立席82名) |
自重 | 23.5t/両 |
全長 | 15,200 mm |
全幅 | 3,020 mm |
全高 | 4,350 mm |
車体 | 軽合金 |
台車 | 鋼板溶接構造 |
主電動機 | 日立製作所製 HS-514-Brb型 直流直巻電動機 |
主電動機出力 | 65 kW×4台/両[1] |
駆動方式 | 2段減速直角カルダン式 |
歯車比 | 8.12 |
制御装置 | MMC、HTB-2S 総括制御、自動加減速多段式 |
制動装置 | HSC-D、電磁直通式電空連動空気ブレーキ式 |
東京モノレール700形電車(とうきょうモノレール700がたでんしゃ)は、かつて東京モノレールに在籍した跨座式モノレール電車である。
本項では、同形の中間車ユニットである800形電車についても記述する。
概要
[編集]出典:[2]
700形
[編集]日立運輸東京モノレール(現・日立物流)から分離され、再び開業当初の「東京モノレール」の社名とされてから初めて登場した車両であり、同社初の冷房車[1]。制御方式は抵抗制御であり、また、主電動機・ブレーキ装置を500形・600形と共通化したため、両系列との併結が可能だった。
製造年
[編集]1982年 - 1986年にかけて2両編成5本(事故廃車補充で1両が増備されたため、総数は11両)が製造された。
外観
[編集]車体は600形の流れを汲み15m級2扉のアルミ合金製(前面の額縁部分はFRP製)となっているが、戸袋窓を廃止し、側窓の下段を固定化した[1]。塗装は600形同様赤を基調に前面の額縁部分・前面窓下および側窓周り・下部は白。
車内
[編集]車内の座席はセミクロスシートであり、信号ATS装置を床下に設置し1人掛座席と切妻部に2人掛座席を新設。また、ロングシートの半分を荷台とし、乗降客の流れを円滑にすることを図った[1]。
軽量化対策
[編集]冷房装置を設置しつつ車体重量を600形と合わせるため、下記のような軽量化対策がなされた。
- Al一体型材を床材に使用
- 集電装置を軽量型振りゴムに変更
- 主電動機を直結型ダクトに変更[1]
- 制御装置の主抵抗器材質を変更
- 電動発電機を密閉型から開放型に変更
- 台車部分に関して、水平輪タイヤ用リムをAl化[1]、走行輪タイヤの補助車輪を一輪化
冷房システム
[編集]直流直接駆動分散式 DC750V 15kW、2100kcal/h/両。
一般汎用品を利用したシステム構成とし、制御・動作電源は車両の電源とは別系統。
床下にパワーユニット(15kw DCモーター1台/両)、コンデンサー2台/両、ダイナモ1台/両、制御器、冷房用バッテリーを備え、天井部分にはエバポレータユニットによって各車両ごとに独立した2つの冷凍サイクルを確保し、外気を冷却除湿し、ダクトから車内に排気する。
運転室から、各車両ごとのサーモスタットによる自動温度管理操作を可能とした。
800形
[編集]同社が6両編成化を進めるにあたり、主に700形2両編成2本に増結編成する中間車として新造。
制御方式は700形と同一の抵抗制御だが、補助電源装置は電動発電機 (MG) から静止形インバータ (SIV) に変更[1]、冷房装置も薄型化され車端部に2基設置。
700形同様、500形・600形との両系列との併結が可能だった。
製造年
[編集]1985年 - 1986年に2両ユニット4本が製造された。
外観
[編集]700形とほぼ同様だが、中間車のため運転台は簡易運転台に変更、塗装を側窓周り・下部を一続きとした。
車内
[編集]当初、座席は700形同様のセミクロスシートだったが、1993年(平成5年)にロングシート化改造を実施。
← 浜松町 羽田 →
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← 浜松町 羽田 →
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形式 | 700(奇数車) | 700(偶数車) | 形式 | 800(奇数車) | 800(偶数車) |
種別 | 貫通型先頭車 | 貫通型先頭車 | 種別 | 運転台付中間車 | 運転台付中間車 |
2両ユニット | 701 | 702 | 中間ユニット | 801 | 802 |
703 | 704 | 803 | 804 | ||
705 | 706 | 805 | 806 | ||
707 | 708 | 807 | 808 | ||
709 | 710 | ||||
代替新製車 | 712 |
- ■:事故廃車
- 太字:運転室を撤去した車両
運用
[編集]700形同士および他系列と併結し500形・600形と共通に運用されたが、1985年以降は800形との6両編成で運行。その後1992年からは6両固定編成化も行われ、702・705・708・709・712の運転台を撤去し、これらは800形同様の塗装とされた。
1000形や2000形の増備により1998年7月28日の営業運転をもって全車廃車された[3]。700形・800形の廃車により500形以来の15m級2両ユニットのボギー車系列は消滅した。
← 浜松町 羽田 →
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1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
600形(奇数車) 700形(奇数車) |
600形(偶数車) 700形(偶数車) |
800形(奇数車) | 800形(偶数車) | 600形(奇数車) 700形(奇数車) |
600形(偶数車) 700形(偶数車) |
編成端ユニット | 中間ユニット | 編成端ユニット |
脚注
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- 「東京モノレール 25年の技術」『鉄道ピクトリアル』第38巻第12号(通巻504号)、鉄道図書刊行会、1988年12月号、45頁。
- 「東京モノレール700形 冷房車について」『鉄道ピクトリアル』第32巻第11号(通巻410号)、鉄道図書刊行会、1982年11月号。
- 『鉄道ジャーナル』第32巻第10号(通巻384号)、鉄道ジャーナル社、1998年10月号、90頁。