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日本HP

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本hpから転送)
株式会社日本HP
HP Japan Inc.
種類 株式会社
略称 日本HP
本社所在地 日本の旗 日本
108-0075
東京都港区港南1丁目2番70号[1]
設立 2014年平成26年)12月[1]
業種 情報・通信業
法人番号 8010601047191 ウィキデータを編集
事業内容 PCプリンティングおよび付随するサービス、ソリューション事業[1]
代表者 代表取締役社長執行役員 岡戸伸樹[1]
資本金 5億円[1]
売上高 2338億5100万円
(2023年10月期)[2]
営業利益 ▲12億1300万円
(2023年10月期)[2]
経常利益 62億7300万円
(2023年10月期)[2]
純利益 34億3700万円
(2023年10月期)[2]
総資産 877億8100万円
(2023年10月期)[2]
決算期 10月末日
主要株主 HP Inc.アメリカ合衆国) 100%
外部リンク hp.com/jp-ja/home.html
特記事項:2015年8月1日付で日本ヒューレット・パッカード株式会社より事業継承[3]
テンプレートを表示

株式会社日本HP(にほんエイチピー)は、東京都港区本社を置き、PCプリンター等の製造・販売を行う日本コンピュータ関連企業[1]HP Inc.日本法人である。

2015年親会社であるヒューレット・パッカード (Hewlett-Packard Company) が分社化ヒューレット・パッカード・エンタープライズ (Hewlett Packard Enterprise, HPE) とHP Inc. (HPI) の2社が誕生した。分社化は親会社のアメリカはHPEを新設したが、日本法人は日本ヒューレット・パッカード株式会社を存続させ、ITコンサルティングサービス及びサーバー・ネットワーク機器等の企業向けハードウェア事業を行うHPEの日本法人となった。

かつての日本ヒューレット・パッカード株式会社のPC・プリンティング事業(PCプリンターの製造・販売)は、2015年8月1日に株式会社日本HPとして移管・分社化されて[3]HPI の日本法人となった。

概要

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法人向けの業務用PC・プリンターをはじめ、大判プリンターや商業・産業用プリンターに強みを持つが、個人向けの小型ノートPCタブレットPC、小型インクジェットプリンターなども含め、幅広いラインナップを揃えている。

自社直販サイト「HP Directplus」によるネット通販に注力しており、2002年に個人向けPCの店頭販売から一旦撤退したが、2008年5月から家電量販店パソコンショップなどで店頭販売を再開している。店頭は一部機種のみ販売し、ネット直販限定の機種も存在する。

事業拠点

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おもな拠点[4]

過去の事業所
  • 大島オフィス、デモセンター(日本ヒューレット・パッカード本社内)

沿革

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  • 2014年平成26年)12月 - 株式会社日本HPとして会社設立[1]
  • 2015年(平成27年)8月1日 - 日本ヒューレット・パッカード株式会社から、PC・プリンティング事業を承継[1][3]。分社化後も日本HPの本社は、日本ヒューレット・パッカード本社ビル(東京都江東区大島)に所在していた。
  • 2021年令和3年)11月1日 - 本社を東京都港区港南へ移転[4]
  • 2022年(令和4年)3月31日 - 大島オフィス、デモセンター(日本ヒューレット・パッカード本社ビル内)を閉鎖[4]

「東京生産」の歴史

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外資系企業だが一部製品を日本国内で生産する「東京生産・MADE IN TOKYO」を特徴とする[5][6][7][8]。日本国内の法人向け・個人向けサポートも注力し[9]、日本でシェアが高いパソコンメーカーである[7][10]

法人向けのデスクトップパソコンワークステーションノートパソコンは日野工場で生産し、製品に「MADE IN TOKYO」ラベルを付す[5][6]。個人用製品やエントリーモデルは海外生産である

日本HPの「東京生産」の歴史は、旧コンパック1999年7月[7]、同社多摩事業所あきる野工場(あきる野市)を操業開始し[5][6][7]、デスクトップPCの国内生産を始めたことに遡る[7]。旧コンパックの多摩事業所あきる野工場は、コンパックが1998年に買収した日本DEC1982年設立[11])がワークステーションなどを製造していた生産拠点[7]を引き継いだもので[6][7]、そこがコンパック多摩事業所あきる野工場となったのだった[5][6][7]。その意味では「東京生産」の歴史は1980年代にまで遡ることになる[6]

コンパックは1999年7月のあきる野工場操業開始と同時に、直販サイト「ダイレクトプラス」を開設している[7]。米コンパック本社は同社のシェアが低かった日本をオンライン直販のテスト市場として選び、旧日本DECのIT部門を中心にシステム開発を担当させ「ダイレクトプラス」をスタートした[7]。「ダイレクトプラス」はエプソンダイレクトと同様に法人ユーザーを主要ターゲットとし、顧客の要望に合わせカスタマイズ販売するBTOパソコンの直販サイトであったが、納期短縮ときめ細かなカスタマイズを両立させるには国内に生産拠点を持つ必要があった。コンパックが日本DECから引き継いだあきる野工場でPC生産を開始したことにはこうした背景があった[7]。これが日本市場で好評を博したことから、2001年5月にワークステーションの生産も開始した[7]

2002年11月に日本ヒューレット・パッカードがコンパックを買収し吸収合併[12]。これにより旧日本DECからの歴史を持つあきる野工場は閉鎖、2003年1月に日本ヒューレット・パッカード昭島事業所(昭島工場)へ生産拠点を移転した[6][7]

日本ヒューレット・パッカードは、昭島工場の製品に2004年11月から「MADE IN TOKYO」ステッカー貼付を開始[7]2010年6月に一体型PC[7]2011年8月にノートPC[7]2012年7月にモバイルワークステーションの生産を開始した[7]。この時期は激しい円高の影響から生産拠点を中国など海外へ移転する国内パソコンメーカーも増える中、外資系の日本ヒューレット・パッカードは「東京生産」にこだわり続けた[7]。その理由として法人ユーザーを主要ターゲットとしていたこともあり、日本国内最大の消費地である東京都内に生産拠点を持つことによる納期短縮、ユーザーの要望に合わせた品質改善、そして日本産による高品質の維持を挙げていた[7]

2015年に日本ヒューレット・パッカードから日本HPが分社化され、PC・プリンター事業が移管された後も、引き続き両社で昭島工場での生産を継続していた[6]。しかし分社化と事業移管により工場の共有が困難になったことから、分社化を機に日本HPが先に昭島工場を離れ、生産拠点を日野市へ移転することを決定した[6]2016年時点では、日本ヒューレット・パッカードは昭島工場で「東京生産」を継続するとしていた[6]

昭島工場は(旧DEC時代を含め)操業開始から20年以上が経過して老朽化していたこと[6]、倉庫も分散しており、八王子市に部品倉庫、千葉県成田市に完成品倉庫があったことから[6]、日本HPは2016年6月、平山工業団地日野市旭が丘三井不動産ロジスティクスパーク日野)内に「日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパーク」を開設[5][6][7]。生産拠点を昭島工場から移転し、物流センターも同所へ統合して国内の製造拠点を集約した[5][6][13]

新設された「日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパーク」は、東芝2009年携帯電話事業から撤退[14]したことに伴い、2011年6月に閉鎖された「東芝日野工場[15]の跡地に開設されたものである[6]。昭島工場から日野工場への移転により、生産拠点の規模拡大と物流拠点の統合の結果、生産効率が改善され、さらなる増産や品質向上が実現した[6][8]

2019年7月に旧コンパックあきる野工場の稼働開始から20周年を迎え[7][8]、あきる野市、昭島市、日野市と場所を変えつつも、多摩地域を基盤に「東京生産」を継続してきた[7][8]。節目を迎えて「東京生産」を規模拡大するとともに、20周年記念として製品に貼付する「MADE IN TOKYO」ラベルのロゴデザインをリニューアルした[7][8]

2019年に日本HPが、日本国内PC市場におけるブランド別シェアで初の1位となった[7][10]。同年のシェア2位はDELLであった[10]。日本国内PC市場で外資系メーカーがシェアトップを奪い、NEC富士通[注釈 1]といった国内メーカーがトップの座から脱落したのは同年が史上初である[10]

「東京生産」の契機となった旧コンパックの直販サイト「ダイレクトプラス」は、会社合併後に日本ヒューレット・パッカードを経て、日本HPへ引き継がれ「HP Directplus」として運営継続されており、短納期・翌日配送をセールスポイントとする「HP Directplus Express」も開設されている。

日本HPと東京多摩地域の緊密なつながりは、分社前の日本ヒューレット・パッカードの前身である横河ヒューレット・パッカード武蔵野市に本社を置く横河電機と米ヒューレット・パッカード合弁企業。武蔵野市発祥でのち八王子市へ本社移転)にも見て取ることができる。現在日本HPで販売されている一部の製品は、過去に高井戸事業所を長年拠点としていた[16]

主な製品

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  • 製品名の後ろに☆が付く商品は「プレミアムライン」として、通常のHPロゴとは異なるプレミアムロゴ(縦線でhpを表現[17])を使用する。
  • 製品名の後ろに★が付くの製品は、同じく通常のHPロゴを使用せず、専用ロゴを使用する。
  • 製品名後ろのx2はキーボード着脱式2in1、x360は液晶回転式2in1、Folioは薄型軽量ノート及び2in1に付けられている。

ブランド

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ブランド別に、以下のように定義されている。

  • SPECTRE - 個人向け・マスターピース
  • ENVY - 個人向け・プレミアム
  • Pavilion - 個人向け・スタンダード
  • HP - 個人およびび法人向け・エントリー
  • OMEN by HP - 個人向け・ハイエンドゲーミング
  • Victus by HP - 個人向け・カジュアル&メインストリームゲーミング
  • Elite - 法人向け・ハイエンド
  • Pro - 法人向け・ミドルレンジ
  • Z by HP - 法人向け・ワークステーション
  • Sprout - 法人向け・イマーシブ

PC(パーソナル・コンピュータ)

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HP ProDesk 600
  • デスクトップPC
    • ENVY☆
    • Pavilion
    • HP
    • OMEN by HP★
    • Victus by HP★
    • EliteDesk
    • ProDesk
    • Z☆
  • ノートブックPC
    • SPECTRE / x2 / x360 / Folio☆
    • ENVY / x2 / x360☆
    • Pavilion / x360
    • HP / x2 / x360
    • OMEN by HP★
    • Victus by HP★
    • EliteBook / Elite Dragonfly☆
    • ProBook
    • ZBook☆
  • シンクライアント
  • PC周辺機器
    • モニター

プリンティング(プリンター)

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  • ミニフォトプリンター
    • HP Sproket
  • カラーインクジェットプリンター
    • HP Officejet
    • HP ENVY
    • HP Tango / X
  • 大判プリンター
    • HP DesignJetプリンター
    • HP Latexプリンター
  • 商業用&産業用プリンター
    • Scitexプリンター
    • Indigoデジタル印刷機
  • 3Dプリンター
    • HP Jet Fusion 3D
  • レーザープリンター
  • デジタル印刷機
  • プリンターサプライ品(用紙、インクカートリッジ)

過去の製品

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PC(パーソナル・コンピュータ)

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  • デスクトップPC/ノートブックPC
    • Pavilion Gaming - カジュアル&メインストリームゲーミング。Victus by HPへ後継。
  • タブレット
    • HP ElitePad
    • HP Pro Tablet
    • HP Slate (Android)
    • HP Pavilion x2

スマートフォン/ファブレット

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脚注

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注釈

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  1. ^ しかもこの時点で両社ともレノボ傘下にあり、もはや純粋な国内メーカーとは呼べない状況にあった[10]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h 会社概要 株式会社日本HP、2022年11月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e 株式会社日本HP 第9期決算公告
  3. ^ a b c 新会社設立と事業承継について”. 日本ヒューレット・パッカード株式会社. 2015年8月1日閲覧。
  4. ^ a b c d 日本HP 本社・主要事業所 株式会社日本HP 、2022年11月20日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 東京生産と日本サポート - 東京生産へのこだわり 株式会社日本HP、2022年11月20日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 「MADE IN TOKYO」は昭島から日野へ! 日本HP 東京ファクトリー&ロジスティックスパークを独占初公開 Impress PC Watch、インプレス、2016年10月17日、2022年11月20日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x “東京生産”で勢いづく日本HPのシェア拡大。国内首位獲得にいたった裏側を追う Impress PC Watch、インプレス、2019年9月5日、2022年11月20日閲覧。
  8. ^ a b c d e 日本HPが東京生産にこだわる理由とは ASCII.jp、2019年9月17日、2022年11月20日閲覧。
  9. ^ 東京生産と国内サポート - 概要 株式会社日本HP、2022年11月20日閲覧。
  10. ^ a b c d e 国内PCメーカーが史上初の首位陥落の衝撃! Intel製CPU供給問題が業界勢力図を変えた Impress PC Watch、インプレス、2019年6月3日、2022年11月20日閲覧。
  11. ^ DIGITAL Japan Profile”. 1998年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月17日閲覧。
  12. ^ 日本HP、コンパックと正式に合併。新生日本HPが発足”. Impress PC Watch. インプレス (2000年11月1日). 2016年6月16日閲覧。
  13. ^ 【物流センター】日本HPが生産・物流拠点を「MFLP日野」に統合 物流の専門紙 カーゴニュース、株式会社カーゴ・ジャパン、2017年4月25日号、2022年11月20日閲覧。
  14. ^ 東芝、携帯電話機の国内生産終了へ-日野工場は開発拠点に 八王子経済新聞、2009年5月20日、2022年11月20日閲覧。
  15. ^ 東芝のみなさんから石巻のみなさんへ 新選組のふるさと 日野市観光協会、2011年12月6日、2022年11月20日閲覧。
  16. ^ ASCII. “日本HP、商業印刷ソリューションのデモセンターを開設”. ASCII.jp. 2022年12月29日閲覧。
  17. ^ Premium Family 株式会社日本HP、2019年4月5日閲覧

関連項目

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外部リンク

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