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深圳 (駆逐艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
旅海型駆逐艦から転送)
深圳(しんせん、167舰 深圳
グアムに寄港した深圳(2003年10月25日)
基本情報
建造所 大連造船所
運用者  中国人民解放軍海軍
艦種 ミサイル駆逐艦
級名 旅海型(051B型)駆逐艦
前級 旅滬型(052A型)
次級 瀋陽級(051C型)
所属 南海艦隊
艦歴
起工 1996年
就役 1999年
要目
基準排水量 6,100 t
満載排水量 6,600 t
全長 153 m
最大幅 16.5 m
吃水 6 m
機関 CODOG方式
主機
推進 スクリュープロペラ×2軸
出力
  • ディーゼル:(8,840 bhp)
  • ガスタービン(48,600 shp)
速力 最大30ノット
航続距離 14,000 nmi/14kt
乗員 250人(士官40人)
兵装 #兵装・電装要目参照
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深圳(しんせん、シェンチェン、: PLAN destroyer Shenzhen、167艦)は、中国人民解放軍海軍ミサイル駆逐艦。同型艦はない。

中国人民解放軍海軍での名称は051B型駆逐艦中国語: 051B型驱逐舰)、NATOコードネーム旅海型: Luhai-class[1]

設計

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設計面では、おおむね旅滬型駆逐艦(052A型)の発展型となっているが、排水量にして1,500トン大型化しているほか、ステルス性への配慮も導入されている[1]。これは中国海軍の軍艦として初めての措置であった[2]

主機関も、旅滬型の2番艦と同様に、ドイツ製のMTU 12V1163 TB83 V型12気筒ディーゼルエンジンウクライナ製のDN80ガスタービンエンジンをCODOG方式で組み合わせている[3]。ただし蒸気タービン推進を採用しているという異説もある[2]

装備

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武器システムは、多くが旅滬型駆逐艦より踏襲されたが、一部に変更が加えられている。

防空システムとしては、対空・対水上捜索用の360型レーダーZKJ-4-3A戦術情報処理装置HHQ-7個艦防空ミサイル・システムが連接されている。対空・対水上捜索用の363型レーダーは前檣上に、またHHQ-7の火器管制レーダーである345型レーダーは艦橋上に、8連装発射機は船楼前端に設置された[3]。なお、HHQ-7発射機の後方には再装填用のハッチが設置されているが、これは当初、新型SAMの垂直発射装置(VLS)と誤認されていた[4]。また、ZKJ-4-3A戦術情報処理装置には、イタリアIPN-10の技術を元にしたHN-900戦術データ・リンク装置が連接されていたが、これは北大西洋条約機構リンク 11と同等の性能を備えていた[5]

また360型を補完して、後檣上に3次元式の381型レーダーが設置された。これは053K型フリゲート(江東型)051G型駆逐艦(旅大III型)に搭載されていたものの改良型であった。一方、長距離捜索レーダーを後部上部構造物上に備えるのは052A型と同様であるが、その機種は、より一般的な517型レーダー英語版に変更されている(052A型も後に同機種に換装)[3]

艦対艦ミサイルは、従来用いられてきたYJ-8の発展型であるYJ-83とされた。一方、対潜戦能力は052A型よりも低下しており、可変深度ソナー対潜ロケット砲は省かれている[3]

本艦は、当時の中国海軍としてはもっとも先進的な艦であったが、技術試験艦的な要素が強く、1隻のみの建造に終わった[1]。しかし本艦の運用実績はその後の駆逐艦に生かされており、本艦をベースとした船体にロシアソヴレメンヌイ級駆逐艦の武器システムを組み合わせた広州級(052B型)、広州級の船体に中国が新規開発した長射程艦対空ミサイル・システムを搭載した蘭州級(052C型)、さらに本艦の船体設計そのままにロシア製の長射程艦対空ミサイル・システムを搭載した瀋陽級(051C型)が開発され、配備が進められている。また、これらのより先進的な駆逐艦が配備されるまでの間、本艦は中国海軍の最有力の駆逐艦として活躍した。

CODOG機関や各種装備の試験、また広報活動のため、海外への航海もたびたび行なっており、2007年11月23日には、東京都晴海埠頭に親善訪問のため寄航している。

近代化改修

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2015年から近代化改修のため部隊を離脱した。その後、改修の大部分が完了し海軍に再び引き渡されたことが、2016年8月10日に伝えられている。

最も顕著な変更はミサイルの換装で、艦橋前のHHQ-7短距離対空ミサイルの発射機をHHQ-16中距離対空ミサイルのVLS(32セル)に交換したほか、艦橋中央部を撤去して、YJ-83対艦ミサイルの4連装発射筒4基をYJ-12A対艦ミサイルの4連装発射筒2基に交換した。その他、ヘリ格納庫の37mmの対空機関砲4基を1130型CIWS2基に換装して、チャフ発射機を4基に倍増している。また、前部マストの571H-E型2次元対空レーダーをフレガート-MAEをコピーした382型3次元レーダーに換装して、後部マストの381型レーダーは衛星通信用アンテナのレドームに交換された[6]

クォードデッキは完全に囲われた構造となり、トランサムの新しいアパーチャにより魚雷探知機と曳航アレイソナーシステムが追加されたということが示されている[7]

兵装・電装要目

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改修部位については、[8]を参照した。

改修前 改修後
兵装 79A式(H/PJ-33A型)56口径100mm連装砲×1基 99式(H/PJ-33B型)56口径100mm連装砲×1基
76A式37mm連装機関砲×4基 1130型30mmCIWS×2基
HHQ-7短SAM 8連装発射機×1基
(ミサイル16発)
VLS×1基(32セル)
HHQ-16SAM
YJ-83SSM 4連装発射筒×4基 YJ-12ASSM 4連装発射筒×4基
3連装短魚雷発射管×2基
艦載機 Z-9C / Ka-28 哨戒ヘリコプター×2機
C4I ZKJ-4-3A戦術情報処理装置 ZKJ-5戦術情報処理装置
HN-900戦術データ・リンク
SNTI-240衛星通信装置
レーダー 381型 3次元式×1基 382型 3次元式×1基
517H-1型英語版 VHF対空捜索用×1基
360型 低空警戒・対水上用×1基 364型 低空警戒・対水上用×1基
RM-1290 航海用×2基
ソナー SJD-8/9 艦首装備式
曳航式
FCS 345型英語版 短SAM用×1基 MR-90 SAM用×4基
344型英語版 主砲用×1基
347G型英語版 CIWS用×2基
電子戦 SRW210A 電波探知妨害装置 電波探知妨害装置(T.B.A.)
レーダー警報受信機
946型(PJ-46)15連装チャフフレア発射装置×2基
947型10連装チャフ・フレア発射装置×2基
魚雷防御システム

比較

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中国海軍の駆逐艦の比較
051B型(深圳)
近代化改修後
052A型(旅滬型)
近代化改修後
ソヴレメンヌイ級(現代級)
近代化改修後
船体 満載排水量 6,600 t 5,700 t 8,060 t
全長 153 m 148 m 156.37 m
全幅 16.5 m 16.0 m 17.19 m
主機 方式 CODOG 蒸気タービン
出力 55,000 shp 48,600 shp 99,500 shp
速力 30 kt 31.5 kt 32 kt
兵装 砲熕 56口径100mm連装砲×1基 70口径130mm連装砲×2基
30mmCIWS×2基 30mmCIWS×4基
ミサイル VLS×32セル
HHQ-16
HHQ-7 8連装発射機×1基 VLS×32セル
(HHQ-16,YU-8)
YJ-12A 4連装発射筒×4基 YJ-83 4連装発射×4基 YJ-12A 4連装発射機×2基
252mm6連装対潜ロケット砲×2基
水雷 3連装短魚雷発射管×2基(Yu-7
艦載機 Z-9C/Ka-28×2機 Z-9C×2機 Ka-28×2機
同型艦数 1隻 2隻 1隻
(1隻改修中,2隻改修予定)
055型(南昌級) 052D型(昆明級) 052C型(蘭州級) 051C型(瀋陽級) 052B型(広州級)
船体 満載排水量 12,000 - 13,000 t 7,500 t 7,000 t近く 7,100 t 6,600 t
全長 182.6 m 156 m 154 m 155 m 154 m
全幅 20.9 m 18 m 17 m 16.5 m
主機 方式 COGAG CODOG
出力 130,000 shp以上 76,000 hp 48,600 shp
速力 30 kt 29 kt 30 kt 29 kt
兵装 砲熕 70口径130mm単装砲×1基 55口径100mm単装砲×1基
30mmCIWS×1基 30mmCIWS×2基
ミサイル 5860-2006型VLS×112セル
HHQ-9B,HHQ-16B,YJ-18,CJ-10英語版,Yu-8英語版
5860-2006型VLS×64セル
(HHQ-9,CY-5,YJ-18)
VLS×48セル
(HHQ-9A)
B-203A型VLS×48セル
リフ-M
単装発射機×2基
9M317
HHQ-10 24連装発射機×1基 YJ-62 4連装発射筒×2基 YJ-83 4連装発射筒×2基 YJ-83 4連装発射筒×4基
水雷 3連装短魚雷発射管×2基(Yu-7)
艦載機 Z-18×2機 Z-9C/Ka-28×1機 ヘリコプター甲板のみ Z-9C/Ka-28×1機
同型艦数 8隻
25隻
6隻 2隻 2隻

参考文献

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  1. ^ a b c 「写真特集 今日の中国軍艦」『世界の艦船』第816号、海人社、2015年5月、21-51頁、NAID 40020406561 
  2. ^ a b SinoDefence.com. “Type 051B (Luhai Class) Missile Destroyer - SinoDefence.com” (英語). 2013年3月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月10日閲覧。
  3. ^ a b c d Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 117. ISBN 978-1591149545 
  4. ^ 『中国/台湾海軍ハンドブック 改訂第2版』海人社、2003年、66-69頁。 NCID BA65027607 
  5. ^ 陸易「中国軍艦のコンバット・システム」『世界の艦船』第748号、海人社、2011年10月、94-97頁、NAID 40018965309 
  6. ^ 「中国駆逐艦「深圳」が近代化改装!」『世界の艦船』第816号、海人社、2016年10月、16頁。 
  7. ^ Shenzhen destroyer set to re-join China's South Sea Fleet、2016年8月11日閲覧
  8. ^ 艦船知識2016年7月号巻頭ページより

関連項目

[編集]
  • ウィキメディア・コモンズには、深圳 (駆逐艦)に関するカテゴリがあります。