文明崩壊 (書籍)
文明崩壊 (書籍) | ||
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著者 | ジャレド・ダイアモンド | |
訳者 | 楡井浩一 | |
発行日 | 2005 | |
発行元 | 草思社 | |
ジャンル | ノンフィクション | |
国 | 米国 | |
言語 | 英語、日本語 (翻訳) | |
形態 | 著作物 | |
ページ数 | 553(上) 547(下) | |
前作 | 銃・病原菌・鉄 | |
次作 | 昨日までの世界 | |
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『文明崩壊 - 滅亡と存続の命運を分けるもの -』 (英語: Collapse: How Societies Choose to Fail or Succeed) は2005年に米国で出版されたジャレド・ダイアモンドの書籍。どのような環境変化にどう対応しその結果どうなったのか、またどのような要因で過去の文明が消え去ったのかなど事例を挙げて分析している。
内容
[編集]本書では文明崩壊に寄与する主な要因として以下の5つを挙げている。
- 気候変動
- 敵対する相手
- 重要な商取引相手の喪失
- 環境破壊
- 環境課題への適応失敗
人類が現在直面している環境問題のうち、過去の文明崩壊に寄与した要因として以下を挙げている。
さらに、新規の潜在的リスク要因として以下を挙げている。
- 人為的な原因による気候変動
- 環境中への有毒物質蓄積
- エネルギー不足
- 光合成能力利用の上限到達
イースター島について
[編集]ダイアモンドは、この著作の中で、一度は高度な社会を築きながらも、その後、文明が崩壊した事例として、北米のアナサジ、中米のマヤ、ポリネシアのイースター島、ピトケアン島などを取り上げている。そして、イースター島については、文明崩壊の原因として、モアイ製造を推し進めた結果、モアイの運搬に大量の木材を消費してしまった事をあげている。イースター島では、木材を消費し尽くした結果、島全体の森が消え、食料となる野生動物もいなくなり、やがて少ない食料を巡っての部族抗争が起きて人口が激減、人肉食が起きるほど、文明は後退したと説明している[1]。なお、この説そのものは、ダイアモンドの新説というわけではなく、従来から歴史学者の間で通用していた通説である。それが、ダイアモンドの著作で紹介された事により、「人が科学技術を過信し、自然を破壊すると、やがて人類の文明に悪影響を及ぼす」との教訓めいた話として、人口に膾炙していった[2]。
しかし、2020年現在、この説には誤りがあるとの研究がいくつかある[3][4]。従来の説は、モアイを運ぶために、木製の橇を作り、さらに木の軌条を作ってその上を滑らせるため、多くの木材を費やしたというものであった。しかし、モアイを立てた状態で、縄で左右に揺らしながら、歩かせるように前に進める方法でも可能である事が、実験で確かめられている。この様子は、イースター島に伝わる「モアイは自分で歩いた」との伝説にも合致する[5]。また当時の遺骨には争った形跡がほとんどど無いことから、抗争は無かった可能性が出てきている。この説によれば、イースター島の住民が激減したのは、西洋人による奴隷狩りが主な原因とされる[6]。ただ、この「イースター島の住民自身の行動が文明崩壊を引き起こしたわけではなかった」との説には、反証もいくつか出ており、やはり従来の通説通り、文明崩壊は起きたと主張する学者もいる[1]。
ダイアモンド自身は、2020年に来日した時の産経新聞とのインタビューで、自著を引用する形で「イースター島で起きたことは、過剰な資源収奪がもたらす最悪のシナリオです。この島は太平洋で孤立し、森林伐採など自然を破壊したときに助けを求める社会が他になかった。宇宙では地球も孤立しています。だからイースター島は世界の縮小モデルなのです。人間は自身が依存している資源を破壊してはいけないのです」と答え、気候変動について、各国が協力し合う必要性を説いている[7]。
書誌情報
[編集]- 書籍
- 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 〈上〉- 草思社 (2005/12)、ISBN 978-4794214645
- 文庫版:草思社文庫(2012/12)、ISBN 978-4794219398
- 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 〈下〉- 草思社 (2005/12)、ISBN 978-4794214652
- 文庫版:草思社文庫(2012/12)、ISBN 978-4794219404
- DVD
- ナショナル ジオグラフィック『文明崩壊』 - 日経ナショナル ジオグラフィック社 (2010/11) 、ISBN 978-4863131255
脚注
[編集]- ^ a b “イースター島の文明は、通説のようには「崩壊」しなかった:論文が提起した新説が波紋”. WIRED. (2020年6月10日) 2020年11月20日閲覧。
- ^ “「モアイは歩いた」、イースター島の伝承と文明崩壊の謎【古代文明、謎の魅力】”. ナショナルジオグラフィック (Yahoo!ニュース). (2020年11月15日). オリジナルの2020年11月15日時点におけるアーカイブ。 2023年12月30日閲覧。
- ^ “イースター島、人殺しの武器を作らなかったと新説”. ナショナルジオグラフィック. (2016年2月25日) 2020年11月20日閲覧。
- ^ “イースター島の環境崩壊とモアイ”. 国立民族学博物館 (2014年12月1日). 2020年11月20日閲覧。
- ^ “モアイ像、ロープで揺らして移動?”. ナショナルジオグラフィック. (2012年6月25日) 2020年11月21日閲覧。
- ^ “謎の巨石文化、イースター島のモアイ像を作った人々のルーツ”. Forbes. (2017年11月25日) 2020年11月20日閲覧。
- ^ “【ニュースを疑え】繰り返すなイースター島の悲劇 温暖化対策訴え ジャレド・ダイアモンドUCLA教授”. 産経新聞. (2020年1月26日) 2020年11月21日閲覧。