張邠
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張 邠(ちょう ひん、生没年不詳)は、中国三国時代の呉の政治家。『三国志』呉志 三嗣主伝 の注に記述がある。
生涯
[編集]孫亮の時代に、張邠は侍中であった。
孫亮が西苑に出御した時、生の梅の実を食べようとして、黄門職の宦官に宮中の倉庫に行って蜂蜜を取ってこさせ、それに梅の実をひたそうとした。蜂蜜の中には鼠の糞が入っていた。孫亮は倉庫の役人を呼んで詰問したところ、倉庫の役人は叩頭するばかりであった。孫亮が尋ねると、倉庫の役人は、蜂蜜を黄門に渡していないと言い、黄門は、倉庫の役人から蜂蜜を受け取ったと言い争った。侍中の張邠と刁玄は「黄門と倉庫の役人とでは、申し述べるところが食い違っております。裁判官にわたして事実を究明させられますように」と申し上げたが、孫亮は「こんなことは簡単にわかる」と言い、鼠の糞を持ってこさせて割ったところ、糞の内部は乾いていた。孫亮は大いに笑い、張邠と刁玄に「もし糞がもとから蜂蜜の中にあったのなら、外から内までみな湿っているはずだ。ところがこれは、外側は湿っていても内側は乾いている。黄門のしわざであること、間違いない」と述べた。黄門は、自分のしたことだと罪を認めた。お付きの者たちは、孫亮の智慧に皆驚きつつ畏れたという[1][2]。
参考文献
[編集]脚注
[編集]- ^ 『呉歴』
- ^ この話には異説があり、『江表伝』では、
孫亮は黄門に命じ、銀の碗に蓋をして持ってゆき、宮中の倉庫の役人の所から、交州より献上された甘蔗糖(砂糖)を取ってこさせた。その黄門は、かねて倉庫の役人に恨みをいだいていたので、鼠の糞を甘蔗糖の中に入れておいて、倉庫の役人は職務をおざなりにしていますと申し上げた。孫亮はその役人に甘蔗糖を収めている器を持ってやって来させると、「この器には蓋があるうえに、さらに覆いがかぶせてあって、こんなものが入るはずがない。黄門はおまえに恨みをもっているのではないか?」と尋ねていった。役人は叩頭して「以前に、黄門が私に宮中で用いる莞(がま)の敷物を横流しするようにと申したことがございましたが、宮中の席は数がきまっておりますので、与えはしませんでした」といった。孫亮は「きっとそれが原因だ」といった。黄門を尋問したところ、すべてを白状した。そこで御前で髪を切り鞭打ちの刑を加え、奥向きの仕事から外したという。
裴松之は『呉歴』よりも『江表伝』の方が事実に近いとしている。