鬼界アカホヤ火山灰
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(幸屋火砕流から転送)
鬼界アカホヤ火山灰(きかいアカホヤかざんばい)は、約7,300年前の鬼界カルデラの大噴火に伴って噴出した火山灰。幸屋火砕流と同時に噴出した火山灰のうち、上空に噴き上げられてから地上に降下したものをいう。テフラとしての記号はK-Ah。AKの略称でも呼ばれる。
白色または淡褐色(オレンジ色)を呈し、保水性が無く農業には適さない[1]。
火山灰に覆われた面積は約200万km2、体積は約100km3にもなる。偏西風にのって東北地方まで到達した。九州南部において地下の比較的浅い場所に厚さ約1mの層をなしており、四国、中国地方西南部および紀伊半島においても層として確認することができる。種子島では、20 - 40cm、琵琶湖では3 - 5cmの厚さである。また、層が不明瞭な地域においては土壌分析によって検出可能であり、おおむね日本全域で確認されている。
宮崎県の農家の間でアカホヤと呼ばれていた地層について調査した結果、人吉市付近のイモゴ、種子島のアカボッコ、四国南部のオンジなど、似たような地層が日本各地に分布していることがわかり、1976年(昭和51年)に鬼界カルデラを起源とする火山灰であることが確認された[1]。
地層の年代決定において縄文時代の早期と前期とを分ける重要な鍵層の一つになっている。特に、種子島、屋久島、薩摩半島南部および大隅半島南部は幸屋火砕流が直撃し、当時居住していた縄文人の生活に壊滅的大打撃を与えたと考えられている。また、南九州では火山灰の影響により約600年から900年間は照葉樹林が復活しなかった[2]。
脚注
[編集]- ^ a b 町田洋, 新井房夫「南九州鬼界カルデラから噴出した広域テフラ-アカホヤ火山灰」『第四紀研究』第17巻第3号、日本第四紀学会、1978年、143-163頁、doi:10.4116/jaqua.17.143。
- ^ 杉山真二「鬼界アカホヤ噴火が南九州の植生に与えた影響 : 植物珪酸体分析による検討」『第四紀研究』第41巻第4号、日本第四紀学会、2002年8月、311-316頁、doi:10.4116/jaqua.41.311、ISSN 04182642、NAID 10009477213。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- 町田洋『火山灰は語る : 火山と平野の自然史』蒼樹書房、1977年。doi:10.11501/9583350。ISBN 978-4-7891-1017-4。 NCID BN00686803。NDLJP:9583350。全国書誌番号:77019485 。
- 町田洋、新井房夫『新編火山灰アトラス - 日本列島とその周辺』東京大学出版会、2003年9月。ISBN 978-4-13-060745-2。 NCID BA63816300 。
- 町田洋「テフラ研究の展望」『地學雜誌』第92巻第7号、東京地学協会、1984年、441-447頁、doi:10.5026/jgeography.92.7_441。
- 山田昌樹, 藤野滋弘, 佐竹健治「広域に分布するアカホヤ津波堆積物の識別」『日本地質学会学術大会講演要旨』第124年学術大会(2017愛媛)セッションID: T2-O-13/台風のためプログラム中止、日本地質学会、2017年、030頁、doi:10.14863/geosocabst.2017.0_030。