植木算
植木算(うえきざん)とは、算数の文章題において、物を並べていったときに、並べた個数と間の個数の関係をとらえる特殊算の一種である。
概要
[編集]- 木を植える間隔や、植える木の本数、並木の長さなどを求める問題。問題が「木」でないこともよくある。
- 殆どの問題は、しっかりと数を数えられれば容易に解ける。個々の問題は決して難しくない。
- 植木算はむしろ、似た問題と混同しないような注意力・観察力が重要とされている(例えば下の例のように、植木が環状なのか直線状なのかなど)。
- 植木算はそのままでは単なる注意力の喚起を問う問題であるが、平面植木算・空間植木算は鳩の巣原理やオイラーの定理と関連し、その一部であるという側面を持つ。
公式
[編集]- 一直線上に立っていて、両端にもある場合:木の本数=木の間の数+1
- 一直線上に立っていて、両端にない場合:木の本数=木の間の数-1
- 円などの周りに立っている場合:木の本数=木の間の数
これを用いて解く。
例題
[編集]例題1
[編集]42本の木が7m間隔で植えられている並木道がある。木は道の両側にあるとする。このとき、並木道の長さは何mか。
- 解法
冷静に考えれば難しくない問題である。
- 道路の片側にある木の数は、42÷2=21本。
- 21本の木にある「木の間」の数は20個(ここをしっかり考察することが、植木算の重要な点である)。
- 7×20=140、ゆえに140mが答である。
例題2
[編集]周囲の長さが300mの池の周りに木を植えることにした。5m間隔で植える場合、木は何本必要か。
- 解法
300÷5=60で、60本が正解となる。
環状になっているものを直線状にしてみよう。300m上に5m間隔で木を植えるので、当然ながら、61本植えることになる。ところがよく考えてほしい。今回は環状なので、始点と終点が重なることになる。よって60本になる。
慣れたら「環状は除法で解ける」としてスピード回答できるが、物事の本質を理解することは極めて重要であり、抜かしてはならない。
例題3
[編集]5mの木を1mずつに切り分けたい。1回切るのに5分かかり、1回切るごとに1分休憩すると、何分で切れるか。
- 解法
2重の植木算になっている。
4回切り、3回休憩するから、5×4+1×3=23で、答は23分。
- 別解
仕事算の考え方を理解することで、1段階上に進むことは十分可能であるので、仕事算を用いて説明していくものとする。
仕事算の考え方については、当該項目を参照されたい。まずは仕事量を検討することができる部分とできない部分(今回ならば休憩分)に分けて考えることにする。
前者であるが、今回は4回で全体(仕事量1)に達する。題意に沿うならば、5分で1/4の仕事量になることから、1分で1/20の仕事量になるといえよう。→Ⓐ
後者であるが、休憩すなわち仕事量0となる。
Ⓐより、20分で仕事量1になる。題意より、答は23分[1](仕事量0の休憩は無視する)。
平面植木算・空間植木算
[編集]この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
平面植木算・空間植木算[要出典]とは広義の植木算の一つである。
直線を分けるのは点であり、平面を分けるのが直線であり、立体(空間)を分けるのが面である。このうち直線を点で分けるのが普通の植木算に当たる。普通の植木算はほとんど自明で、単に注意力を促す問題に過ぎない。しかし広義の植木算がいくつか考えられ、これらは自明とは言い切れない。こうした広義の植木算も合わせて考えなければ、植木算の意味は希薄になろう。
平面植木算
[編集]平面植木算には、概ね次の3種類がある。
- 平面植木算1
- これはグラフ理論(一筆書き・オイラーの多面体定理・四色定理など、つながり具合に関する理論)の一種という側面を持つ。
- 平面植木算3
-
- 何本の直線が平面を最大何個に分けるか。
- 円周上にいくつかの定点があるとき、その点どうしをすべて線で結ぶと、最大何個の領域に分けられるか。
空間植木算
[編集]空間植木算には、
などの問題がある。
平面植木算から「球をいくつの平面で、最大何個に分けられるか」という問題も想定されるが、2006年現在、そのような問題は中学受験の算数には出ていない。
例題
[編集]合同な立方体を、縦にa個、横にb個、高さにc個積み上げて直方体を作る。直方体の1つの頂点の隣の3つの頂点を通る平面で切ると、何個の立方体が切断されるか。ただしa,b,cは互いに素である。
- 解法
(a-1)×(b-1)÷2+(b-1)×(c-1)÷2+(c-1)×(a-1)÷2+(a-1)+(b-1)+(c-1)+1=(ab+bc+ca-1)÷2
脚注
[編集]- ^ 仕事量は0だが、費やした時間を求めるので、休憩時間3分は加算しなければならない。
関連項目
[編集]- 算数 - 特殊算
- Off-by-oneエラー - プログラミングにおいても、端の処理でバグを作りこむことが多々ある。