旧久米家住宅洋館
旧久米家住宅洋館 | |
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情報 | |
旧名称 | 旧徳川家迎賓館 → 岩佐多聞邸 |
設計者 | 不詳 |
構造形式 | RC造、スレート葺 |
階数 | 平屋建 |
竣工 |
1912年(大正元年)頃 2023年(令和5年)※移築 |
所在地 |
〒151-0064 群馬県沼田市上之町1159-4 |
旧久米家住宅洋館(きゅうくめけじゅうたくようかん)は、群馬県沼田市上之町の大正ロマンエリアにある建築物。
移築前の名称は岩佐多聞邸(いわさたもんてい)。元紀州徳川家の代々木上原本邸内にあった迎賓館であったとされる[1][2][3]。もともと久米民之助が私邸の洋館として和館とともに建設した。
歴史
[編集]代々木上原時代
[編集]紀州徳川家の本邸は大正末期から昭和初期にかけ、代々木上原の地にあり「静和園」と呼ばれていた[4][注釈 1][注釈 2]。この本邸の敷地内に迎賓館として本建築は存在したようである[3]。その後、紀州徳川家の財政難もあり、この代々木上原の邸宅は1938年(昭和13年)ごろより五島慶太を通じて区割り分譲されたが、母屋と迎賓館は取り壊されずに残された[7][3][注釈 3][注釈 4]。
太平洋戦争では内部が被災した[1][2]。戦後は進駐軍に接収されたのち、一般邸宅の岩佐多聞邸(いわさたもんてい)となったとされる。家主はこの元迎賓館を壊そうと試みたものの、あまりに頑丈な造りのため解体に20万円もかかると言われ、解体を断念したとされる[3]。のち、厨房などの増築を経て借家にされたが、本来の造りは16畳1室、8畳2室、6畳1室と洋室ばかりの構造であったとされる[3]。
沼田市移築後
[編集]2020年(令和2年)9月、東京都渋谷区上原にあった岩佐多聞邸が解体された。その際、久米民之助の故郷である群馬県沼田市が岩佐多聞邸を取得し、2023年(令和5年)に沼田市上之町に旧久米家住宅洋館(きゅうくめけじゅうたくようかん)として移築された。
建物概要
[編集]- 竣工年:1912年頃(大正元年頃)[1][2]
- 解体年:2020年(令和2年)
- 構造: RC造[1][2]
- 外壁: タイル[11]
- 屋根形式: 切妻[11]
- 屋根仕上げ: スレート葺[1][2][11]
- 窓: 上げ下げ窓[11]
戦災で内部が焼失したこともあってか、屋根も新建材となり、外壁も大きく変えられるなど、改修が大きく、当初の様子を完全に窺うことはできない[12]。しかし、軒下部分や出窓などに、当時の意匠を見ることができる[12]。
ギャラリー
[編集]- 代々木上原時代
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正面角の特徴ある円形部分
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リビングの窓と窓枠
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岩佐邸の裏
- 沼田市移築後
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建物の正面
-
建物の壁面
所在地
[編集]- 代々木上原時代
- 沼田市移築後
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e 東京の近代洋風建築, pp. 170–171.
- ^ a b c d e 『日本近代建築総覧(新版)』追補.
- ^ a b c d e 総覧日本の建築.
- ^ a b 紀州徳川家の迎賓館.
- ^ 陸地測量部 1/25000 「東京西南部」 昭和4年二修 昭和6.6.30発行
- ^ 地理調査所 1/25000 「東京西南部」 昭和20年部修 昭和22.7.30発行
- ^ 紀州徳川家の迎賓館2.
- ^ 地理院地図 1936-1942年頃航空写真
- ^ 地理院地図 1945-1950年頃航空写真
- ^ 熱誠, p. 41.
- ^ a b c d 渋谷区に残る洋風住宅について, p. 51.
- ^ a b 渋谷区に残る洋風住宅について, p. 50.
参考文献
[編集]- 近代建築小委員会「東京都(その1)(『日本近代建築総覧(新版)』追補)」『建築雑誌』第1430巻、1998年11月20日、50-53頁、NAID 110003805457。
- 川上悠介「渋谷区に残る洋風住宅について--悉皆調査から見えること」『すまいろん』第84巻、2007年10月20日、48-51頁。
- 東京都教育庁生涯学習部文化課 編『東京の近代洋風建築 :近代洋風建築(第2次)調査報告』東京都教育委員会、1991年。全国書誌番号:91043198。
- 日本建築学会 編『総覧日本の建築 第3巻 (東京)』新建築社、1987年。全国書誌番号:88025916。
- “紀州徳川家の迎賓館?”. AsahinaTakeshiHP. 朝日向猛 (2020年5月10日). 2020年8月3日閲覧。
- “紀州徳川家の迎賓館? その2”. AsahinaTakeshiHP. 朝日向猛 (2020年8月2日). 2020年8月3日閲覧。
- “五島慶太翁生誕130年記念誌「熱誠」”. 五島育英会. 2020年8月3日閲覧。
- 「築100年超の岩佐邸 「土地の記憶」保存へ動く」『東京新聞』2020年9月4日。
- 「久米旧邸宅(東京)を沼田へ」『上毛新聞』2020年9月26日。
- 「久米民之助 東京・渋谷の洋館 「大正ロマン」の一角に」『東京新聞』2020年10月8日。
- 「旧久米民之助邸移築で沼田市長 ゆかりの紀伊徳川家 表敬」『上毛新聞』2020年10月10日。
- 「旧久米民之助邸 沼田に」『毎日新聞』2020年10月11日。
- 「久米民之助邸 沼田移築へ」『読売新聞』2020年10月16日。
- 「「沼田の恩人」邸宅移築で帰郷」『朝日新聞』2020年10月26日。
- 「土木の技法 小さな洋館に凝縮」『朝日新聞』2020年11月24日。
- 「旧久米邸洋館保存整備事業ついて」『沼田市・沼田市教育委員会 通達』2020年10月1日。
- 2020年4月17日 沼田市主催 旧久米邸洋館 キックオフイベント NUMATA KUME DAY 配布資料
- 2020年4月17日 沼田市主催 旧久米邸洋館 キックオフイベント NUMATA KUME DAY 現地展示パネル
- 沼田市歴史資料館 展示パネル