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重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 ドローン規制法、小型無人機等飛行禁止法、ドローン飛行禁止法
法令番号 平成28年法律第9号
種類 刑法
効力 現行法
成立 2016年3月17日
公布 2016年3月18日
施行 2016年4月7日
主な内容 国会議事堂内閣総理大臣官邸その他国の重要施設、外国公館等、防衛関係施設および原子力事業所の周辺地域の上空における、小型無人機(ドローン等)および特定航空用機器等の飛行の禁止について定める
関連法令 航空法
制定時題名 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律
条文リンク 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律 - e-Gov法令検索
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重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(じゅうようしせつのしゅうへんちいきのじょうくうにおけるこがたむじんきとうのひこうのきんしにかんするほうりつ、平成28年法律第9号)は、国会議事堂内閣総理大臣官邸その他の国家の重要施設等、外国公館等、防衛関係施設および原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機ドローン等)および特定航空用機器等の飛行の禁止について定める日本法律。略称は小型無人機等飛行禁止法[1]ドローン規制法[2]

概要

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2015年(平成27年)4月22日首相官邸無人機落下事件により、ドローンを用いたテロリズムや犯罪行為が起こる危険性が明らかになると、ドローン等の飛行ルールや重要な施設などの上空でのドローンの飛行禁止について定める必要が生じた。ドローン等の飛行ルールについては同年12月10日に施行された改正航空法により定められた。そこで、残る重要施設などの上空でのドローン等の飛行禁止について定めるため、この法律が制定された。2016年(平成28年)4月7日施行。

制定経緯

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2015年(平成27年)6月12日に、第189回国会に提出された。

衆議院で以下の修正がされた上で、2015年(平成27年)7月9日に可決され、参議院において閉会中審査となった。

  • 題名を修正する[注 1]
  • 危機管理行政機関・原子力事業所を対象に追加する。
  • 小型無人機の飛行だけでなく、「特定航空用機器を用いて人が飛行すること」を対象に追加する。

第190回国会では、参議院で他の法律の施行などに伴う所要の修正がされた上で、2016年(平成28年)3月11日に可決され、同年3月17日に衆議院で可決され、成立した。

2016年(平成28年)3月18日に公布され、「公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する」こととされ(附則1条本文)、同年4月7日に一部の規定を除き施行した。

2016年(平成28年)4月7日には、内閣官房内閣府宮内庁)、最高裁判所及び国会が対象施設等を指定した[3]

2016年(平成28年)5月23日には、「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」こととされていた(附則1条ただし書)一部の規定[注 2]が施行した。

第1次改正

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2019年令和元年)5月24日公布、6月13日施行の法律第10号「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律」によって、「防衛施設」が追加されるとともに題名が「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」に改題された[4]

第2次改正

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2020年(令和2年)6月24日公布の法律第61号「無人航空機等の飛行による危害の発生を防止するための航空法及び重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律」第2条による改正で「空港」が追加され[5]、国土交通大臣が指定する空港(新千歳空港成田国際空港東京国際空港中部国際空港大阪国際空港関西国際空港福岡空港那覇空港)の周辺地域(空港の敷地・区域やその周辺概ね300mの地域)の上空において、重さや大きさにかかわらず、小型無人機等の飛行が禁止された(令和2年7月15日告示公布[6]、7月22日施行)[7]。飛行を行う場合は飛行の48時間前までに空港管理者、都道府県公安委員会、管区海上保安部長への通報が義務付けられた[7]

内容

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禁止行為

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  • 何人も、対象施設周辺地域の上空において、小型無人機等[注 3]の飛行を行ってはならない(8条1項)[注 4]。ただし、以下の小型無人機等の飛行であって、あらかじめその対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会[注 5]に通報したものについては、この限りでない(8条2項及び3項)。
    • 対象施設の管理者又はその同意を得た者がその対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行
    • 土地の所有者若しくは占有者又はその同意を得た者がその上空において行う小型無人機等の飛行
    • 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行

小型無人機

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小型無人機とは、「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの」を言う。(法律第2条第3項)

特定航空用機器

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特定航空用機器とは以下のものをいう(国家公安委員会規則)[8]

  1. 操縦装置を有する気球
  2. ハンググライダー(原動機を有するものを含む。)
  3. パラグライダー(原動機を有するものを含む。)
  4. 回転翼の回転により生ずる力により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの(航空法第2条第1項に規定する航空機に該当するものを除く。)
  5. 下方へ噴出する気体の圧力の反作用により地表又は水面から浮揚した状態で移動することができ、かつ、操縦装置を有する機器であって、当該機器を用いて人が飛行することができるもの

第5号については、ホバーボード、フライボード等や、ジェットパック等が想定されるが、これらに限定はされない。

対象その他

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  • 総務大臣は、衆議院議員又は参議院議員の所属している政党[注 7]の要請があったときは、その主たる事務所を対象政党事務所として指定するものとし(4条1項)、その敷地及びその周囲おおむね300メートルの地域を対象施設周辺地域として指定するものとする(4条2項)。
  • 外務大臣は、外交関係に関するウィーン条約に規定する使節団の公館、領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の公館及び条約において不可侵とされる外国政府又は国際機関の事務所並びに外国要人[注 8]の所在する場所を対象外国公館等として指定することができ(5条1項)、その敷地又は区域及びその周囲おおむね300メートルの地域を対象施設周辺地域として指定するものとし(5条2項)、これらの指定は、期間を定めて指定するものとする(5条3項)。
  • 国家公安委員会は、原子力事業所であってテロリズム[注 9]の対象となるおそれがあり、かつ、対象となった場合に広域にわたり、国民の生命及び身体に甚大な被害を及ぼすおそれのあるものとして政令で定めるもの[注 10]を対象原子力事業所として指定することができ(6条1項)、その敷地又は区域及びその周囲おおむね300メートルの地域を対象施設周辺地域として指定するものとする(6条2項)。
  • 以下の者は、それぞれに定めるときは、直ちに指定を解除しなければならない。
    • 対象危機管理行政機関[注 6]の長 対象施設でなくなったとき(3条5項)
    • 総務大臣 対象政党から指定の解除の要請があったとき又は対象政党事務所が対象政党の主たる事務所でなくなったとき(4条6項)
    • 外務大臣 指定の必要がなくなったとき(5条6項)
    • 国家公安委員会 指定の必要がなくなったとき(6条5項)
  • 警察官皇宮護衛官及び海上保安官は、第8条第1項又は第3項の規定に違反して小型無人機等の飛行[注 11]が行われていると認められる場合には、その小型無人機等の飛行[注 11]を行っている者に対し、その機器を対象施設周辺地域の上空から退去させることその他の対象施設に対する危険を未然に防止するために必要な措置をとることを命ずることができ(9条1項)[注 12]、命ぜられた者が措置をとらないとき、相手方が現場にいないため命ずることができないとき又は命ずるいとまがないときは、対象施設に対する危険を未然に防止するためやむを得ない限度において、小型無人機等の飛行の妨害、機器の破損その他の必要な措置をとることができる(9条2項)。
  • これらのほか、指定・解除は官報で告示しなければならないこと(3条4項及び6項、4条4項及び7項、5条5項及び8項並びに6条4項及び7項)・対象施設等に関する地図を作成し、インターネットなどにより公表するものとすること(7条)などを規定する。

対象外国公館等の指定履歴

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2016年(平成28年)4月7日の施行とともに、G7外相会合のため、開催場所であるグランドプリンスホテル広島が同年4月9日から4月11日、また訪問先である厳島神社及び平和記念公園が同年4月10日から4月11日、それぞれ対象施設に指定された[3]

2016年(平成28年)4月20日には、G7農業相会合のため、朱鷺メッセが同年4月23日から4月24日まで対象施設に指定された[9]

2016年(平成28年)4月26日には、G7情報通信相会合のため、高松シンボルタワーが同年4月29日から4月30日まで対象施設に指定された[10]

2016年(平成28年)4月28日には、G7エネルギー相会合のため、リーガロイヤルホテル小倉が同年5月1日から5月2日まで対象施設に指定された[11]

2016年(平成28年)5月11日には、G7教育相会合のため倉敷アイビースクエアが同年5月14日から5月15日まで、G7環境相会合のため富山国際会議場が同年5月15日から5月16日まで、G7科学技術相会合のためつくば国際会議場が同年5月15日から5月17日まで、それぞれ対象施設に指定された[12]

2016年(平成28年)5月17日には、G7財務相会合のため、ホテル佐勘が同年5月20日から5月21日まで対象施設に指定された[13][14]

2019年(令和元年)

脚注

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注釈

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  1. ^ 題名を「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律」に修正する(太字部を追加・修正)。
  2. ^ 危機管理行政機関・原子力事業所に関する規定及び特定航空用機器を用いて人が飛行することを禁止する規定
  3. ^ 小型無人機および特定航空用機器
  4. ^ 違反して対象施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(11条1項)。
  5. ^ 皇居又は御所の対象施設周辺地域である場合にあっては皇宮警察本部長にも、対象施設周辺地域が海域を含むものである場合にあっては管区海上保安本部長にも通報することが必要。
  6. ^ a b c 危機管理に関する機能を担う国の行政機関であって政令で定めるものをいい、以下の機関ごとに掲げる以下の庁舎とする(施行令1条。2016年(平成28年)5月23日現在)。
    内閣官房 東京都千代田区永田町1丁目6番1号に所在する庁舎(中央合同庁舎第8号館)及び東京都千代田区永田町2丁目4番12号に所在する庁舎(内閣府庁舎別館)
    内閣府 東京都千代田区永田町1丁目6番1号に所在する庁舎(中央合同庁舎第8号館)及び東京都港区赤坂5丁目2番20号に所在する庁舎(赤坂パークビル(食品安全委員会))
    国家公安委員会 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第2号館
    総務省 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第2号館)
    法務省 東京都千代田区霞が関1丁目1番1号に所在する庁舎(中央合同庁舎第6号館
    外務省 東京都千代田区霞が関2丁目2番1号に所在する庁舎(外務省庁舎)
    財務省 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号に所在する庁舎(財務省庁舎)
    文部科学省 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第7号館
    厚生労働省 東京都千代田区霞が関1丁目2番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第5号館
    農林水産省 東京都千代田区霞が関1丁目2番1号に所在する庁舎(中央合同庁舎第1号館
    経済産業省 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号に所在する庁舎(経済産業省庁舎)
    国土交通省 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第2号館)、東京都千代田区霞が関2丁目1番3号に所在する庁舎(中央合同庁舎第3号館)及び東京都千代田区大手町1丁目3番4号に所在する庁舎(気象庁庁舎)
    環境省 東京都千代田区霞が関1丁目2番2号に所在する庁舎(中央合同庁舎第5号館)及び東京都港区六本木1丁目9番9号に所在する庁舎(六本木ファーストビル原子力規制委員会))
    防衛省 東京都新宿区市谷本村町5番1号に所在する庁舎(防衛省庁舎)
  7. ^ 政治資金規正法に基づき届出をした政党(5人以上の衆議院議員又は参議院議員が所属するか直近の国政選挙において全国を通して2%以上の得票を得たもの)
  8. ^ 以下の者をいう。
    一 外国の元首(元首の任務を遂行する団体の構成員を含む。)及びその任務を代行し得る者並びにこれらの者の家族
    二 外国の政府の長(いわゆる首相)及びその任務を代行し得る者並びにこれらの者の家族
    三 外国の外務大臣及び同行する家族並びに外国の外務大臣に準ずる者
    四 外国の外務大臣以外の大臣及び同行する家族並びに外国の外務大臣以外の大臣に準ずる者
    国際連合事務総長及び事務次長並びに日本が加盟している国際機関の事務局長並びにこれらに同行する家族
    六 前各号に掲げる者以外の者で、外務大臣がこれらの者と同等の接遇を行う必要があると認めて指定するもの
  9. ^ 政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。
  10. ^ 原子力災害対策特別措置法第2条第4号に規定する原子力事業所とする(施行令2条)。
  11. ^ a b 小型無人機を飛行させることをいう(2条5項)。
  12. ^ 命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(11条2項)。

出典

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  1. ^ 小型無人機等飛行禁止法について”. 警察庁. 2016年4月20日閲覧。
  2. ^ 日本法令索引【法令沿革一覧】重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号)”. 国立国会図書館. 2020年2月10日閲覧。
  3. ^ a b 2016年(平成28年)4月7日、官報号外第82号
  4. ^ インターネット版『官報』 令和元年5月24日号外第17号 (pp.5-pp.6pp.7pp.8
  5. ^ インターネット版『官報』 令和2年6月24日号外第126号 (pp.10pp.12pp.13pp.14
  6. ^ 令和2年7月15日 国土交通省告示第七百四十一号”. 国土交通省. 2020年7月20日閲覧。
  7. ^ a b 航空:小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定について - 国土交通省”. www.mlit.go.jp. 2020年7月20日閲覧。
  8. ^ 小型無人機等の飛行禁止法について”. 警視庁. 2019年2月17日閲覧。
  9. ^ 2016年(平成28年)4月20日、官報本紙第6760号
  10. ^ 2016年(平成28年)4月26日、官報本紙第6764号
  11. ^ 2016年(平成28年)4月28日、官報本紙第6766号
  12. ^ 2016年(平成28年)5月11日、官報本紙第6771号
  13. ^ 2016年(平成28年)5月17日、官報本紙第6775号
  14. ^ 小型無人機等の飛行禁止区域”. 外務省. 2016年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月28日閲覧。
  15. ^ 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律第五条第一項、第二項及び第三項の規定に基づき対象施設の敷地等を指定する件(同一六) - インターネット版官報 2019年5月22日

関連項目

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外部リンク

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