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アマミホシゾラフグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
奄美星空河豚から転送)
アマミホシゾラフグ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: フグ科 Ostraciidae
: シッポウフグ属 Torquigener
: アマミホシゾラフグ
T. albomaculosus
学名
Torquigener albomaculosus Matsuura, 2014

アマミホシゾラフグ(奄美星空河豚、学名:Torquigener albomaculosus)とは、条鰭綱フグ目フグ科シッポウフグ属に分類される魚類である。

発見

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アマミホシゾラフグは2012年に発見された。直径2mほどの円形の幾何学的な模様が海底に存在することは1995年頃から知られていたものの、誰が何のために作っているのかは長らく謎のままであった。模様はミステリーサークルとも呼ばれている[1]。後に、この海底の模様は本種のオスが作った巣(産卵床)であったことが判明した。2012年7月に『ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜』のロケ奄美大島の南沖、琉球諸島近海)に同行・協力した国立科学博物館松浦啓一[2][3]は、観察結果や採集した標本を基に詳しく調べた結果、新種のフグであると確信し、論文を執筆。その論文は同年9月6日に日本魚類学会の英文誌Ichthyological Researchでオンライン出版した[4]

カール・フォン・リンネの誕生日(5月23日)に合わせ、ニューヨーク州立大学国際生物種探査研究所英語版は、珍しい生態などから特に注目すべき10種として前年に発見された新種の中から「新種トップ10」を選考しているが、2015年版に日本からアマミホシゾラフグとハナビラミノウミウシの仲間が選ばれた[5][6]

分布

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奄美大島沖縄諸島の近海。産卵床が確認されているのは奄美大島大島海峡と笠利湾のみで、沖縄諸島では、個体が捕獲されただけである[7]

本種の産卵床に極似した構造物と同時に同属種のフグが、2018年に西オーストラリア沖で撮影されている[7]

体長・模様

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約15cmで白い水玉模様が特徴。頭部と体の後ろ部分が茶色で腹部には白色と銀白色の水玉模様がある。2014年時点で、白い斑点をもつフグで図形を作成する唯一の種であると考えられている。

生態

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奄美大島近海では、水深約10mから約30mの浅いところに棲息している。沖縄島近くの浜比嘉島近海で2017年に捕獲されたメス個体は水深100mからであった[7]

オス胸鰭や尾鰭[8]を使って、直径2mの印象的(幾何学的)なデザインの円形の巣を作り真ん中の着卵床にメスを呼んで卵を産んでもらい繁殖を行う[9]。繁殖が済んだその後、着卵床は使われない[9]

なお、2018年に西オーストラリア沖の水深129-137mの海底で、本種の産卵床に極似した構造物22個と、同時に同属種のフグが、遠隔操作の探査機により撮影されたが、写真が不鮮明なため本種とは同定できなかった[10]

放送

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参考資料

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脚注

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  1. ^ 日本放送協会. “奄美大島近海の海底“ミステリーサークル”でフグの産卵確認 | NHK”. NHKニュース. 2022年5月20日閲覧。
  2. ^ 「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」 - 世紀の発見!海底のミステリーサークル -”. 2015年1月10日閲覧。
  3. ^ 大島海峡「ミステリーサークル」の謎”. 2015年1月10日閲覧。
  4. ^ Matsuura, Keiichi (2015-01-01). “A new pufferfish of the genus Torquigener that builds “mystery circles” on sandy bottoms in the Ryukyu Islands, Japan (Actinopterygii: Tetraodontiformes: Tetraodontidae)” (英語). Ichthyological Research 62 (2): 207–212. doi:10.1007/s10228-014-0428-5. ISSN 1616-3915. https://doi.org/10.1007/s10228-014-0428-5. 
  5. ^ 世界の新種生物トップ10 初めて日本から2種選出”. 2015年5月22日閲覧。
  6. ^ ミステリーサークルを作るフグ、日本初「2015年世界の新種トップ10」入り。”. 2015年5月22日閲覧。
  7. ^ a b c 松浦啓一・萩原清司 2022 加計呂麻島北岸と奄美大島北部で発見されたアマミホシゾラフグの産卵巣 横須賀市博研報 69:19-23.
  8. ^ 海底のミステリーサークル アマミホシゾラフグ・愛の巣づくり 鹿児島・奄美大島”. 2015年5月22日閲覧。
  9. ^ a b Kawase, Hiroshi; Okata, Yoji; Ito, Kimiaki (19 April 2013). “Role of Huge Geometric Circular Structures in the Reproduction of a Marine Pufferfish”. Scientific Reports 3. doi:10.1038/srep02106. http://www.nature.com/srep/2013/130701/srep02106/full/srep02106.html 3 January 2015閲覧。. 
  10. ^ Bond T., Mueller R. J., Birt M. J., Prince J., Miller K., Partridge J. C. and McLean D. L. 2020. Mystery pufferfish create elaborate circular nests at mesophotic depths in Australia. Journal of Fish Biology, Volume: 97, Issue: 5, Pages: 1401-1407, First published: 21 August 2020, DOI: (10.1111/jfb.14506)
  11. ^ 世紀の発見!海底のミステリーサークル”. 2015年1月24日閲覧。
  12. ^ 驚き!感動! 日本の生きものたちはスゴかった”. 2015年1月24日閲覧。