常麿
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(喜多川常麿から転送)
来歴
[編集]現在、ニューオータニ美術館所蔵の肉筆美人画「蠶図」(絹本着色)の1点のみがその作として知られており、文化から文政にかけての頃の作とされる。この絵には「常麿」の落款があるが、その下に捺されている印章には「高麿」とあり、落款と印章でなぜ名が食い違っているのかは不明である[1]。「蠶図」は若い娘が蠶(蚕)の世話をする様子を描いたもので、蚕の世話をする絵の作例は既に鈴木春信などにもあるが、それらは伝統的な「耕織図」を意識して画題に取り上げたものであり、本図は若い娘の容姿を主眼としている。娘の顔には喜多川歌麿の画風が伺われ、名に「麿」の字を使うところから、『幻の浮世絵美人たち』では歌麿の門人と推測されるとしているが明らかではない。ただし『肉筆浮世絵大観』は「蠶図」の描写に不慣れな点が見られるので、「絵師を本業としない人物」だったのではないかと述べている。飯田藩に島高麿という絵師がおり、肉筆浮世絵の美人画も描いていることから同一人物ではないかと思われる。
脚注
[編集]- ^ 『幻の浮世絵美人たち』は印文不明の印と「麿」の印とする。
参考文献
[編集]- ニューオータニ美術館編 『幻の浮世絵美人たち -大谷コレクション肉筆浮世絵-』 ニューオータニ美術館、1991年 ※152頁
- 小林忠編 『肉筆浮世絵大観(8) ニューオータニ美術館』 講談社、1995年 ※217 - 218頁