神話 (大栗裕)
『神話』(しんわ)は、大栗裕が作曲した楽曲。
概要
[編集]吹奏楽版(1973年作曲)と、管弦楽版(1977年作曲)があり、前者を「吹奏楽のための神話」、後者を「管弦楽のための神話」と呼び、ともに「天の岩屋戸の物語による」という副題をもつ。「吹奏楽のための神話」は1989年に音楽之友社から出版されて以来絶版となっていたが、2013年に原典版が出版され、「管弦楽のための神話」も2016年に原典版が出版された。手書きのフルスコアは、大阪フィルハーモニー交響楽団内の「大栗文庫」所蔵。
基本情報
[編集]吹奏楽のための「神話」〜天の岩屋戸の物語による
[編集]大阪市音楽団の創立50周年を記念して作曲し、1973年9月26日に開かれた記念演奏会において永野慶作の指揮、同団の演奏により初演された。
管弦楽のための「神話」〜天の岩屋戸の物語による
[編集]朝比奈隆の依頼によって、1977年に上記の版を管弦楽に編曲した。1978年に朝比奈指揮、大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で初演された。
楽器編成
[編集]吹奏楽のための「神話」
[編集]木管 | 金管 | 弦・打 | |||
---|---|---|---|---|---|
Fl. | 2, Picc. | Tp. | 3 | Cb. | ● |
Ob. | 2 | Hr. | 4 | Timp. | ● |
Fg. | 2 | Tbn. | 3 | 他 | Bongo,Tam-tam,Glockenspiel, Trianglo,Conga,cymbals, |
Cl. | 3, E♭, Bass | Eup. | ● | ||
Sax. | Alt. 2 Ten. 1 Bar. 1 | Tub. | ● |
管弦楽のための「神話」
[編集]木管 | 金管 | 打 | 弦 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
Fl. | 2,Picc. | Hr. | 4 | Timp. | ● | Vn.1 | ● |
Ob. | 2 | Trp. | 3 | 他 | 吹奏楽と同じもの | Vn.2 | ● |
Cl. | 2,B.Cl | Trb. | 3 | Va. | ● | ||
Fg. | 2,Cfg. | Tub. | 1 | Vc. | ● | ||
他 | 他 | Cb. | ● |
楽曲
[編集]演奏時間は約14分。天岩戸における「岩戸隠れ」の神話を「かなり即物的に」再現したものである。
曲はアダージョで始まり、暗い響きで、天照大神が隠れてしまったことで暗闇に包まれた世界を表わす。暗闇の中に次第に神々が集まってくると、常世長鳴鳥(とこよのながなきどり)の鳴き声が弱音器(ミュート)を付けたトランペットとコルネットのファンファーレで表現される。
打楽器のリズムを合図にテンポを上げてアレグロ・モルトとなり、天宇受売命が踊り、神々がそれをはやし立てるさまを描写する。途中に現れるアンダンテの部分は、天岩戸の中で外を気にし始めた天照大神の姿を描く。再びアレグロとなって踊りが再現されると、戸を開けてしまった天照大神は連れ出される。再びアンダンテとなると、今度は明るい響きとなり、世界が光を取り戻した情景を描いて曲を終える。
参考
[編集]- 大阪市音楽団『ジャパニーズ・バンド・ミュージックIV 大栗裕作品集』(東芝EMI、TOCF-6018)解説(樋口幸弘、1999年)
外部リンク
[編集]- 大栗裕 作品選集 - 出版社サイト