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原子力損害の賠償に関する法律

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
原子力損害賠償法から転送)
原子力損害の賠償に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 原子力損害賠償法
原賠法
法令番号 昭和36年6月17日法律第147号
種類 民法
効力 現行法
成立 1961年6月8日
公布 1961年6月17日
施行 1962年3月15日
主な内容 原子力施設等により損害が生じた場合の損害賠償
関連法令 民法
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
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原子力損害の賠償に関する法律(げんしりょくそんがいのばいしょうにかんするほうりつ、昭和36年6月17日法律第147号)は、原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め、製造者の保護を図り、原子力事業の健全な発達に資することを目的とする[1]日本法律

構成

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  • 第1章 総則(1・2条)
  • 第2章 原子力損害賠償責任(3 - 5条)
  • 第3章 損害賠償措置
    • 第1節 損害賠償措置(6 - 7条の2)
    • 第2節 原子力損害賠償責任保険契約(8・9条)
    • 第3節 原子力損害賠償補償契約(10・11条)
    • 第4節 供託(12 - 15条)
  • 第4章 国の措置(16・17条)
  • 第5章 原子力損害賠償紛争審査会(18条)
  • 第6章 雑則(19 - 23条)
  • 第7章 罰則(24 - 26条)
  • 附則

概要

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目的
  • 原子力発電、原子燃料製造、再処理など原子炉の運転等[2]により原子力損害が生じたことにより被害を被った者の救済を制定する法律である。
責任の所在

「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(3条1項)

  • 事故を起こした原子力事業者に対しては、事故の過失無過失にかかわらず、無制限の賠償責任がある(無限責任主義[3][4]
  • 賠償を迅速かつ確実に遂行するため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入(保険会社との契約)、原子力損害賠償補償契約(国との契約)等の損害賠償措置を講じることを義務付けている(第3章第2節、第3節)。
  • 賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なり、通常の商業規模の原子炉の場合は1200億円と定められる(第7条)[3]高濃縮ウランを扱う加工事業者には、240億円と定められる[5]
  • 賠償措置額を超える原子力損害が発生し、原子力事業者が自らの財力では全額を賠償できない等の事態が生じた場合は、が原子力事業者に必要な援助を行い、被害者救済に遺漏がないよう措置することを定めている[3]。これは被害者救済の実行を目的としたものであり、原子力事業者の無限責任を免除する性質のものではない[6]
  • 第三条但書「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」について、地震であれば関東大震災の3倍以上の加速度をもつものをいうと解されているが[7]、政府は隕石の落下や戦争などを想定したもの(文部科学省幹部より)として福島第一原子力発電所事故には適用されないとの方針を示している[8]
責任集中の原則
  • 賠償責任を負う原子力事業者以外の者は、一切の責任を負わない。被害者が容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようにするためのものである[9]
  • 責任者たる原子力事業者に機器等を提供している関連事業者を、被害者の賠償請求との関係において免責する。関連事業者が安定的に資材を供給し、原子力事業の健全な発達に資するためのものである[9]
賠償請求と認定
  • 本法律は、民法の損害賠償に関する規定の特例を定めたものである。本法律に定めていない点については、一般法である民法の規定に従うこととなり、被害者は通常の民事賠償における請求手続(訴訟)を行うことが必要である[10]
  • 原子力損害かどうかの認定、また賠償内容は原則として加害者である原子力事業者と被害者の当事者同士で行う。賠償債務の存在、賠償額等について当事者間に争いがある場合、最終的には裁判を以てして解決される[11]

脚注

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  1. ^ 第1章(総則)第1条(目的)より。
  2. ^ 「原子炉の運転」「核燃料物質の加工」「核燃料物質の再処理」「核燃料物質の使用」「核燃料物質等の貯蔵」「核燃料物質等の廃棄」「核燃料物質等の運搬」
  3. ^ a b c 原子力損害賠償法 - 原子力災害発生時の対応 - 電気事業連合会 でんきの情報広場 2011年3月20日閲覧。
  4. ^ Q5.原子力事業者が賠償措置額である1200億円を支払い終わったら、それ以上は賠償はなされないのですか? 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。
  5. ^ Q7.平成11年に起きたJCOウラン加工工場臨界事故の際は、原子力損害賠償制度は活用されたのですか? 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。
  6. ^ Q6.事業者が賠償請求額を賠償措置(保険又は政府補償)及び自らの資力では支払い切れなかった場合は、どうなるのですか? 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。
  7. ^ 第3回原子力損害賠償制度専門部会議事要旨(案) - 内閣府原子力委員会
  8. ^ 東日本大震災:福島第1原発事故 放射能漏れ 賠償、国負担も 地元損害、巨額に 毎日jp 2011年3月26日閲覧。[リンク切れ]
  9. ^ a b Q3.責任集中の原則とはどのようなものですか。 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。
  10. ^ Q8.原子力損害発生時の被害者による賠償請求の具体的手続はどのようになっていますか。 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。
  11. ^ Q9.原子力損害かどうかの認定は誰が行うのですか? 文部科学省 原子力・放射線安全確保 FAQ 2011年3月20日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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