利用者:Süd-Russisches/谷口式望遠鏡
谷口式望遠鏡(たにぐちしきぼうえんきょう、Taniguchian telescope )は、日本の実業家谷口浩により考案された反射望遠鏡の形式である。異なる半径を有する2つの凹円柱面鏡により構成される[1]。
発明
[編集]従来の望遠鏡は、いずれの形式でも凸面レンズ、または凹面主鏡によって縦軸、横軸方向を同様に集光するが、谷口式望遠鏡は、縦軸と横軸方向を主鏡と副鏡で別に集光する。
谷口式の主鏡・副鏡はおおむねグレゴリー式・カセグレン式と同様に対向して配置され、主鏡の中央に開口部を設ける[2]。主鏡はその円柱面の軸方向と直角の向きにのみ集光を行い、これと直角の向きの集光を行わない。一方、副鏡は主鏡と円柱面の軸が直角になるように配置されており、主鏡の軸方向のみ集光を行いこれと直角の向きの集光は行わない。主鏡の焦点距離は主鏡-副鏡-焦点位置の長さであるのに対して、副鏡の焦点距離は副鏡-焦点位置となるため、二つの円柱面鏡の焦点距離は異なる。主鏡の軸方向とこれと直角の方向で光路図が異なる。
谷口式望遠鏡のメリット
[編集]反射望遠鏡の各種の収差は鏡面の形状を球面から放物面・双曲面などの高次非球凹面に変更することにより補正することができる。従来の望遠鏡ではこの際3次元の高次非球凹面鏡を制作する必要がある。これに対して谷口式では2次元の高次非球凹面鏡を利用するので制作が容易となる。
望遠鏡を宇宙空間で用いるとき、打ち上げ時の衝撃が鏡等に与える影響を考慮する必要がある。谷口式望遠鏡の鏡は円柱面鏡であるため、衝撃力のつよいロケットの軸方向と鏡面の軸方向を揃えることで球面鏡と比べ衝撃の影響を軽減することができる。
谷口式望遠鏡のデメリット
[編集]谷口式望遠鏡はニュートン式望遠鏡などと同様に副鏡が主鏡の中央部に入る光を遮って光量を減少させる。さらに、谷口式望遠鏡の副鏡は鏡筒の幅と同じ長さをもつため影響が大きい。
シュミット式望遠鏡同様に、縦軸と横軸の比率がちょうど程よくなる点が一点のみとなるので、接眼レンズでの観測には向いていない。[3]
歴史
[編集]1984年、当時中学二年生であった谷口浩は、ハレー彗星の近日点通過に合わせて彗星をどうしても見たいという想いから、望遠鏡を制作した。ぼんやりと食器のスプーンを見て、スプーンの裏面は目とスプーンの距離によって大きくも小さくも見えるという事象から、谷口もグレゴリーやニュートンと同様の反射望遠鏡を思いつくが、アルミホイルにシワを付けずに縦にも横にも曲げるという加工がどうしてもできず、結果的に縦軸と横軸を分けて拡大するというアイデアに行き着いた。
2015年特許庁に特許申請、2016年に特許取得後、国際出願を経て、2019年4月米国特許として認められる。