源興牛
源興牛（げんこうぎゅう、台湾語:Goân-heng）は、台湾で飼育される肉牛の系統。日本の黒毛和種に由来し、台湾和牛（たいわんわぎゅう）とも呼ばれる。長年、陽明山国家公園で放牧されてきたが、現在は花蓮県の鳳林鎮にある兆豐農場で飼育されている。この品種は、中華民国の元総統である李登輝が設立した李登輝基金会が購入したもので、台湾の肉牛市場を開拓するための計画の基礎となる。
来歴
[編集]源興牛の起源は、日本統治時代の1930年代に日本人が台湾で農業や牧畜を行うために日本の黒毛和種が海路で基隆港に運ばれ、現在の新北市の万里区にある第三牧草地で飼育されたことに遡る。第二次世界大戦後、黄という名の牛飼いが国民党政府からこのうち14頭を譲り受け、擎天崗に移動させて放牧し、2016年まで合計19頭を飼っていた[1][2][3]。
2016年8月に中華民国元総統の李登輝が自国の品種の肉牛を台湾に設立することを決めたため、李登輝基金会の秘書長である王燕軍が計画を担当しました。 同年9月、王は史料でこの種の牛の存在を知ったが、品種が分からなかったため、直接擎天崗を訪れて飼育者と交渉し、ようやく購入に成功した。2017年、李登輝らは、牛の飼育を主導するために「源興居生技公司」を設立し、李登輝の先祖代々の家「源興居」にちなんで、「源興牛」と命名した[4][5]。
2018年、血液検査と遺伝子検査の結果、日本の見島牛 (山口県) に近い品種であることが認定された[6][1]。 同年、源興牛の系統は乳牛と交配して子孫を残すようになり、その予備的な食肉試験が行われた[7][8]。2020年7月末に李登輝が亡くなった後、源興牛の飼育は劉泰英に引き継がれた[9]。
2021年7月の時点で、源興牛の最初の子孫の数は100頭に達し、年末までに40から50の二世代目の子孫を産むと予想され、合計で約200頭となる[10]。8月23日、源興牛生技公司と国立東華大学は、牛の品種を共同開発するための産学連携に関する覚書に署名した[11]。
2024年6月17日、中華民国農業部は源興牛の新品種登録を発表し、これは台湾で初めて民間で発見され、政府の認可を受けた牛の新品種となりました[12]。
特性
[編集]源興牛は低緯度の台湾に適応し、日本の和牛のほとんどの品種よりも高温多湿の環境に適応しやすい[8]。
食品用途に関しては、源興牛生技公司は2021年前半に盲検試験を実施し、その肉質はアメリカの牛よりも優れていることを発見しました。牛肉に加えて、牛乳の品質も一定の基準を満たしており、乳肉兼用品種となっている[13]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b “封存在時空膠囊中的禮物 日本「原原種但馬牛」在台現身 -- 上報 / 調查”. www.upmedia.mg. 2021年11月28日閲覧。
- ^ “「源興牛種原品種外表特徵標準之訂定」籌備會議會議紀錄（108年5月2日畜試育字第1082410049號）”. 2021年11月29日閲覧。
- ^ 毅傳媒. “打開擎天崗時光寶盒 阿輝伯的台灣和牛夢【政老殞落3】 | 毅傳媒” (中国語). LINE TODAY. 2021年11月28日閲覧。
- ^ “【全文】台灣肉牛邁大步 李登輝培育新牛種曝光” (中国語). 鏡週刊 Mirror Media (2019年2月5日). 2022年2月7日閲覧。
- ^ “王燕軍跨行培育「源興牛」 一圓李登輝的台灣養牛夢 -- 上報 / 調查”. www.upmedia.mg. 2022年2月7日閲覧。
- ^ “尋訪臺灣和牛的原點「見島牛」” (中国語). nippon.com (2018年10月19日). 2022年2月7日閲覧。
- ^ “盼台灣牛不輸日本和牛 李赴花蓮培育源興牛 ｜ 蘋果新聞網 ｜ 蘋果日報” (中国語). 蘋果新聞網 (2020年7月31日). 2022年2月7日閲覧。
- ^ a b “〈台灣總統牛1〉媲美日本A級和牛 李登輝牛明年量產【壹特報】” (中国語). Next Magazine TW. 2022年2月7日閲覧。
- ^ ETtoday新聞雲. “李登輝晚年最大心願！培育「台灣和牛」 劉泰英接手完成最後一哩路 | ETtoday財經雲 | ETtoday新聞雲” (中国語). finance.ettoday.net. 2022年2月7日閲覧。
- ^ “前總統李登輝辭世一週年 「源興牛」家族年底上看200頭” (中国語). 農傳媒 (2021年7月30日). 2022年2月7日閲覧。
- ^ 自由時報電子報 (2021年8月25日). “李登輝「和牛夢」繼續前進 劉泰英找東華大學產學合作 - 自由財經”. 自由時報電子報. 2022年2月7日閲覧。
- ^ 共同 (2024年6月18日). “台湾和牛と呼ばれる「源興牛」が新品種に 日本由来の肉牛、李登輝元総統が育成に尽力”. 産経新聞
- ^ “「源興牛」肉乳均可用！總座黃世榮：盲測比美牛好吃” (中国語). 農傳媒 (2021年7月30日). 2022年2月7日閲覧。
参考文献
[編集]- 劉泰英 (2019年6月3日). “《泰公開講》劉泰英：台灣和牛出頭天”. CTWant
- 王淑瑛、陳雨馨 (2020年8月4日). “自己的和牛自己養！「源興牛」是怎麼培育的呢？”. 泛科學. 2020年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月4日閲覧。
- 李登輝、王燕軍、中村佐都志、長嶺慶隆 (2018). “SNPマーカーを用いた台湾牛種と黒毛和種および欧米種との遺伝的関係の解析”. 日本畜産学会報 89 (1): 7-11. doi:10.2508/chikusan.89.7.