利用者:軽快/トークン方式
トークン方式 (英:token charging system)は図書館における図書の貸出方式の一つ。イギリスのウェストミンスター公共図書館で1954年に考案された[1]。合札(あいふだ)方式とも呼ばれる[2]。
手続き
[編集]予め、トークンと呼ばれる市章などが印刷された[1]プラスチック製の板を用意しておき、利用登録時に図書館の同時貸出可能な冊数と同じ枚数だけ利用者にこれを与える[2]。更に、利用者が利用資格を有していることを示す貸出券も与える。図書には返却日を記入するためのデートスリップを貼り付けておく[2]。
利用者が貸出を受ける際に貸出券と貸出を受ける図書の冊数分の枚数のトークンを図書と一緒に図書館員へ渡す[2]。図書館員は利用者の貸出券を確認し、返却予定日をデートスリップに押印した上でトークンと引き換えに図書を貸し出す[2]。
利用者から図書の返却を受けたときは、図書館員はデートスリップの返却日を確認した上で返却を受けた冊数分のトークンを利用者へ返却する[2]。
利点と欠点
[編集]利点として、手続きが極めて簡便である点があげられる[2]。トークン方式が非常に簡便であるために、Kirkwood, Leila H.著『Charging systems volume 2, part 3』によれば、サービスカウンターの人員を5-10%程度削減し、削減した人員を他の図書館業務に配置することができるとしている[3]。
その一方で、貸出図書と利用者がセットになった貸出記録を作らない[1]。そのため、誰に何を貸し出したか、何時返却されるのかということが不明であり、予約業務や督促業務が出来ないという致命的欠陥を抱えている[1][2]。もちろん、紛失図書を特定することも出来ない[4]。
ただし、登録更新時にトークンを提示させることで図書の紛失を防ぐことができる[1]。また、トークンに利用者番号・氏名等を付し、貸し出した利用者を特定することで督促を可能とする、ライブラリートークン方式も存在する[1]。
歴史
[編集]ウェストミンスター公共図書館で1954年に考案されるが、日本では既にニューアーク方式やブラウン方式が用いられていたため、普及しなかった。簡便で迅速性が優れている性質を利用し、混雑の多い図書館や移動図書館などの採用例が散見される[註 1]。
参考文献
[編集]- 図書館用語辞典編集委員会 編『最新 図書館用語大辞典』柏書房、2004年4月。ISBN 4760124896。全国書誌番号:20590278。
- Kirkwood, Leila H. (1961). Charging systems volume 2, part 3. Graduate School of Library Service. LCCN 60-16771
- 日本図書館協会用語委員会 編『図書館用語集 改訂版』日本図書館協会、1997年1月20日。ISBN 4820496069。全国書誌番号:97015108。
出典
[編集]- ^ a b c d e f 図書館用語辞典編集委員会 2004, p. 362.
- ^ a b c d e f g h 日本図書館協会用語委員会 1997, p. 498.
- ^ Kirkwood, Leila H. 1961, p. 309.
- ^ Kirkwood, Leila H. 1961, p. 310.
- ^ 大分県立図書館 編『大分県立図書館百年史』(PDF)大分県立図書館、2005年2月28日。全国書誌番号:20774034 。
- ^ a b “横浜市中央図書館開館20周年記念展示「横浜の図書館がひとつになった日」 沿革” (PDF). 横浜市中央図書館 (2014年2月). 2014年8月14日閲覧。
注
[編集]- ^ 具体例として、大分県立図書館児童室で1977年から1987年までの通常のトークン方式の採用[5]や横浜市山内図書館で開館時の1977年から1994年までの記名トークン方式[6]、同市移動図書館での通常のトークン方式の採用[6]などが見られる。