大久保淳二
大久保 淳二(おおくぼ じゅんじ、1974年 - )は、フリーで活動する日本のデザイナー・イラストレーター。出雲重機(いずもじゅうき)の名義でメカニックデザイナーとしても活動している。
東京都昭島市出身。1980年代のSF映画に大きく傾倒しており、影響を受けた人物としてロン・コッブ、ジョー・ジョンストン、ラルフ・マクォーリー、シド・ミードの名を挙げている[1]。また、人型ロボットはあまり得意ではないと公言している[2]。
『スター・ウォーズ』の熱烈なファンで、1997年頃にはそのファンサイトを運営していた[3]。
経歴
[編集]1995年に専門学校を卒業したのち、そのまま学校に技術職員として就職。1997年頃は映画のCG合成スタッフとしての経歴がある[4]。
1998年からは、漫画家藤原カムイの制作事務所に入り、当時の連載作品の漫画製作アシスタントのほか、公式サイトのデザイン、漫画単行本の装丁デザインなどを担当。その傍らでフリーのイラストレーターとして活動を開始している。
当時は『出雲重機』というインディーズブランドを立ち上げ、架空重機のイラストを描いたウェアを販売していた。また、いくつかのクラブイベントや展示会への参加のほか、ウェブサイト上でもイラストを公開。それがゲームディレクター河野一二三の目にふれ、後に『鉄騎』のメカニックデザイナーとしてスカウトされるきっかけとなる[4]。
2000年からはアニメ情報誌「月刊ニュータイプ」連載作品『フォー・ザ・バレル』にメカニックデザイナーとして参加。ガンダムに相当するウィルバーのデザインは、連載が始まる半年以上前から検討されたが、結局は連載を続ける中で決定されたものであり、大変なプレッシャーがあったと語っている[5]。
同年10月にはBNN社のデザイン誌『design plex No.43』で『出雲重機』が特集された。さらに2002年にカプコンから発売されたゲーム『鉄騎』では登場するメカのVTをデザイン。関連して発売された『CAPCOM Figure Collection 鉄騎』は大久保メカの唯一の立体化商品である(2011年現在)。
2003年からは藤本"ANI"健太郎 (nendo graphics)、BEAT SERVICEと共同で目黒に制作事務所『Raredrop』を開設し、映像・広告系の業務を中心に行っていた。共同制作事務所は2007年頃に解散し、以降は個人でアニメやゲームなどの分野を中心に活動を行っている模様。
現在は海外のゲームコンテンツ制作に参加するなど、国内外問わず活動中[6]。
主な参加作品
[編集]ゲーム
[編集]- 『鉄騎』(2002年 カプコン)VTデザイン
- 『ストリートファイター オンライン マウスジェネレーション』(2008年 ダレット)背景デザイン原案
- 『無限航路』(2009年 セガ・プラチナゲームズ)戦艦デザイン
- 『Strike Suit Zero』(2012年 doublesix games)メカデザイン
アニメーション
[編集]- 『EX MACHINA -エクスマキナ-』(2007年)プロップデザイン
- 『Hi-OSS FUTURE ADVENTURE』(2007年)メカデザイン
- 『VIPER'S CREED』(2009年)バグメックデザイン
- 『魔法科高校の劣等生』(2014年)CAD・プロップデザイン
- 『オーバーロード』(2015年)サブキャラクターデザイン・モンスターデザイン・プロップデザイン
- 『ブレイブウィッチーズ』(2016年)ネウロイデザイン
- 『劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女』(2017年)メカニックデザイン
- 『GODZILLA』メカニックデザイン協力
- GODZILLA 怪獣惑星(2017年)
- GODZILLA 決戦機動増殖都市(2018年)
- GODZILLA 星を喰う者(2018年)
- 『ノー・ガンズ・ライフ』(2019年)メカニックデザイン
- 『ブルバスター』(2023年)メカニックデザイン[7]
映像
[編集]- 『MTV Japan - Music and More...』(2003年)プロダクションデザイン
- 『MTV Japan - amp』(2003年)プロダクションデザイン
- 『MTV Japan - Video Music Award Japan 2006』(2005年)美術制作
- 『MTV Japan - Live Spot』(2006年)美術制作
- 『TVCF サントリー「C.C.Lemon」』(2009年)宇宙船デザイン
イラスト
[編集]- 『Gasbook 02: Machine』(1997年 エーアンドピーコーディネータージャパン)CG
- 『G20 ジー・ツ−・オー』Vol.6 Vol.8(1999年 アスキー)表紙イラストほか
- 『フォー・ザ・バレル / FOR THE BARREL』(1999年 - 2002年 月刊ニュータイプ連載)挿絵、メカデザイン
- 『DEKU 親愛なる来訪者』(2001年 佐藤茂・角川書店)扉イラスト、メカデザイン
- 『ATOMIC GOD』(2001年 Machine・日本クラウン)ジャケットイラスト
- 『saelvei∫∂n-D9』(2001年 Machine・日本クラウン)ジャケットイラスト
- 『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル U.C.0083-0099』(2003年 エンターブレイン)表紙イラスト
- 『ノワーズ Vol.42 酸欠新聞 第11号』(2003年 バンダイナムコゲームス)イラスト
- 『ヤバコプター』(2004年 LEOPALDON)CG
- 『DO YOU? Vol.4』(2005年 ソフトバンクパブリッシング)イラスト
- 『STEEL VENUS』(2011年 VALKILLY)ジャケットデザイン・イラスト
演劇
[編集]- 『くねくねし』(2004年 劇団くねくねし)宣伝美術
- 『ドット職人くねくねくん』(2004年 劇団くねくねし)舞台美術
- 『おみそれテクニク大辞典 ろくろっ首ロードくねくね!』(2005年 劇団くねくねし)衣装デザイン
- 『プレタとポルテのくねくねオートクチュール』(2005年 劇団くねくねし)企画
その他
[編集]- 『学校の怪談3』(1997年)デジタル合成
- 『モスラ2 海底の大決戦』(1997年)デジタル合成
- 『Kamui Collection #000「VIRGIN」』(1999年 藤原カムイ・同人誌)装丁
- 『Kamui Collection #001「犬狼伝説」凍結版』(1999年 藤原カムイ・角川書店)装丁
- 『Kamui Collection #002「HOT愛Q」凍結版』(1999年 藤原カムイ・角川書店)装丁
- 『Kamui Collection #003「帝都物語」凍結版』(1999年 藤原カムイ・角川書店)装丁
- 『Kamui Collection #004「犬狼伝説完結篇」凍結版』(2000年 藤原カムイ・角川書店)装丁
- 『キリンビール大学(健康学部他)』(2003年 - 2008年)絵コンテ、キャラクターデザイン
- 『NHKハイビジョン特集パウル・クレー 烙印を押された画家 退廃美術展』(2007年)CG制作協力
連載
[編集]- 『WinGraphic』誌上で初心者向け3DCG講座を連載していた。
著書
[編集]- 『出雲重機』(2006年 エンターブレイン) ISBN 4757727356
脚注
[編集]- ^ 『出雲重機』エンターブレイン、2006年、p.69.
- ^ 『鉄騎大全』双葉社、2003年、p.164.
- ^ 『Gasbook 02: Machine』エーアンドピーコーディネータージャパン、1997年、p.36.
- ^ a b 『出雲重機』エンターブレイン、2006年、p.70.
- ^ 『NEO MAGAZINE 009』インタビュー Uncooked Media、2005年、p.28.
- ^ メカデザインは出雲重機! スペースコンバット『Strike Suit Zero』発表 - Game*Spark. 2011年8月10日。
- ^ “「夢見る男子は現実主義者」TVアニメ化、突如現実を見た男子と美少女のすれちがいラブコメ”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年11月18日) 2022年11月18日閲覧。