博学者
博学者(はくがくしゃ、英: polymath、ポリマス、博識家とも)は、西洋の伝統的な称号の一つ。様々な事柄や分野に通じていて、優れた学識を持った人のこと[1]。言い換えれば、知識が百科事典並み、多様、広範囲な人[2]。特にルネサンス期に理想的な人格とされた。
語源はギリシャ語の「ポリュマテース」(πολυμαθής, polymathēs) であり、「多い」(πολυ) と「学ぶ」(μαθ-) の合成語である[3]。
関連する用語
[編集]関連する用語として「ルネサンス人」(英語: Renaissance man) がある(この用語は20世紀初めに始めて英語で記録された)[4]。また、「普遍人」「万能人」(羅: homo universalis, 伊: uomo universale, 英: universal person; universal man) ともいい、特定の狭い分野だけに才能を発揮する「異才人[5]」(伊: uomo singolare) と対比される。
今日、誰かがルネサンス人と呼ばれた時は、ただ様々な分野での広い好奇心や表面的な知識だけを持っているのでは無く、(少なくともいくつかの)分野で知識がより深く、熟練しているか、完成されている[6][7][8][9]。専門家の業績の熟練度に匹敵するレベルである[10]。
erudite(博識者、碩学)は、antiquarian(好古家)と共に、19世紀以降の近代的な歴史学者の前身に当るものとして西洋史学史に触れられることがある。
ルネサンスの理想
[編集]著名な博学者の多くは、ヨーロッパのルネサンス時代に活動した。そして、教育の方法は典型的なヒューマニズムの考えが典型的だった。この時代の紳士や廷臣は、幾つかの言語を話し、楽器を演奏し、小説を書くなどの充足が期待されていた。
ルネサンス時代、バルダッサーレ・カスティリオーネは著書『宮廷人』(Il libro del Cortegiano)で、博学者になるためのガイドを記している。
有名な欧州の博学者
[編集]- レオン・バッティスタ・アルベルティ:「しばしばルネッサンス博識家の原型であると思われる」[16]
- サミュエル・テイラー・コールリッジ:「コールリッジは、どんな思索家よりも、普遍的な知識が無敵であり間違いなく博識家であった」"[17]
- ベンジャミン・フランクリン:「知的な究極のクレオール…。啓蒙スタイルの正真正銘の博識家、彼は、政治と文学と同様、自然科学の研究によって大西洋の両側において著名になった」[18]
- アレクサンダー・フォン・フンボルト:「アレクサンダー・フォン・フンボルト、プロイセン人の博識家」[19]
- トーマス・ジェファーソン:「トーマス・ジェファーソン(1743-1826). 博学者で三代アメリカ大統領である」[20]
- ジョン・フォン・ノイマン:"「人類は、しばしばフォン・ノイマンのような博識家を生み出せない。その時、人類の歴史で最大の危機の中心に彼を据え置いたのである」"[23]
- リチャード・ポズナー:「リチャード・ポスナーは博識家でワンマンのシンクタンク、常に前の列に座って、そして教師の質問の答えを知っていた子供の大人バージョンである。[25]
- ハーバート・サイモン:「サイモンは心理学とコンピュータ・サイエンス、科学の哲学における仕事で有名な非常に著名な博識家で、人工知能のリーダーである。経済学でのノーベル賞を受賞した。」"[27]
- ハーバート・ジョージ・ウェルズ:「50年前に英国の博識家とアマチュア歴史家は...」[28]
脚注
[編集]- ^ Encarta dictionaryCambridge dictionary[1]
- ^ [2][3]Oxford concise dictionary[4](See [5] for examples of actual use)
- ^ この言葉は、17世紀の初めに英語で初めて記録された用語である。Harper, Daniel (2001年). “Online Etymology Dictionary”. 2006年12月5日閲覧。
- ^ Harper, Daniel (2001年). “Online Etymology Dictionary”. 2006年12月5日閲覧。
- ^ 『普遍人』 - コトバンク
- ^ Encarta dictionary
- ^ [6]
- ^ [7]
- ^ [8]
- ^ [9]
- ^ Eliot, George (2004) [1871]. Gregory Maertz (ed.). ed. Middlemarch. Broadview Press. ISBN 1-55111-233-7 Note by editor of 2004 edition, Gregory Maertz, p. 710
- ^ Shand, John (2006). Central Works of Philosophy, Volume 2: Seventeenth and Eighteenth Century. McGill-Queen's Press. ISBN 0-7735-3018-5, ch. 3, "G. W. Leibnitz: Monadology," by Douglas Burnham; p. 61
- ^ Johnston, Robert K.; J Walker Smith (2003). Life Is Not Work, Work Is Not Life: Simple Reminders for Finding Balance in a 24-7 World. Council Oak Books. ISBN 1-885171-54-4
- ^ Moore, A. W. (2001). The Infinite. Routledge. ISBN 0-415-25285-7 p. 34
- ^ 白取春彦 (1997). この一冊で「哲学」がわかる!. 三笠書房. ISBN 4-8379-2075-6p. 156
- ^ Brand, Peter; Lino Pertile (1999). The Cambridge History of Italian Literature. Cambridge University Press. ISBN 0-521-66622-8 "Leon Battista Alberti (1404-1472), more versatile than Bruni, is often considered the archetype of the Renaissance polymath." p. 138
- ^ Newsome, David (1999). The Victorian World Picture. Cambridge University Press. ISBN 0-8135-2758-9 p. 259
- ^ Jehlen, Myra; Michael Warner (1997). The English Literatures of America, 1500-1800. Routledge. ISBN 0-415-90873-6 p. 667
- ^ Holloway, Sarah; Stephen Rice, Gill Valentine (2003). Key Concepts in Geography. Sage Publications, Inc.. ISBN 0-7619-7389-3 p. 27
- ^ Kennedy, Barbara A. (2006). Inventing the Earth: Ideas on Landscape Development Since 1740. Blackwell Publishing. ISBN 1-4051-0187-3 "p. 132
- ^ Barfield, Owen A. (1999). A Barfield Reader. Wesleyan University Press, p. 47
- ^ Chorley, Richard J.; Robert P Beckinsale (1991). The History of the Study of Landforms Or the Development of Geomorphology. Routledge. ISBN 0-415-05626-8: "Lomonosov was a true polymath—physicist, chemist, natural scientist, poet and linguist...."p. 169
- ^ Howard Rheingold (2000). Tools for Thought: the history and future of mind-expanding technology. MIT Press. ISBN 0262681153, p. 66
- ^ Euronet website
- ^ [10]
- ^ Steve Trautlein (2002年12月6日). “Work hard, play hard (review of Double Lives by David Heenan)”. ジャパントゥデイ. 2006年10月25日閲覧。
- ^ Brown, James Robert (1999). Philosophy of Mathematics: An Introduction to a World of Proofs and Pictures. Routledge. ISBN 0-415-12275-9, p. 51
- ^ Whitman, Alden (1972): 「42の教授の世界史」 ニューヨークタイムズ 1972年7月18日23ページ
関連項目
[編集]- シッダ - インドにおいて修行などによって肉体的・精神的な完成度と、超常的な能力、知識を獲得した超人について