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一巻経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
一品経から転送)
『久能寺経』のうち、法華経薬王品/平安時代の作。鉄舟寺所蔵。国宝。
『紺紙金字無量義経』/平安時代の作。東京国立博物館所蔵。

一巻経(いっかんぎょう、いっかんきょう、歴史的仮名遣:いっかんぎゃう、いっかんきゃう[1]とは、第1義には、仏教経典写経する際、多くの人が一巻ごとに分担して書写すること[1][2][3][4][5]。現存する物はほとんど『法華経』のそれに限られる[4][2][3][5]。『法華経』の場合は「かん)」を「ほん[注 1]」と呼ぶ。

第2義には、法華経二八品を一品ずつ独立させて各一巻仕立ての巻物)にしたもの[2][7]で、他の経にいうこともある[7]。これを「一巻経」という[1][7]が、特に法華経八巻または開経の無量義経、結経の観普賢経を加えた十巻についていうことが多く[1]、『法華経』を二八品として捉える場合には「一巻経」を「一品経(いっぽんぎょう、いっぽんきょう、歴史的仮名遣:いっぽんぎゃう、いっぽんきゃう)」という[1]。また、その一巻(一品)ずつを仏前で読誦することをもいう[2]

概要

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多数の人に均等の功徳と多くの結縁をもつために行われた[5]。『法華経』は奈良時代以来しばしば写経され[4]平安時代中頃から鎌倉時代にかけて流行した[5]。平安時代中期の為政者・藤原道長長保4年(1002年)5月、自邸で『法華経』の1品ずつを講賛する法華三十講[注 2]を始行し、以後これを恒例とした[4]。こうしたことが機縁となって一品経写経が盛んになった[4]高野山金剛峰寺の『紺紙金字経』や[5]、いずれも国宝となっている『平家納経』『久能寺経』『慈光寺経』『長谷寺経』のように、現存する物は優れた装飾経が多く[4]、これらは全て一品経である。

脚注

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注釈

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  1. ^ ここでの「品(ほん)」は、仏典の中の編や章や節に当たるものをいう。用例「方便品」。[6]
  2. ^ 法華三十講(ほっけさんじっこう)とは、法華経二十八品に開結二経を加えて30日間に講ずる講讃[8]

出典

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  1. ^ a b c d e 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “一巻経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  2. ^ a b c d 小学館『デジタル大辞泉』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  3. ^ a b 三省堂大辞林』第3版. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  5. ^ a b c d e ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  6. ^ 品(ほん)”. goo辞書. NTTレゾナント. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ a b c 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “一品経”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。
  8. ^ 日立デジタル平凡社『世界大百科事典』第2版. “法華三十講”. コトバンク. 2020年5月31日閲覧。

関連項目

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