ローレン・パウエル・ジョブズ
ローレン・パウエル・ジョブズ | |
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ローレン・パウエル(2012年) | |
生誕 |
ローレン・パウエル 1963年11月6日(61歳) アメリカ合衆国ニュージャージー州ウエスト・ミルフォード |
国籍 | アメリカ合衆国 |
出身校 |
ペンシルバニア大学 BA, BS取得 スタンフォード大学経営大学院(1991年卒業、MBA取得) |
職業 |
Emerson Collective 創設者/代表[1] |
配偶者 |
スティーブ・ジョブズ (結婚 1991年; 死別 2011年) |
子供 |
リサ・ブレナン=ジョブズ リード・ジョブズ エリン・ジョブズ イヴ・ジョブズ[6] |
親戚 |
モナ・シンプソン(義姉妹) Patricia Ann Jobs (義姉妹) |
ローレン・パウエル・ジョブズ(Laurene Powell Jobs、1963年11月6日[7] - )は、アメリカ合衆国の実業家。社会的インパクト組織であるエマーソン・コレクティブ(Emerson Collective)の創設者兼幹部であり、投資活動や慈善活動を通じて、教育改革、社会再分配、環境保全に関する政策を提唱している。[8] 彼女はまた、恵まれない高校生を大学に進学させるカレッジトラックの理事会の共同創設者兼社長でもある。 パウエル・ジョブズはパロアルト (カリフォルニア州)に3人の子供とともに住んでいる。[9] Appleの共同設立者の一人である故スティーブ・ジョブズの元配偶者として相続した、550万もの株を保有したAppleの大株主[10][11]で、ウォルト・ディズニー・カンパニーの株4%を持つ個人筆頭株主であること[12](2016年までは7.3%)[13]から、女性として世界で6番目に資産を持つ富豪として知られる[14]。また、『フォーブス』誌の「最もパワフルな女性100人」リストでは、2022年に32位[13]に選ばれている。
略歴
[編集]ニュージャージー州のウエストミルフォードで生まれ育つ[15]。1985年にペンシルバニア大学で政治学と経済学の学士号を取得[9][16]。卒業後はメリルリンチに勤めたほか、3年間ゴールドマン・サックスで債券取引ストラテジストとして働いていた。
経済学修士課程の1年生であった1989年10月、スタンフォード大学でスティーブ・ジョブズの講義を受ける。このときジョブズが彼女の隣の席に座ったことがきっかけとなり交際を始める[17]。その後1991年3月に、ヨセミテ国立公園内アワニーホテルで挙式をあげている。式を司ったのは曹洞宗の僧侶、乙川弘文である。また同年には、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得している[18]。
1991年11月に息子リード、1995年に娘エリン、1998年に娘イブが生まれる。パウエルはまた、スティーブの娘リサ・ブレナン・ジョブズの養母でもある。
1991年、自然食品の小売業を営むTerraveraを共同設立し、オーガニック製品の生産と、北カルフォルニア州全土にある300以上の小売業者への運搬を行った。第二児が生まれたころ、教育分野へ注力するため同社を退社している[19][20]。
2004年にラルフ・ワルド・エマーソンに因んで名付けた、Emerson Collectiveを創設する[21]。
2010年12月より、White House Council for Community Solutionsメンバーとして、バラク・オバマ大統領のアドバイザーを務める[22][23]。
2012年9月、スタンフォード大学の理事に選出され[24]、2019年現在も継続している[25]。
2013年4月、NBCのRock Starでのインタビュー[26]にて、15年間教育の場に携わってきたこと、そして大学での自分の経験を踏まえ、教育とローレンが1997年に設立し運営する非営利団体College Trackによる取組みと大学教育を受けられるようにすることの意義ついて語っている。
2013年7月、オンラインメディアのOZYが、ローレンによる投資を得[27]、彼女が取締役に就任[4]、更に2014年10月にはローレンを筆頭とした投資家から2000万ドルの資金を得たことが報道された[28]。
2015年9月、教育改革を支援する為、XQ Institute[29]に5000万ドル寄付[30][31]している。
2015年11月、代表を務めるEmerson Collectiveを通して、デジタル技術によって個人個人への教育を改善する会社AmplifyをNews Corp.より買収したことが判明した[32]。
2016年7月、馬術競技に取組む19歳の娘イヴの為に、フロリダ州ウェリントンの牧場を1530万ドルで購入した[33]。
2017年7月、Emerson Collectiveを通し、アメリカのメディア企業The Atlanticを買収した[34][35]。
2019年7月、レオナルド・ディカプリオが主宰するLeonardo DiCaprio Foundationと共に、地球気候変動対策を推進するEarth AllianceにEmerson Collectiveとして参加した[36][37]。
スティーブ・ジョブズの死
[編集]2011年10月5日、56歳で、AppleのCEOである配偶者スティーブ・ジョブズが、以前に治療した膵島細胞神経内分泌膵癌の再発による合併症のために死去した[38]。 パウエル・ジョブズはスティーブン・P・ジョブズ・トラストを継承した。同信託は2013年5月の時点で、約11億ドルの価値があるウォルト・ディズニー・カンパニーの 7.3%の株式と、Apple社の550万株を所有している[39]。2017年にウォルト・ディズニー・カンパニーの 株式の半分は売却している[40]。
2020年現在、パウエル・ジョブズは、フォーブスの世界の億万長者の年次リストで59位にランクインしている[41]。
慈善活動
[編集]1997年、パウエル・ジョブズは、高校の卒業、大学への入学、環境的に恵まれない生徒の大学の卒業率を改善するために、カルロス・ワトソンとともに非営利団体カレッジトラックをイーストパロアルトに設立した[39]。全国平均の第一世代大学生の4年制大学の卒業率が24%であるのに対し、第一世代大学生が多くを占めるカレッジトラックの高校卒業生は、その約90%が4年制大学に通っており、70%が6年間で大学を卒業している。 カレッジトラックは、イーストパロアルト、サクラメント、サンフランシスコ、オークランド、ワッツ、ボイルハイツ、ニューオーリンズ、オーロラ (コロラド州)、デンバー、およびワシントンD.C.に施設を持っている。パウエルは、「5つの都市でセンターの開設を待っている。私たちは基準を高く維持したいと考えているが、フランチャイズや、私たちのカリキュラムとトレーニングの普及によって成長することに消極的だ。」と語っている。
2004年、Emerson Collectiveを設立する。Emerson Collectiveは、パートナーシップ、助成金、投資を通じて、教育・移民の改革、社会正義、メディア・ジャーナリズムに取り組む社会起業家や組織をサポートする組織である[42][39]。
2015年9月、高校教育への新しいアプローチを確立するために、5,000万ドルのプロジェクト、XQ The Super School Project(以後XQ)を立ち上げる[39]。 XQは、教育者、生徒、コミュニティリーダーが高校教育における新しい計画を創造し実施することを目的としており、 この取り組みには、学校のスケジュール、カリキュラム、テクノロジーの変革を行い、国の100年前の高校教育モデルを改善することが含まれている。 XQへの資金提供は、エマソンコレクティブ(Emerson Collective)から行われる[43][44]。 最初の5,000万ドルの寄付に続いて、XQは追加寄付を発表し、10校にそれぞれ1,000万ドルを授与し、合計1億ドルの寄付を行った。 対象校は全国の約700の候補校から選ばれた[45][46]。 パウエルのアドバイザーチームを率いるのは、ラスリンH.アリである。
2018年現在、パウエル・ジョブズは、カレッジトラック(College Track)、コンサベーションインターナショナル(Conservation International)、スタンフォード大学の取締役を務めている[47][48]。また、彼女はXQの理事会の議長であり、外交問題評議会の議長の諮問委員会にも参加している。 2012年、彼女はフォーブスによって世界で49番目にパワフルな女性としてランク入し、2019年には33位にランクされた[49][50]。
脚注
[編集]- ^ Laurene Powell Jobs, President
- ^ Our History College Track
- ^ Stanford Board of Trustees elects Laurene Powell Jobs to five-year termStanford Report, September 5, 2012
- ^ a b LAURENE POWELL JOBS - BOARD DIRECTOR AND INVESTOR - OZY
- ^ Laurene Powell Jobs - Co-Founder & Board Chair
- ^ Was Steve Jobs a good father according to his children? If so, how was he a good father?
- ^ Laurene Powell JOBS - WEALTH-X
- ^ “Laurene Powell Jobs”. Emerson Collective. August 11, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。September 17, 2013閲覧。
- ^ a b “Laurene Powell Jobs”. Parsa. September 14, 2010時点のオリジナルよりアーカイブ。September 17, 2013閲覧。
- ^ “10 Things You Should Know About Billionaire Philanthropist Laurene Powell Jobs” (英語). Town & Country. (2017年11月27日) 2018年5月8日閲覧。
- ^ “The life and career of Steve Jobs' wife Laurene Powell Jobs, who has become a powerful investor with a net worth of $20.7 billion”. Business Insider 2018年5月8日閲覧。
- ^ Lin, Ed. “Steve Jobs’ Family Cuts Disney Stake in Half” (英語). www.barrons.com. 2019年7月4日閲覧。
- ^ a b “#14 Laurene Powell Jobs”. The 100 Most Powerful Women. フォーブス (2016年4月13日). 2016年4月13日閲覧。
- ^ Inside the $16.7bn fortune of Steve Jobs' widow - including her two private jets, her $138million yacht and $12.7bn Disney share
- ^ Lattman, Peter; Miller, Claire Cain (2013年5月17日). “Steve Jobs’s Widow Steps Onto Philanthropic Stage” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2020年7月18日閲覧。
- ^ “Laurene Powell Jobs & family” (英語). Forbes. 2020年7月18日閲覧。
- ^ Love, Dylan. “Steve Jobs Skipped A Business Meeting To Take His Wife On Their First Date”. Business Insider. 2020年7月18日閲覧。
- ^ Laurene Powell Jobs to join Stanford Board of Trustees
- ^ Sullivan, Robert. “How Laurene Powell Jobs Is Reimagining the Future of Education” (英語). Vogue. 2020年7月18日閲覧。
- ^ “Laurene Powell Jobs Parsa Community Foundation”. web.archive.org (2010年9月14日). 2020年7月18日閲覧。
- ^ “Emerson Collective - Crunchbase Investor Profile & Investments” (英語). Crunchbase. 2021年2月24日閲覧。
- ^ President Obama Announces Members of the White House Council for Community Solutions
- ^ 6. Laurene Powell Jobs - Les 10 femmes milliardaires les plus riches de la planète - Par Lucile Quillet | Le 04 mars 2015
- ^ Lunden, Ingrid「故スティーブ・ジョブズの妻、ローリーン・パウエル・ジョブズがスタンフォード大学評議員に | TechCrunch Japan」『TechCrunch Japan』。2018年4月20日閲覧。
- ^ “Board Members | Board of Trustees” (英語). boardoftrustees.stanford.edu. 2018年4月20日閲覧。
- ^ Steve Jobs’ wife fights for DREAM Act, remembers husband
- ^ Laurene Powell Jobs backs ambitious media site
- ^ With $20 million, digital magazine Ozy wants to get louder
- ^ XQ The Super School Project
- ^ Laurene Powell Jobs Commits $50 Million to Create New High Schools
- ^ Laurene Powell Jobs donates $50 million to redesign high school - The Washington Post
- ^ Laurene Powell Jobs backs Amplify education company bought from News Corp
- ^ EXCLUSIVE: Steve Jobs’ widow buys $15million ranch in Florida just weeks after tech rival Bill Gates completed the purchase of an entire street in the SAME TOWN where their daughters can compete in elite equestrian competitions
- ^ Ember, Sydney (2017年7月28日). “Laurene Powell Jobs’s Organization to Take Majority Stake in The Atlantic” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2018年4月20日閲覧。
- ^ “ジョブズ夫人、米名門誌の経営権を取得” (日本語). 日本経済新聞 電子版 2018年4月20日閲覧。
- ^ “Leonardo DiCaprio, Laurene Powell Jobs, Brian Sheth team up to battle climate change”. The Economic Times. (2019年7月3日) 2019年7月4日閲覧。
- ^ “Philanthropic Alliance Mobilizes to Address Urgent Threats to Life on Earth”. Earth Alliance. 2019年7月4日閲覧。
- ^ “米アップルのスティーブ・ジョブズ会長死去”. 日本経済新聞
- ^ a b c d Business Insider. https://www.businessinsider.jp/post-107400+July 4, 2020閲覧。.
- ^ Spangler, Todd (2017年2月1日). “Laurene Powell Jobs Cuts Disney Stake in Half” (英語). Variety. 2020年7月18日閲覧。
- ^ “#59 Laurene Powell Jobs & family”. Forbes July 4, 2020閲覧。.
- ^ “Emerson Collective Foundation, SEC CIK #0001683289”. U.S. Securities and Exchange Commission. July 10, 2020閲覧。
- ^ “Laurene Powell Jobs Commits $50 Million to Create New High Schools”. NY Times.com. New York Times. July 12,2020閲覧。
- ^ Monica Scott (November 16, 2015). “How Grand Rapids could get $10M for Museum School”. Michigan Live. July 12, 2020閲覧。
- ^ “Ten U.S. "Super Schools" awarded $10M each for reimagining education”. CBS News (September 15, 2016). July 12,2020閲覧。
- ^ Saranac Hale Spencer (September 15, 2016). “Delaware school's $10 million innovation”. Delaware Online. July 12,2020閲覧。
- ^ “Emerson Collective Causes”. 2020年7月14日閲覧。
- ^ “Jobs's Wife Backs Education Causes”. Jusy 14, 2020閲覧。
- ^ “The World's Most Powerful Women: 16 New Faces”. Forbs. 2020年7月14日閲覧。
- ^ “The World’s Most Powerful Women: The Billionaires On The 2019 List”. Forbs. 2020年7月14日閲覧。
参考文献
[編集]- ウォルター・アイザックソン 著、井口 耕二 訳『スティーブ・ジョブズ』講談社、2011年。I:ISBN 978-4-062171267 II:ISBN 978-4-062171274。
- ブレント・シュレンダー, リック・テッツェリ 著、井口 耕二 訳『スティーブ・ジョブズ 無謀な男が真のリーダーになるまで』日本経済新聞出版社、2016年。ISBN 978-4532321000 (上), ISBN 978-4532321017 (下)。
外部リンク
[編集]- A Letter from Laurene Powell Jobs - Emerson Collective
- College Track
- I.AM College Track - I.AM.ANGEL FOUNDATION