レガリア
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(リゲイリアから転送)
レガリア(ラテン語: regalia、英語: regalia、リゲイリア)は、王権などを象徴し、それを持つことによって正統な王、君主であると認めさせる象徴となる物品である。また、王の所有する特権(貨幣鋳造権、採掘権など)を指すのにも使用される。
概要
[編集]「王の物」を意味するラテン語 regalis の複数形で、1530年代から使用されるようになった[1][注 1]。
天叢雲剣などの刀剣、伝国璽などの印璽が用いられる例があるほか、西欧諸国においては王冠・王笏・宝珠の3種がよく見られる。あるいは広く、地位や官位を示す記章など。
アフリカのいくつかの国(アシャンティ王国[2]、ダホメ王国[3]ほか[4])、地中海のミノス文明[5]、古代中国・日本で斧鉞は王権の象徴とされた[6][7]。中国の殷代頃には、黄鉞(黄金飾りの鉞)は斬首刑用の道具として刑を執行する王の持ち物とされ王の象徴となっていた(ちなみに斧の刃を下にした象形文字が「王」の字となった[8][9])[10]。この伝統は古代日本にも伝わっている[11][12]。
特に英米では、卒業式の正装一式をリゲイリアと呼び、ガウン・帽子・タッセル・フードなどからなる。
レガリアの例
[編集]- アジア
- アフリカ
- 中東
- ムハンマドの剣、軍旗、印章、外套 ‐ イスラム帝国アッバース朝のカリフ権の象徴[13]
- オスマンの剣 - オスマン帝国のスルタンの剣
- ジャムシードの杯 ‐ 多くのペルシャ文学に登場し、それらの中でペルシア帝国王継承の象徴とされた伝説上の支配者ジャムシードが所有した杯。
- ヨーロッパ
- オランダのレガリア
- ギリシャのレガリア
- フランス王国のレガリア(ジョワユーズ、シャルルマーニュの冠など) - フランス国王
- 連合王国の戴冠宝器 - イギリス国王のレガリアである王冠、王笏、宝珠などを含む
- 神聖ローマ帝国のレガリア
- 漁師の指輪(漁夫の指輪とも) ‐ ローマ教皇のレガリア
- 聖イシュトヴァーンの王冠 ‐ ハンガリー王国のレガリア
- 北米
- ウォーボンネット - ネイティブアメリカンの酋長や勇者が身に帯びる冠
特権
[編集]→「en:Droit de régale」および「en:Regalian right」を参照
レガリアという言葉は、大公や皇帝等、称号に関わらず独占的に行使できる特権に対しても使用される。代表的な例として、自身の肖像が刻印された貨幣の鋳造権などである。支配力が弱い国家では、侵害されることが多かった。
その他
[編集]ディズニー映画『アナと雪の女王』では、アレンデール王国の女王に即位する儀式(戴冠式)において、エルサがティアラを頭につけ、2つのレガリアを手に持つ描写がある。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 王の所有物は多数あり常に複数形(絶対複数)で用いられる。ハルツ山地鉱山用の治水特権(ドイツ語:Oberharzer Wasserregal)は、そのような王の特権のうちの一つとして単数形であらわされた。
出典
[編集]- ^ regalia | Origin and meaning of regalia by Online Etymology Dictionary
- ^ African Axes 著:Carl Gösta Widstrand 出版:Almqvist & Wiksells Boktryckeri, 1958年 164 ページ
- ^ Unesco Courier - 第 19 巻 - 27 ページ
- ^ REGALIA BY MARY NOOTER ROBERTS UNIVERSITY OF CALIFORNIA, LOS ANGELES(アイオワ大学)
- ^ 角田文衛・上田正昭 監修 『古代王権の誕生 Ⅰ 東アジア編』 角川書店 2003年 p.12.
- ^ デジタル大辞泉『斧鉞/鈇鉞』 - コトバンク
- ^ 精選版 日本国語大辞典『斧鉞・鈇鉞』 - コトバンク
- ^ 日本大百科全書 第3巻 798 ページ
- ^ 漢字: 生い立ちとその背景 岩波書店, 1970年 著:白川静 p.18
- ^ 世界大百科事典 第2版『鉞』 - コトバンク
- ^ 日本書紀 景行天皇
- ^ 日本書紀 神功皇后
- ^ 竹下正孝 (2007年). “文化紹介 イスラームにおける聖遺物”. 中東情勢分析 2007年10/11月号. 中東協力センターニュース. 2018年4月23日閲覧。 p.37