ユリイカ (雑誌)
『ユリイカ』(Eureka)は、青土社で発行されている月刊誌[1]である。詩および批評を中心に文学、思想などを広く扱う芸術総合誌である。なおユリイカとは「見つけた」を意味する「Eureka」から来ている。
沿革
[編集]1956年に、伊達得夫が書肆ユリイカを設立し発行し始めたのに始まる。これは伊達が死去する1961年まで発刊された。その後1969年に清水康雄が青土社を設立し、6月に第二次「ユリイカ」(7月号)を創刊[2]。少し縦長の印象を受ける菊判変型だった[2]。
復刊に際して、旧「ユリイカ」で育った大岡信は、清水から依頼されて「断章」の連載を始めた[3]。他にも柱となる企画がほしかった清水は、敬愛する吉田健一に連載を依頼しようと考えていた[3]。清水から吉田の連載のテーマについて相談された大岡は、ヨーロッパの世紀末について書いてもらうべきだと提案した[3]。吉田健一「ヨオロッパの世紀末」は創刊号から連載され[2]、1970年6月号で完結し[4]、同年10月に出版され[5]、第23回野間文芸賞を受賞した[6]。
数年目に大幅にページ数を増やし、今日まで毎月発行されている。
注目すべきキーワードを特集に、毎号特定の作家(詩人、小説家、漫画家、アニメーション作家、芸術家など)の作品、ジャンルを取り上げている。近年では、作家・作品論を総特集した臨時増刊号も多く発行されている。
編集長
[編集]- 清水康雄(1969年 - 1971年)
- 三浦雅士(1972年 - 1975年)
- 小野好恵(1975年 - 1977年)
- 清水康(1978年 - 1981年)
- 西館一郎(1982年 - 1984年、2001年、2003年)
- 歌田明弘(1985年 - 1992年)
- 西口徹(1993年 - 1996年)
- 須川善行(1996年 - 2000年)
- 岡本由希子(2002年)
- 郡淳一郎(2004年 - 2005年)
- 山本充(2006年 - 2014年)
- 横山芙美(2014年 - 2016年)
- 明石陽介(2016年 - 2024年)
ユリイカの新人
[編集]新鋭詩人の発掘に力を入れており、毎号コーナー(『今月の作品』)を設け投稿作品を受け付けている。年間でもっとも優秀な投稿者を「ユリイカの新人」として顕彰している。過去の受賞者には、城戸朱理、倉石信乃、早坂類、田中庸介、宋敏鎬、峯澤典子、カニエ・ナハ、小野絵里華、大崎清夏、うにまる(林木林)など。
脚注
[編集]- ^ 流通上の分類ではムックに区分される(雑誌コードと共にISBNを付与されている)。
- ^ a b c 長谷川 2014, p. 541.
- ^ a b c 長谷川 2014, pp. 541–542.
- ^ 長谷川 2014, p. 550.
- ^ 長谷川 2014, p. 553.
- ^ 長谷川 2014, p. 554.
参考文献
[編集]- 田中栞『書肆ユリイカの本』(青土社、2009年)、ISBN 978-4-7917-6465-5
- 長谷川郁夫『吉田健一』新潮社、2014年。ISBN 978-4-10-336391-0。
関連項目
[編集]- 現代思想
- KAWADE夢ムック - 文藝別冊
- KAWADE道の手帖