モード・ジャズ
モード・ジャズ Modal jazz | |
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様式的起源 | クール・ジャズ、クラシック音楽、スウィング・ジャズ、ウエストコースト・ジャズ |
文化的起源 |
1950年代後半 アメリカ合衆国 |
使用楽器 | サックス、トロンボーン、トランペット、ギター、ウッド・ベース、ベース、ドラム、ボーカル、ピアノなど |
融合ジャンル | |
クロスオーバー、フュージョン | |
関連項目 | |
本文参照 |
モード・ジャズあるいはモーダル・ジャズ(modal Jazz)は、コード進行よりもモード (旋法)を用いて演奏されるジャズ。英語では「モーダル・ジャズ」と呼ばれている。モダン・ジャズのサブ・ジャンルのひとつである。
歴史
[編集]1950年代後半に試行され始め、1959年リリースの、マイルス・デイヴィス[注 1]のアルバム「カインド・オブ・ブルー」で完成された。
ビバップをはじめとするモダンジャズでは、コード進行やコードの分解に基づくアドリブ・ソロ(奏者ごとの即興演奏)が行われてきた[1]。ハード・バップに至っては、メロディが洗練された一方で、コードに基づく一つの音階のうち元のフレーズから外れた音が使えないという状況が出てきて制限がさらに増した。その大きな原因は、コード進行だけでなくメロディにおける進行感も演出しようとしたことにある。
そこで、考え方を改め、コード進行を主体とせず、モードに基づく旋律による進行に変更したものが、モード・ジャズである(一説にはハード・バップから洗練・発展したものともいわれる)。バッキングなどの和声の面では多少困難にはなったものの、ソロプレイにおいては飛躍的に自由度が増し、メロディの選択肢も増えた。
欠点は、コード進行によるバッキングやメロディによる劇的な進行がないことである。
機能和声理論では、例えばCメジャーのトニックにおいてC・E・Gは和音構成音、D・F・A・Bは非和声音と定義される[1]。 旋律は和音構成音に帰結するように動き、非和声音に至った旋律がその後跳躍することはない(先取音を除く)。
和声という概念は、民族の壁を越えた大衆の共通認識として創り上げられた概念であるため、必然的に大衆の感覚が基盤となる。しかし、モードの楽曲においては、和音構成音、非和声音といった区別がなくなり、全ての音が等価に扱われる。従って、モードは各々の民族の感覚を利用し、独自性を確立した楽曲を構成するための手段として認識されている。リディアン・クロマティック・コンセプトが礎になっている。 よって、例えば本来、EやCに帰結すべきであるD音が、Aへ跳躍することもあり得るわけである。 特に、モード以前のスタイルとの差別化を図るため、和音構成音に帰結するような動きは意識的に避けられるケースが多い。 また、ベースを含む全てのパートにおいてそういった音の扱いが可能になるため、従来ドミナントペダルとしてしか現れることのなかった第二転回形を、機能和声的な脈絡のないまま出現させる、といった処理も可能になる。
マイルス・デイヴィスはモード・ジャズで最も成功したアーティストであり、アルバム「カインド・オブ・ブルー」はモード・ジャズの可能性を追究した。 そのセッションに参加したアーティスト(テナー・サックス奏者のジョン・コルトレーン、アルト・サックス奏者のキャノンボール・アダレイ、ピアニストのビル・エヴァンスとウィントン・ケリー、ベーシストのポール・チェンバース、ドラマーのジミー・コブ)のうちコルトレーンは1960年代を通してモーダルな即興演奏を他の誰よりも深く追究した。
主なミュージシャン
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ クール・ジャズ、モード・ジャズ、エレクトリック・ジャズ、ジャズ・ファンクと、ジャズの歴史を最前線で牽引してきたジャズの巨人の一人である。
出典
[編集]- ^ a b “Modal Jazz”. www.jazzstandards.com. 2024年4月26日閲覧。
参考文献
[編集]- 細川周平、後藤雅洋、村井康司、寺島靖国、小川隆夫、加藤総夫、柳沢てつや、北里義之、大村幸則、瀧口秀之、西島多恵子、山下泰司、黒田京子、桜井圭介、上野俊哉、米田栄、田辺秀樹、高橋順一、川竹英克、田村和紀夫、大宅緒、高見一樹、島原裕司、柴俊一『新版 ジャズを放つ』洋泉社、1997年、23頁。ISBN 4896912500。