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モキュメンタリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モックメンタリーから転送)

モキュメンタリー: mockumentary)は、映画テレビ番組のジャンルの1つで、フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法である。モキュメンタリーは擬似を意味する「モック[1]と、「ドキュメンタリー」を合成したかばん語であり、「モックメンタリー」「モック・ドキュメンタリー」ともいう。また、日本における別称の「半自伝」、和製英語の「フェイクドキュメンタリー」「ハーフドキュメンタリー」「セミドキュメンタリー」「ハーフフィクション」「セミフィクション」も用いられる。

概要

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虚構の物語を、あくまでも事実を伝えるドキュメンタリーとして構成する映像手法である。そのため、ドキュメンタリーの慣例に則って架空のインタビューやニュース映像、関係者の証言などが織り交ぜられてゆく。また、発掘されたビデオ映像という形態で、逆に一切のテレビ的な構成を排する作例もある。内容はコメディからホラーポルノ映像までと幅広い。

ジャンルの起源は明らかではない。映像作品以前では1938年にオーソン・ウェルズが手がけたラジオドラマ『宇宙戦争』は、架空のニュース中継という手法を取り、内容を信じた聴取者がパニックを起こしたことで知られる。映画では1950年代にすでに現れている。1977年のテレビドラマ『第三の選択』は、先駆的な例として、しばしば紹介される。1980年代に架空のバンド"スパイナル・タップ"を追った『スパイナル・タップ』の成功で「モキュメンタリー」という用語が有名になった。1990年代には、森で遭難した若者たちの遺したビデオ映像という設定の低予算映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』が興行収入の面で大きな成功を収めた。

「モキュメンタリー」という言葉は、前述の『スパイナル・タップ』の監督ロブ・ライナーがインタビューで用いた1980年代中頃に大衆化したと考えられている。言葉の確かな初出は分かっていないが[2] 、『オックスフォード英語辞典』には1965年から掲載されている[3]

2006年にフジテレビ系列で放送されたテレビ番組『緊急結婚特番』はモキュメンタリーであることを隠して放送したため放送倫理・番組向上機構に苦情が殺到した。

主な作品

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映画

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  • Gメン対間諜 - 1945年のアメリカ映画。ヘンリー・ハサウェイ監督のスパイ映画で、セミドキュメンタリーの先駆けと言われる。FBIの協力を得て、ジョン・エドガー・フーヴァー局長や本物の捜査官が役を演じた。1946年アカデミー賞で、チャールズ G. ブース が原案賞を受賞。
  • 人間蒸発 - 1967年の日本映画。今村昌平監督。失踪した婚約者を追う女性を描く。公開当時は真贋はぼやかされている。
  • オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ - 1978年のテレビ映画。架空のロックバンド、「ザ・ラトルズ」のメンバーたちを描く。
  • 食人族 - 1983年のイタリア映画。ルッジェロ・デオダート監督。きわめてショッキングな内容と真贋論争が話題となり、モキュメンタリー映画の原点的存在となった。日本ではドキュメンタリーとして宣伝された。
  • カメレオンマン - 1983年のアメリカ映画。ウディ・アレン監督。アレン自身が扮する架空の人物ゼリグの半生をインタビューや記録映像を中心にドキュメンタリー風に描く。実際の記録映像にアレンの姿を合成したり、実在の心理学者に架空の解説をするなどのフェイクが用いられている。
  • スパイナル・タップ - 1984年のアメリカ映画。ロブ・ライナー監督。架空のロックバンド「スパイナル・タップ」のメンバーたちを描く。
  • コミック雑誌なんかいらない! - 1986年の日本映画。滝田洋二郎監督。内田裕也が扮する人気芸能リポーターの姿を追う。作中では1985年当時に起こった実際の事件に突撃取材したり、話題になった人物が本人役で登場している。
  • ボブ★ロバーツ - 1992年のアメリカ映画。ティム・ロビンスアメリカ合衆国上院に立候補する政治家を演じた。その模様がテレビの報道番組のように語られる。
  • ありふれた事件 - 1992年のベルギー映画。連続殺人犯の犯行に密着したカメラマンの一人称映像としてドキュメンタリー・タッチで描いてゆく作品。
  • 光と闇の伝説 コリン・マッケンジー - 1996年のニュージーランド映画。ピーター・ジャクソンとコスタ・ボーテス監督。架空の映画監督コリン・マッケンジーの足跡を追ったドキュメンタリー風作品。
  • ブレア・ウィッチ・プロジェクト - 1999年のアメリカ映画。"ブレア・ウィッチ"の伝説を追う学生をドキュメンタリー・タッチで描いた低予算映画。作品をウェブと連動させ、現実の映像と錯覚させる宣伝戦略で大ヒットした。
  • ドッグ・ショウ! - 2000年のアメリカ映画。ドッグ・ショーに賭ける人々を描いたドキュメンタリー番組風の作品。クリストファー・ゲスト監督。
  • みんなのうた - 2003年のアメリカ映画。3組のフォーク・ミュージシャンを追った作品。クリストファー・ゲスト監督。
  • フランキー・ワイルドの素晴らしき世界- 2004年のイギリス・カナダ合作映画。聴覚を失ったDJの物語だが、フランキー・ワイルドという人物は実在しない。
  • ノロイ - 2005年の日本映画。白石晃士監督。
  • ホスピタル - 2005年のアメリカ映画。
  • 大統領暗殺 - 2006年のイギリス映画。「当時在任中のジョージ・W・ブッシュ大統領が暗殺された」という架空の事件を描く。日本では「ブッシュ暗殺」としていた当初の邦題が映倫に不許可とされ変更となった事が話題となった。このため、冒頭で「この作品はフィクションであり、登場する実際の組織や人物は全て、本作品の内容とは全く無関係である」とネタバラシする構成となった。
  • アルマズ・プロジェクト – 2007年のアメリカの映画。
  • パラノーマル・アクティビティ – 2007年のアメリカの映画。ある恋人同士の間に起きる怪現象を描く。オーレン・ペリ監督作品。
  • 大日本人 - 2007年の日本映画。松本人志監督。巨大生物を退治する男へのインタビューという設定。
  • アホリックス リローデッド - 2008年のアメリカ映画。
  • ダイアリー・オブ・ザ・デッド - 2008年のアメリカ映画。ジョージ・A・ロメロ監督。
  • クローバーフィールド - 2008年のアメリカ映画。
  • LOOK - 2008年のアメリカ映画。
  • THE 4TH KIND フォース・カインド – 2009年のアメリカ映画。夫を亡くした心理学者がその死の真相を探り遭遇した事件を、ドキュメンタリーの映像と再現ドラマの映像から描く。事実に基づいた作品であるという宣伝がされていた。
  • パラノーマル・エンティティ – 2009年のアメリカ映画(オリジナルビデオ)。ある家の中で起きる怪現象を描く。シェーン・ヴァン・ダイク監督作品。
  • 狂々スタント狂想曲 - 2010年の日本映画。スタントマンの仕事場や私生活の裏側を描く。
  • 容疑者、ホアキン・フェニックス - 2010年のアメリカ映画。実在の俳優が引退するという内容で、主演のホアキン・フェニックスは映画の内容に合わせて現実でも、そのような言動を行ったため、批判を受けた。
  • トロール・ハンター – 2010年のノルウェー映画。ノルウェーの田舎町で熊の密猟事件を取材していたとき、伝説の生き物トロールが出現。学生3人はトロールの衝撃的な生態をカメラに収める。
  • シロメ - 2010年の日本映画。白石晃士監督のホラー作品。ももいろクローバー(後のももいろクローバーZ)の映画初出演作。
  • バチアタリ暴力人間 - 2010年の日本映画。
  • エビデンス 第6地区 - 2011年のアメリカ映画。
  • セブン・ナイト・イン・アサイラム - 2011年のアメリカ映画。
  • アパートメント:143 – 2011年のスペイン映画。 妻の死を契機に怪現象に悩まされるようになり、精神科医ヘルザーが率いる超心理学科学者チームに調査を依頼する。
  • スピーク - 2011年のアメリカ映画。
  • アポロ18 - 2011年のアメリカ、カナダ合作映画。隠蔽されていたアポロ18号の記録映像、という体裁で公開された。
  • グレイヴ・エンカウンターズ - 2011年のカナダ映画。
  • デビル・インサイド - 2012年のアメリカ映画。
  • エリア407 絶滅大陸 - 2012年のアメリカ映画。飛行機が乱気流で墜落。生存者たちは暗闇の向こうにいる凶暴な何かに追いかけられながら外界との連絡を試みようとする。
  • POV〜呪われたフィルム〜 - 2012年2月18日に公開された日本のホラー映画。
  • V/H/Sシリーズ - オムニバス・ホラー作品
    • V/H/S シンドローム - 2012年のアメリカ映画。
    • V/H/S ネクストレベル - 2013年のアメリカ映画。
    • V/H/S ファイナル・インパクト - 2014年のアメリカ映画。
  • RE-KILL[リ・キル] 対ゾンビ特殊部隊 - 2013年のアメリカ映画。作中のドキュメンタリーテレビ番組「RE-KILL[リ・キル]」がゾンビと戦う軍隊に命がけの密着取材をする。
  • ジャングル-不滅- ※DVDタイトル:ジャングル サバイバル・ゲーム - 2013年のオーストラリアの映画。
  • サクラメント 死の楽園 - 2013年のアメリカ映画(日本では2015年11月28日に公開)。1978年に発生した人民寺院集団自殺がモデルになっている。
  • アンフレンデッド - 2014年のアメリカ映画(日本では2016年7月30日に公開)。全編パソコン上のSNSだけで展開させていく体裁でネットいじめを苦に自殺した少女の呪いが、SNSを通して彼女の幼なじみと友人たちに降りかかるのを描く。
  • シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア - 2014年のニュージーランド映画。ヴァンパイアの生態を描く。
  • シークレット・マツシタ 怨霊屋敷 - 2014年のペルー映画(日本では2022年1月21日に公開)。
  • パラノイアック - 2015年の日本映画。フリーゲームを実写化した作品。
  • search/サーチ - 2018年のアメリカ映画。全編パソコンの画面上で展開されるという体裁で行方不明になった16歳の娘を捜す父親を描く。
  • アンフレンデッド: ダークウェブ - 2018年のアメリカ映画。2014年のアメリカ映画『アンフレンデッド』の続編だが、全編パソコン上のSNSだけで展開させていく体裁という点以外共通点は無く、終始PCハッキングや人為的な行為による描写に終始され、サスペンス・スリラーの要素が強い内容となっている。
  • 野良人間 獣に育てられた子どもたち - 2018年のメキシコ映画(日本では2021年5月21日に公開)。
  • ズーム 見えない参加者 - 2020年のイギリス映画。全編Web会議ツール「Zoom」の画面上で展開されるという体裁で、新型コロナウイルスのパンデミックのためにロックダウン中のイギリスを舞台にZoomを介して交霊会を始めた男女6人に呪いが降りかかるのを描く。
  • エキストロ - 2020年の日本映画。村橋直樹監督。時代劇ドラマの現場で起こる、エキストラをめぐる物語。
  • 女神の継承 - 2021年のタイ・韓国映画(日本では2022年7月29日に公開)。

ラジオドラマ

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テレビドラマ

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漫画

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その他

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脚注

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  1. ^ : mock
  2. ^ Roscoe, Jane; Craig Hight (2001). Faking it: Mock-documentary and the Subversion of Factuality. Manchester University Press. ISBN 0719056411 
  3. ^ "mockumentary, n.". Oxford English Dictionary. draft entry. Oxford University Press. 2010. 2010年7月28日閲覧
  4. ^ 青春トライ♪ - 川下大洋の「ドナ禁♪」 - yahoo!ブログ”. 2019年8月17日閲覧。
  5. ^ 土田英生を信じるな! - 後藤ひろひとOFFICIAL SITE ひろぐ - yahoo!ブログ”. 2019年8月17日閲覧。
  6. ^ 浅井加枝子他「ブロスコミックアワード」『テレビブロス』2014年23号、東京ニュース通信社、2014年11月、50頁、全国書誌番号:00065239 

関連項目

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