モズレー準男爵
モズレー準男爵(第3期) (1781年) | |
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創設時期 | 1781年6月8日 |
創設者 | ジョージ3世 |
貴族 | グレートブリテン準男爵位 |
初代 | 初代準男爵サー・ジョン・モズレー |
現所有者 | 8代準男爵(4代男爵)ダニエル・モズレー |
1980年以降、レイブンズデール男爵位の従属爵位 |
モズレー準男爵(英語: Mosley Baronetcy)は、イギリスの準男爵位[注釈 1]。モズレー家は3回準男爵に叙されており、1期目はイングランド準男爵位、2期目と3期目はグレートブリテン準男爵位である。3期目の物が現存しているが、1980年以降は連合王国貴族爵位レイブンズデール男爵位と保持者を同じくしている。
歴史
[編集]モズレー家はスタッフォードシャー・ウルヴァーハンプトン近くのモズレー村に起源をもつ[1]。ジョン王の時代にはアーノルド・ド・モズレー(Ernold de Moseley)という者が暮らしており、その次男からランカシャーの支族が生まれた。この支族で最初に言及されるのはエドワード4世治世下の1465年のジェンキン・モズレー(Jenkyn Moseley)である[1]。
その後、ニコラス・モズレー(1527年頃-1612年)とアンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の兄弟がロンドンで布商人として成功した[1]。ニコラスは1590年にロンドンのシェリフ、1599年から1600年にかけてはロンドン市長(Lord Mayor of London)も務め、1600年にナイトに叙されている。またマンチェスターに邸宅を購入した[1]。
その孫であるエドワード・モズレー(1616–1657)は、スタッフォードシャーのロールストン(Rolleston)とマンチェスターに土地を所有し、1640年7月20日にはイングランド準男爵位(スタッフォード州におけるロールストンのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Rolleston in the County of Stafford")に叙せられた。内乱中には王党派として行動したため、1643年のミドルウィッチの戦いで議会軍の捕虜となった。その後内乱に関与しないことを条件に釈放され、共和国政府に罰金を支払って没収された財産を返還された[1][2]。息子の2代準男爵エドワード・モズレー(1637年頃–1665年)は、1660年にランカシャーのハイシェリフを務め、1661年にはハルムの荘園を購入した。しかし子供がなかったため、準男爵位は彼の死とともに消滅した[3]。財産の方は争いがあったものの、結局アンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の曽孫でアンコーツに土地を所有するオズワルド・モズレー(1639年-1726年頃)に相続が認められている[1]。
その息子であるオズワルド・モズレー(1674年–1751年)は、1715年にスタッフォードシャーのハイシェリフを務め、1720年6月18日にグレートブリテン準男爵(スタッフォード州におけるロールストンのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Rolleston in the County of Stafford")に叙せられた[4]。初代男爵の死後は長男オズワルド・モズレー(1705–1757)が2代準男爵[5]、次男ジョン・モズレー(生年不詳-1779)が3代準男爵を継承したが、3代準男爵に子供がなかったため、この準男爵位も廃絶した[6]。
その後、2代準男爵と3代準男爵のはとこにあたるジョン・パーカー・モズレー(1732–1798)がグレートブリテン準男爵位(ランカシャー州におけるアンコーツのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Ancoats in the County of Lancaster)に叙せられた[7]。この準男爵位が2018年現在まで彼の男系男子によって継承されて現存している。
6代準男爵オズワルド・アーノルド・モズレー(1896–1980)は、イギリスファシスト連合の党首として知られる[8]。彼の先妻は初代カーゾン侯ジョージ・カーゾン(1859-1925)の娘シンシア・モズレー(1898年–1933年)だった [9]。カーゾン侯が叙された爵位の一つレイブンズデール男爵は、カーゾン侯の2人の娘を特別継承者と規定しており、カーゾン侯の死後、彼の長女(シンシアの姉)メアリー・アイリーン・カーゾン(1896–1966)が2代女男爵を継承し、彼女の死後は、シンシアと6代準男爵の間の長男ニコラス・モズレー(1923-2017)が3代男爵を継承した[10]。さらに1980年に6代準男爵が死去したことで7代準男爵位も継承した。以降アンコーツの準男爵位はレイブンズデール男爵と継承者を同じくしている。2018年現在の保持者は第4代レイブンズデール男爵・第8代準男爵ダニエル・モズレーである[10][11]。
歴代当主
[編集]ロールストンのモズレー準男爵 (1640年)
[編集]- 初代準男爵サー・エドワード・モズレー (Sir Edward Mosley, 1616年–1657年)
- 2代準男爵サー・エドワード・モズレー (Sir Edward Mosley, 1637年頃–1665年)
ロールストンのモズレー準男爵 (1720年)
[編集]- 初代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1674年–1751年)
- 2代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1705年–1757年)
- 3代準男爵サー・ジョン・モズレー (Sir John Mosley, 生年不詳-1779年)
アンコーツのモズレー準男爵 (1781年)
[編集]- 初代準男爵サー・ジョン・パーカー・モズレー (Sir John Parker Mosley, 1732年–1798年)
- 2代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 2nd Baronet, 1785年–1871年)
- 3代準男爵サー・トンマン・モズレー (Sir Tonman Mosley, 1813年–1890年)
- 4代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1848年–1915年)
- 5代準男爵サー・オズワルド・モズレー (Sir Oswald Mosley, 1873年–1928年)
- 6代準男爵サー・オズワルド・アーノルド・モズレー (Sir Oswald Ernald Mosley, 1896年–1980年)
- 7代準男爵/3代レイブンズデール男爵サー・ニコラス・モズレー (Sir Nicholas Mosley, 1923年–2017年) - 1966年にレイブンズデール男爵
- 8代準男爵/4代レイブンズデール男爵サー・ダニエル・ニコラス・モズレー (Sir Daniel Nicholas Mosley, 1982年-)
家系図
[編集]エドワード・モズレー (生年不詳-1571年) | |||||||||||||||||||||||||||||
ニコラス・モズレー (1527年頃-1612年) | アンソニー・モズレー (1537年頃-1607年) | ||||||||||||||||||||||||||||
ローランド・モズレー (生年不詳-1617年) | オズワルド・モズレー (1583年頃-1630年) | ||||||||||||||||||||||||||||
1640年(ロールストンの)準男爵 | |||||||||||||||||||||||||||||
初代準男爵 エドワード・モズレー (1616年-1657年頃) | ニコラス・モズレー (1611年頃-1672年頃) | ||||||||||||||||||||||||||||
2代準男爵 エドワード・モズレー (1639年頃-1665年) | オズワルド・モズレー (1639年-1726年頃) | ニコラス・モズレー (生年不詳-1697年頃) | |||||||||||||||||||||||||||
(ロールストンの)準男爵廃絶 | |||||||||||||||||||||||||||||
1720年(ロールストンの)準男爵 | |||||||||||||||||||||||||||||
初代準男爵 オズワルド・モズレー (1674年-1751年) | ニコラス・モズレー (1693年頃-1735年頃) | ||||||||||||||||||||||||||||
1781年(アンコーツの)準男爵 | |||||||||||||||||||||||||||||
2代準男爵 オズワルド・モズレー (1705年-1757年) | 3代準男爵 ジョン・モズレー (生年不詳-1779年) | 初代準男爵 ジョン・モズレー (1732年-1798年) | |||||||||||||||||||||||||||
(ロールストンの)準男爵廃絶 | |||||||||||||||||||||||||||||
オズワルド・モズレー (1761年-1789年) | |||||||||||||||||||||||||||||
2代準男爵 オズワルド・モズレー (1785年-1871年) | |||||||||||||||||||||||||||||
3代準男爵 トンマン・モズレー (1813年–1890年) | |||||||||||||||||||||||||||||
スカーズデール男爵 カーゾン家から | |||||||||||||||||||||||||||||
1916年アンスロー男爵 | |||||||||||||||||||||||||||||
4代スカーズデール男爵 アルフレッド・カーゾン (1831年-1916年) | 4代準男爵 オズワルド・モズレー (1848年–1915年) | 初代アンスロー男爵 トンマン・モズレー (1850年-1933年) | |||||||||||||||||||||||||||
アンスロー男爵廃絶 | |||||||||||||||||||||||||||||
1911年レイブンズデール男爵 1911年スカーズデール子爵 1921年カーゾン侯 | スカーズデール子爵 スカーズデール男爵 カーゾン家へ | ||||||||||||||||||||||||||||
初代カーゾン侯 初代スカーズデール子爵 5代スカーズデール男爵 初代レイブンズデール男爵 ジョージ・カーゾン (1859年-1925年) | 5代準男爵 オズワルド・モズレー (1873年–1928年) | ||||||||||||||||||||||||||||
カーゾン侯廃絶 | |||||||||||||||||||||||||||||
2代レイブンズデール女男爵 アイリーン・カーゾン (1896年-1966年) | シンシア・モズレー (1898年–1933年) | 6代準男爵 オズワルド・モズレー (1896年–1980年) | |||||||||||||||||||||||||||
3代レイブンズデール男爵 7代準男爵 ニコラス・モズレー (1923年–2017年) | |||||||||||||||||||||||||||||
ショーン・モズレー (1949年-2009年) | |||||||||||||||||||||||||||||
4代レイブンズデール男爵 8代準男爵 ダニエル・モズレー (1982年–) | |||||||||||||||||||||||||||||
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 準男爵位は爵位と異なり、準男爵という肩書だけ与えられる(「○○準男爵」といった形では与えられない)。他の準男爵位と区別する必要がある場合にのみ姓名を付けたり、由来する地名を付けたりして区別する
出典
[編集]- ^ a b c d e f Thornber, Craig. “THE MOSLEY FAMILY OF MANCHESTER” (英語). 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Edward Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Edward Mosley, 2nd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Mosley, 2nd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Reverend Sir John Mosley, 3rd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Sir John Parker Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ 松村赳 & 富田虎男 2000, p. 492.
- ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Ernald Mosley, 6th Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
- ^ a b Heraldic Media Limited. “Ravensdale, Baron (UK, 1911)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年3月8日閲覧。
- ^ Lundy, Darryl. “Nicholas Mosley, 3rd Baron Ravensdale” (英語). thepeerage.com. 2016年3月9日閲覧。
参考文献
[編集]- 松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478。