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モズレー準男爵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
モズリー準男爵から転送)
モズレー準男爵(第3期)
(1781年)
創設時期1781年6月8日
創設者ジョージ3世
貴族グレートブリテン準男爵位
初代初代準男爵サー・ジョン・モズレー英語版
現所有者8代準男爵(4代男爵)ダニエル・モズレー
1980年以降、レイブンズデール男爵位の従属爵位

モズレー準男爵英語: Mosley Baronetcy)は、イギリス準男爵[注釈 1]。モズレー家は3回準男爵に叙されており、1期目はイングランド準男爵位、2期目と3期目はグレートブリテン準男爵位である。3期目の物が現存しているが、1980年以降は連合王国貴族爵位レイブンズデール男爵位と保持者を同じくしている。

歴史

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3期目の(アンコーツの)6代準男爵オズワルド・モズレーイギリスファシスト連合の党首を務めた

モズレー家はスタッフォードシャーウルヴァーハンプトン近くのモズレー村に起源をもつ[1]ジョン王の時代にはアーノルド・ド・モズレー(Ernold de Moseley)という者が暮らしており、その次男からランカシャーの支族が生まれた。この支族で最初に言及されるのはエドワード4世治世下の1465年のジェンキン・モズレー(Jenkyn Moseley)である[1]

その後、ニコラス・モズレー英語版(1527年頃-1612年)とアンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の兄弟がロンドンで布商人として成功した[1]。ニコラスは1590年にロンドンのシェリフ、1599年から1600年にかけてはロンドン市長(Lord Mayor of London)も務め、1600年にナイトに叙されている。またマンチェスターに邸宅を購入した[1]

その孫であるエドワード・モズレー(1616–1657)は、スタッフォードシャーのロールストン(Rolleston)とマンチェスターに土地を所有し、1640年7月20日にはイングランド準男爵位(スタッフォード州におけるロールストンのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Rolleston in the County of Stafford")に叙せられた。内乱中には王党派として行動したため、1643年のミドルウィッチの戦いで議会軍の捕虜となった。その後内乱に関与しないことを条件に釈放され、共和国政府に罰金を支払って没収された財産を返還された[1][2]。息子の2代準男爵エドワード・モズレー英語版(1637年頃–1665年)は、1660年にランカシャーのハイシェリフを務め、1661年にはハルム英語版の荘園を購入した。しかし子供がなかったため、準男爵位は彼の死とともに消滅した[3]。財産の方は争いがあったものの、結局アンソニー・モズレー(1537年頃-1607年)の曽孫でアンコーツ英語版に土地を所有するオズワルド・モズレー(1639年-1726年頃)に相続が認められている[1]

その息子であるオズワルド・モズレー(1674年–1751年)は、1715年にスタッフォードシャーのハイシェリフを務め、1720年6月18日にグレートブリテン準男爵(スタッフォード州におけるロールストンのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Rolleston in the County of Stafford")に叙せられた[4]。初代男爵の死後は長男オズワルド・モズレー(1705–1757)が2代準男爵[5]、次男ジョン・モズレー(生年不詳-1779)が3代準男爵を継承したが、3代準男爵に子供がなかったため、この準男爵位も廃絶した[6]

その後、2代準男爵と3代準男爵のはとこにあたるジョン・パーカー・モズレー(1732–1798)がグレートブリテン準男爵位(ランカシャー州におけるアンコーツのモズレー)準男爵(Baronet "Mosley, of Ancoats in the County of Lancaster)に叙せられた[7]。この準男爵位が2018年現在まで彼の男系男子によって継承されて現存している。

6代準男爵オズワルド・アーノルド・モズレー(1896–1980)は、イギリスファシスト連合の党首として知られる[8]。彼の先妻は初代カーゾン侯ジョージ・カーゾン(1859-1925)の娘シンシア・モズレー英語版(1898年–1933年)だった [9]。カーゾン侯が叙された爵位の一つレイブンズデール男爵は、カーゾン侯の2人の娘を特別継承者と規定しており、カーゾン侯の死後、彼の長女(シンシアの姉)メアリー・アイリーン・カーゾン英語版(1896–1966)が2代女男爵を継承し、彼女の死後は、シンシアと6代準男爵の間の長男ニコラス・モズレー(1923-2017)が3代男爵を継承した[10]。さらに1980年に6代準男爵が死去したことで7代準男爵位も継承した。以降アンコーツの準男爵位はレイブンズデール男爵と継承者を同じくしている。2018年現在の保持者は第4代レイブンズデール男爵・第8代準男爵ダニエル・モズレーである[10][11]

歴代当主

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ロールストンのモズレー準男爵 (1640年)

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ロールストンのモズレー準男爵 (1720年)

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アンコーツのモズレー準男爵 (1781年)

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家系図

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モズレー準男爵家
 
 
エドワード・モズレー
(生年不詳-1571年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ニコラス・モズレー英語版
(1527年頃-1612年)
 
アンソニー・モズレー
(1537年頃-1607年)
 
 
 
 
 
 
 
 
ローランド・モズレー
(生年不詳-1617年)
 
オズワルド・モズレー
(1583年頃-1630年)
 
 
 
 
 
 
 
 
1640年(ロールストンの)準男爵
 
 
 
 
初代準男爵
エドワード・モズレー
(1616年-1657年頃)
 
ニコラス・モズレー
(1611年頃-1672年頃)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代準男爵
エドワード・モズレー英語版
(1639年頃-1665年)
 
オズワルド・モズレー
(1639年-1726年頃)
 
ニコラス・モズレー
(生年不詳-1697年頃)
(ロールストンの)準男爵廃絶
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1720年(ロールストンの)準男爵
 
 
 
 
 
 
 
 
初代準男爵
オズワルド・モズレー
(1674年-1751年)
 
ニコラス・モズレー
(1693年頃-1735年頃)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1781年(アンコーツの)準男爵
2代準男爵
オズワルド・モズレー
(1705年-1757年)
 
3代準男爵
ジョン・モズレー
(生年不詳-1779年)
 
初代準男爵
ジョン・モズレー
(1732年-1798年)
 
 
 
 
(ロールストンの)準男爵廃絶
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
オズワルド・モズレー
(1761年-1789年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代準男爵
オズワルド・モズレー英語版
(1785年-1871年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3代準男爵
トンマン・モズレー
(1813年–1890年)
 
 
スカーズデール男爵
カーゾン家から
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
1916年アンスロー男爵
 
 
4代スカーズデール男爵
アルフレッド・カーゾン
(1831年-1916年)
 
 
 
4代準男爵
オズワルド・モズレー英語版
(1848年–1915年)
 
初代アンスロー男爵
トンマン・モズレー英語版
(1850年-1933年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アンスロー男爵廃絶
 
 
 
 
 
 
1911年レイブンズデール男爵
1911年スカーズデール子爵
1921年カーゾン侯
 
スカーズデール子爵
スカーズデール男爵
カーゾン家へ
 
 
 
 
初代カーゾン侯
初代スカーズデール子爵
5代スカーズデール男爵
初代レイブンズデール男爵

ジョージ・カーゾン
(1859年-1925年)
 
 
 
 
 
5代準男爵
オズワルド・モズレー
(1873年–1928年)
カーゾン侯廃絶
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
2代レイブンズデール女男爵
アイリーン・カーゾン英語版
(1896年-1966年)
 
シンシア・モズレー英語版
(1898年–1933年)
 
6代準男爵
オズワルド・モズレー
(1896年–1980年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
3代レイブンズデール男爵
7代準男爵
ニコラス・モズレー
(1923年–2017年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ショーン・モズレー
(1949年-2009年)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4代レイブンズデール男爵
8代準男爵
ダニエル・モズレー
(1982年–)

脚注

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注釈

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  1. ^ 準男爵位は爵位と異なり、準男爵という肩書だけ与えられる(「○○準男爵」といった形では与えられない)。他の準男爵位と区別する必要がある場合にのみ姓名を付けたり、由来する地名を付けたりして区別する

出典

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  1. ^ a b c d e f Thornber, Craig. “THE MOSLEY FAMILY OF MANCHESTER” (英語). 2018年1月5日閲覧。
  2. ^ Lundy, Darryl. “Sir Edward Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  3. ^ Lundy, Darryl. “Sir Edward Mosley, 2nd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  4. ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  5. ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Mosley, 2nd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  6. ^ Lundy, Darryl. “Reverend Sir John Mosley, 3rd Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  7. ^ Lundy, Darryl. “Sir John Parker Mosley, 1st Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  8. ^ 松村赳 & 富田虎男 2000, p. 492.
  9. ^ Lundy, Darryl. “Sir Oswald Ernald Mosley, 6th Bt.” (英語). thepeerage.com. 2018年1月5日閲覧。
  10. ^ a b Heraldic Media Limited. “Ravensdale, Baron (UK, 1911)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2016年3月8日閲覧。
  11. ^ Lundy, Darryl. “Nicholas Mosley, 3rd Baron Ravensdale” (英語). thepeerage.com. 2016年3月9日閲覧。

参考文献

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  • 松村赳富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478 

関連項目

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