ムアズ・カサースベ
画像外部リンク | |
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ムアズ・カサースベ |
ムアズ・ユスフ・アル=カサースベ معاذ صافي يوسف الكساسبة | |
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生誕 |
1988年5月29日 ヨルダン カラク |
死没 | 2015年1月頃(満27歳没) |
所属組織 | ヨルダン空軍 |
軍歴 | 2009年 - 2015年 |
最終階級 | 中尉 |
ムアズ・ユスフ・アル=カサースベ[1][2](アラビア語: معاذ صافي يوسف الكساسبة、英語: Muath Safi Yousef Al-Kaseasbeh[3]、1988年5月29日[3] - 2015年1月3日?[2])は、ヨルダンの軍人。ヨルダン空軍中尉、操縦士である。日本語ではモアズ・カサスベ[4][5][6]、英語ではMoaz Youssef al-Kasasbeh[7]、Muadh al-Kasasbeh[8]等とも表記される。日本の外務省では「ムアーズ・アル・カサースバ」とされている[9]。
略歴
[編集]ヨルダン西部のカラクの有力部族の出身[7]。2009年、ヨルダン王立空軍学校を卒業。2012年に空軍のパイロットになり、ヨルダン北部のザルカ県にある空軍基地でF-16戦闘機の飛行隊に所属していた。ヨルダン軍元幹部の叔父がいる[4][6]。
過激派組織ISILへの空襲(en:Military intervention against the Islamic State of Iraq and the Levant、ar:الحرب ضد الدولة الإسلامية 2014)にF-16戦闘機で参加、2014年12月24日ラッカで墜落し、人質[1]あるいは捕虜[5]となった[7]。アメリカ中央軍は、ISILによる撃墜ではないと声明した[7]。カサースベは、ISILが発行するインターネット機関誌への取材に対し、搭乗機はラッカ上空付近でISILに撃墜されたと話しているが、真相は判然としない、との報道もある[6]。
2015年1月24日、ISILは、日本人人質の後藤健二を解放する条件として、2005年にアンマンで自爆テロ未遂を起こし死刑判決を受けて服役していたサジダ・リシャウィの釈放を要求した[10]。1月27日午後には、24時間以内にリシャウィを解放しなければ、後藤とカサースベの2人を殺害すると予告[11]。これに対して、1月28日にヨルダン政府はカサースベの解放を条件にリシャウィを釈放する用意があるとの声明を発表し、ISILにカサースベの生存確認を求めた[12]。1月29日午前1時には、ISILメンバーのものと見られるツイッターのアカウントに同日日没までにリシャウィを釈放しなければカサースベを殺害するとのメッセージが投稿された[13]。
しかし、後藤やカサースベとリシャウィの交換は実現せず、2月1日早朝にISILは後藤を殺害したとする動画をインターネット上で公開[14]。さらに2月3日には、カサースベと見られる人物の殺害を撮影した動画をインターネットに公開した。ヨルダン国営テレビは、根拠は示していないものの、カサースベはすでに1月3日に殺害されていたと報じている[2]。ISIL側は映像の中で、カサースベ殺害の理由としてイブン・タイミーヤの『おぞましい死によって敵を撃退できるのであれば、それは正当な聖戦だ』という発言を引用している[15]。カサースベは22分の動画の中で最終的には鉄格子の中に入れられたうえで火刑に処されるという残虐かつ一般的なイスラム教徒にとっては侮辱とも取れる処刑法を採られた。そのためヨルダンはカサースベ殺害の報復として2月4日早朝にリシャウィら2人の死刑囚の死刑を執行した[16]。
脚注
[編集]- ^ a b “パイロット救出の保証なし…ヨルダン政府苦慮”. 読売新聞 (2015年1月28日). 2015年1月31日閲覧。
- ^ a b c “ヨルダン軍パイロット殺害か 「イスラム国」が映像公開”. 朝日新聞 (2015年2月4日). 2015年2月7日閲覧。
- ^ a b Heather Saul、Kashmira Gander (2014年12月24日). “Isis 'did not shoot down Jordan war plane' before capturing pilot, says US”. The Independent 2015年2月7日閲覧。(記事中のRMCが公表したとされるIDカードの写真に英語表記の氏名と生年月日が示されている。)
- ^ a b “ヨルダン:カサスベ中尉は空軍エリート 有力部族の出身”. 毎日新聞 (2015年2月4日). 2015年2月7日閲覧。
- ^ a b “後藤さんか、新たな画像 「残りは24時間」”. 中日新聞 (2015年1月28日). 2015年1月31日閲覧。
- ^ a b c “ヨルダン、中尉救出が最大の関心「万一あれば国民、怒り」”. 産経新聞 (2015年1月30日). 2015年1月31日閲覧。
- ^ a b c d “Islamic State did not shoot down Jordan plane, says US” (英語). BBC News Middle East (2014年12月24日). 2015年1月31日閲覧。
- ^ “Jordanian pilot’s father appeals to Islamic State”. ガーディアン (2014年12月25日). 2015年1月31日閲覧。
- ^ “ヨルダン軍パイロットの殺害に関する安倍総理大臣の声明”. 外務省 (2015年2月4日). 2015年2月24日閲覧。
- ^ “サジダ・リシャウィとは誰か イスラム国が後藤健二さんと引き換えに要求した女性(画像)”. Huffingtonpost.jp (2015年1月25日). 2015年2月11日閲覧。
- ^ “「後藤さん」新映像…信ぴょう性高いと政府高官”. 読売新聞 (2015年1月28日). 2015年2月11日閲覧。
- ^ “「イスラム国拘束事件 「こう着状態」 外務副大臣”. AFPBB.com (2015年1月31日). 2015年2月11日閲覧。
- ^ “新たな画像、「死刑囚と後藤さんとの交換」強調”. 読売新聞 (2015年1月29日). 2015年2月11日閲覧。
- ^ “イスラム国、「日本にとって悪夢の始まり」 後藤さん殺害動画”. AFPBB.com (2015年2月1日). 2015年2月5日閲覧。
- ^ “イスラム国の操縦士焼殺、狙いは「恐怖」による優位性 専門家”. フランス通信社. (2015年2月6日)
- ^ “ヨルダン、リシャウィ死刑囚ら2人の刑執行 操縦士殺害で報復”. AFPBB.com (2015年2月4日). 2015年2月11日閲覧。