憲兵
憲兵(けんぺい)とは、戦闘支援兵科の一種であり、主に軍隊内部の秩序維持と交通整理を任務とする。英語ではMilitary police(MP)と記され、軍警察、軍事警察とも呼ばれる[1][2]。一般警察としての役割も兼ねている憲兵組織は国家憲兵と呼ばれる。
日本軍の憲兵については、英語文献にて特にkempeitaiと表記されることも多い。
概要
[編集]憲兵とは平時においては軍隊内部の秩序・規律を維持し、戦時においては主に交通整理・捕虜取り扱いなどの業務を行う兵科である。国によってその編成は一律ではないが、一個師団には概ね全人員に対して3%程度の人員が憲兵隊を構成しており、少なくとも100人から200人程度で憲兵中隊が編成されている。大隊以上の規模を持つ憲兵隊では、犯罪捜査の要員や法曹有資格者も所属している場合がある。
規律正しさから特殊な任務を担うことも多く、現在の日本の陸上自衛隊では国賓に対する栄誉礼を行う特別儀仗隊は、警務科に属する第302保安警務中隊の隊員を以て編成される。また、朝鮮半島の共同警備区域(板門店)で南側の警備に当たっているのも憲兵である。
制度
[編集]憲兵の制度ならびにその職掌は、沿革や制度設計思想により各国で大きく異なり、一様ではないが、フランスの国家憲兵隊を範とした国では、各軍の一兵科としてではなく、陸海空軍から独立した編成(以下、「国家憲兵制度」と呼ぶ)を採り、軍内部の秩序維持のみならず、一般の行政警察機能を重視したものである。具体的には、ジャンダルムリ(フランス)のほか、ジャンダルマ(トルコ)、カラビニエリ(イタリア)などがその例である。他にも、チリ(カラビネーロス・デ・チレ)やアルゼンチン(ゲンダルメリア・ナチオナル・アルヘンチナ)などに存在する。旧日本陸軍の憲兵もフランスの制度を範として創設された国家憲兵の一種であり、旧日本海軍の軍事警察や行政警察、司法警察をも職掌した。詳細については、国家憲兵、憲兵 (日本軍)を参照。
憲兵は、警察権を行使することを明確にするため、軍服に兵科色、徽章、腕章等を着用していることが多い。また、ヘルメットや弾帯を白くする等で目立つようにしている場合もある。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]- ^ “憲兵(けんぺい)|日本史 -け-|ヒストリスト[Historist]−歴史と教科書の山川出版社の情報メディア−”. Facebook OGP用 サイト名. 2019年8月12日閲覧。
- ^ “韩拟将宪兵改军事警察 “宪兵”一词曾声名狼藉-新华网”. www.xinhuanet.com. 2019年8月12日閲覧。
関連項目
[編集]- 国家憲兵
- 憲兵 (日本軍)
- 警務官 - 自衛隊における憲兵相当の部門に勤務する自衛官
- フェルトイェーガー - ドイツ連邦軍における憲兵科の名称。
- 司令部付勤務員 - 旧東側諸国に見られた、憲兵に相当する職務。
- 憲兵学校 (中華民国)
- 政治将校 - 任務が憲兵と一部重複する。
- 陸軍犯罪捜査司令部 - アメリカ陸軍の部隊。規律維持・統制だけでなく軍内部での犯罪の捜査もする。
- 海軍犯罪捜査局 - アメリカ海軍の機関。軍人のみの陸軍と違い、文官で組織される。
- アメリカ空軍特別捜査局 - アメリカ空軍の機関。海軍犯罪捜査局と同様、文官で組織される。
- 空軍警備隊 - アメリカ空軍における地上警備兵力。空軍における職種の一つ。