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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マンナズから転送)
名称
Maðr
「人、人間」"man, human"
形状 ゲルマン共通ルーン アングロサクソンルーン 北欧ルーン
Unicode
U+16D7
U+16D8
U+16D9
翻字 m
転写 m
IPA [m]
アルファベット順 第20字母 第14字母
ゲルマン共通ルーン文字
第1類
*Fehu [f] *Ūruz [u]
*Þurisaz [θ] *Ansuz [a]
*Raiđō [r] *Kaunan [k]
*Geƀō [ɣ] *Wunjō [w]
第2類
*Haǥ(a)laz [h] Nauđiz [n]
*Isaz [i] *Jē2ra- [j]
2haz [æː] *Perþō [p]
*Algiz [z] *Sōwilō [s]
第3類
*Tē2waz [t] *Berkanan [β]
*Ehwaz [e] *Mannaz [m]
*Laguz [l] *Ingwaz [ŋ]
*Ōþalan [o] *Dagaz [ð]
その他のルーン文字
北欧ルーン文字
Yr [ɻ] Kaun [k, g]
Maðr [m] Óss [ɑ̃, o]
Ár [a] Sol [s]
アングロサクソンルーン文字
Ōs [o] Āc [a]
Æsk [æ] Cēn [k, c, tʃ]
Gēr [j] Īor [jo]
Ȳr [y] Ēar [æɑ]
Ing [ŋ] Cweorð [kw]
Calc [k] Stan [st]
Gar [g]

(マンナズ、*Mannaz[1]*Manwaz)は、ルーン文字の一つである。*Mannazは「 (m) 」の再建された名称であり、性的に中立な意味において「人、人間(英語: person, human being)」をあらわすゲルマン祖語の単語である。

概要

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単語「Mannaz」は、古英語の「man, mann(「人間、人」)」へと発展していった。 (他にドイツ語の「Mann」、古ノルド語の「maðr」、ゴート語の「manna」、いずれも英語の「man」と同義語である。)

この語は、インド・ヨーロッパ祖語の語根「*man-(異形の*mon-も含む)」に由来している。 (サンスクリット語あるいはアヴェスター語manu-ロシア語muzh。いずれも「人、男性」を意味する。)

語源

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アメリカン・ヘリテージ辞典(en)がそうであるように、語源の説明のいくつかは、語根を独立したものとみなしている。

インド・ヨーロッパ系の神話において、*Manusは、最初の男の名でもあった。(マンヌスマヌを参照。)

語源説明1

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他のインド・ヨーロッパ祖語との関連を証明する語源説明の中で、「man(考える人 the thinker)」は、最も従来からある説である――つまりこの単語は、語根「*men-」(「考えること」の意。「mind(心)」の同根語)とつながりがある。

この語源説明は、「合理的な動物」としてルネ・デカルトによって与えられた「人(man)」の定義に適合する。 この説明はしかし、一般には受け入れられていない。

ゲルマン語派の言語に属さないフィンランド語においては、この語源としてありそうな類比がある。 フィンランド語では、「人間」は「ihminen」という単語である。その意味するところは、「不思議に思っている誰か」である。

語源説明2

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第2の語源説明は、「man」の原型が「human」の原型の縮小形だと主張している。 「Human(人間)」は、「*dhghem-」つまり英語の「earth(地球)」に由来している。 「*(dh)ghom-on-」は、ある種の「earthling(人間)」である。 単語は、まさにその最終的な音節である「*m-on-」にまで縮小する。 エリック・パートリッジ[2]語源辞典『Origins』において、「man(人)」の項目にこの考え方を見い出せるだろう。

こんにち我々にゲルマン語の語形だけがあるとすれば、その派生論は有望な説であろう。 (また、トゥイストーマンヌスの父神)が大地から出現した神であることにも注意が必要。) しかし、その証拠となるはずのインド・イラン語派の単語「manu」は、事実上その可能性を否定する。

意味の変化

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11世紀ごろ、その意味を「成人男性」に制限した「man」の使われ方は、後期古英語に見られ始めただけであった。そして、往事は「男性(male sex)」を表していた単語wer」「were1300年頃には使われなくなった。(しかし、例えば「werewolf人狼)」や「weregild贖罪金)」という単語に残っている。)

単語「man」の本来の意味は、古英語「mancynn」に由来する「mankind(人類)」のような単語に残されている。

20世紀に入ると、「人(man)」の一般的な意味はまたさらに制限されてしまった。 (しかし、合成語である「mankind(人類)」、「everyman(全員)」、「no-man(つむじ曲り)」、その他の語として残っている。)

現在は、昔そうであったように、ほとんど独占的に「成人の男性」を意味する語としての用例が大部分である。

ラテン系言語における「homo」の変化

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興味深いことに、まったく同じことが、ラテン系言語の単語「homo」に起こっている。ロマンス諸語においては顕著である。

homme, uomo, hombre, homem」は、残された一般的な意味として、主に「男性」に適用されるようになった。

ルーン詩

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3つすべてのルーン詩に、ノルウェー語アイスランド語の詩では maðr として、そして古英語の詩では man として記録されている。

Rune Poem:[3] 現代英語訳:

古ノルウェー語英語版

Maðr er moldar auki;
mikil er græip á hauki.
Man is an augmentation of the dust;
great is the claw of the hawk.

古アイスランド語英語版

Maðr er manns gaman
ok moldar auki
ok skipa skreytir.
homo mildingr.[要説明]
Man is delight of man
and augmentation of the earth
and adorner of ships.

古英語

Man byþ on myrgþe his magan leof:
sceal þeah anra gehwylc oðrum swican,
forðum drihten wyle dome sine
þæt earme flæsc eorþan betæcan.
The joyous man is dear to his kinsmen;
yet every man is doomed to fail his fellow,
since the Lord by his decree
will commit the vile carrion to the earth.

脚注

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  1. ^ 語の隣の「*」は、これが再建された語であることを示す。
  2. ^ Eric Partridgeニュージーランド生、イギリス人の辞書編纂者。英語の語源や俗語に関する著書多数
  3. ^ 元の詩と訳は Rune Poem Page による。

関連項目

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