カム・アンド・ゲット・イット (曲)
「マジック・クリスチャンのテーマ」 | ||||||||||
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バッドフィンガー の シングル | ||||||||||
初出アルバム『マジック・クリスチャン・ミュージック』 | ||||||||||
B面 | ロック・オブ・オール・エイジス | |||||||||
リリース | ||||||||||
規格 | 7インチシングル | |||||||||
録音 | 1969年9月 | |||||||||
ジャンル | ||||||||||
時間 | ||||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞・作曲 | ポール・マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ポール・マッカートニー | |||||||||
チャート最高順位 | ||||||||||
後述を参照 | ||||||||||
バッドフィンガー シングル 年表 | ||||||||||
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「カム・アンド・ゲット・イット」または「マジック・クリスチャンのテーマ[1]」(原題 : Come And Get It)は、バッドフィンガーの楽曲である。ポール・マッカートニーが1969年に公開された映画『マジック・クリスチャン』のために書き下ろした楽曲で、プロデュースもマッカートニーが手がけた。1969年12月にシングル盤が発売され、全英シングルチャートで最高位4位を記録した。
マッカートニーによって制作されたデモ音源は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』や、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』に収録された。
ポール・マッカートニーによるデモ音源
[編集]「カム・アンド・ゲット・イット」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』 | |||||||||
英語名 | Coma And Get It | |||||||||
リリース | 1996年10月28日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ポップ・ロック | |||||||||
時間 |
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レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | ポール・マッカートニー | |||||||||
作曲者 | ポール・マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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マッカートニーは、ビートルズのアルバム『アビイ・ロード』のためのレコーディング・セッションが行なわれていた1969年7月24日に本作のデモ音源を録音した。
マッカートニーはピアノを弾きながら歌い、これをトラック1と2に録音。演奏後に「よし、じゃあオケをつけるから、今のをヘッドフォンに送ってくれないか?」とレコーディング・エンジニアのフィル・マクドナルドに告げた。それからマラカスを振りながらトラック3に追加のボーカルを入れ、トラック4にドラム、トラック5にベースをオーバー・ダビングして完成させた。ここまでの作業は1時間もかからずに完成している[2][3][4]。マッカートニーによるデモ音源は、バッドフィンガー版に比べてテンポが遅く、キーが僅かに高い。
この日に録音されたデモ音源は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録されている。また、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』にも収録された[5][6]。
また、『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』と『アビー・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』では、ミックスが異なる。前者には1984年に発売される予定だった未発表曲集のためにマルチ・トラック・テープからリミックスされた音源が収録され、後者にはデモ音源完成後にコントロール・ルームで作成されたオリジナル・ミックスが収録されている[2]。
バッドフィンガーによる演奏
[編集]1969年8月2日、マッカートニーは当時アイヴィーズの名前で活動していたバッドフィンガーに対してデモ音源を提出。マッカートニーは彼らに「デモ音源と同じように演奏してくれ」と指示。それに対してバンド側は「僕ら流にアレンジしたい」と申し出たが、マッカートニーは「これが絶対的に正しいアレンジだ。間違いなくヒットするから変えないでくれ」と拒否した[2]。
ボーカルは、メンバー4人に「カム・アンド・ゲット・イット」を唄わせ、オーディション形式でリード・ボーカルを選んだ。最終的にリード・ボーカルにはトム・エヴァンズが選ばれた。このバッドフィンガー版は、ピーター・セラーズとリンゴ・スター主演の映画『マジック・クリスチャン』のオープニングテーマに使用され、エンドクレジットではストリングス・バージョンが使用された。
シングルは、イギリスでは1969年12月5日にアップル・レコードから発売されたが、アメリカでは1970年1月12日まで発売されなかった[7]。全英シングルチャートでは最高位4位[8]、アメリカのBillboard Hot 100では最高位7位を記録し[9]、バンドのヒット・シングルとなった。なお、シングルのリリースを前にベーシストのロン・グリフィスが脱退した。
1978年に新たにレコーディングされた音源がK-telより発売されたが、こちらでもエヴァンズがリード・ボーカルを担当している。
クレジット
[編集]チャート成績
[編集]その他のバージョン
[編集]本作は以下のアーティストによるカバー・バージョンが存在する。
- セリーヌ・ロメス - 1970年にフランス語カバーを発表。タイトルは「Ce que tu veux, je l'ai」。
- ヴィック・ルイス・オーケストラ&ヒズ・シンガー - イギリスでは1969年にNEMS Recordsから、アメリカでは1970年にエピック・レコードからプロモーション・シングルが発売された。
- ウォレント - 2001年に発売したカバー・アルバム『Under the Influence』に収録。
- ラズロ・ベイン - 2007年に発売したアルバム『Guilty Pleasures』に収録。
- エルトン・ジョン - 2009年に発売したアルバム『Spirit In The Sky: Rare Sessions 1969–70』に収録。
- ポール・マッカートニー - 2011年11月26日にイタリア共和国ボローニャで開催されたライブで初披露[17]。また、2015年にハリウッド・ヴァンパイアーズが発売した『Hollywood Vampires』では、アリス・クーパーと共にリード・ボーカルを担当した。
- トゥーツ・ヒバート & スライ&ロビー - 2014年に発売されたトリビュート・アルバム『The Art of McCartney』に収録。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 演奏時間には演奏の前後に入っているマッカートニーとエンジニアの会話も含まれているため、実際の演奏時間は少し短い。
出典
[編集]- ^ “マジック・クリスチャン・ミュージック[CD] - バッドフィンガー”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2019年10月19日閲覧。
- ^ a b c d Abbey Road 2019, p. 16.
- ^ The Beatles 2000, p. 289.
- ^ Lewisohn 1988, p. 182.
- ^ “ビートルズ、『アビイ・ロード』50周年記念エディション発売決定&トレイラー映像が公開”. NME Japan. BandLab UK (2019年8月9日). 2019年8月12日閲覧。
- ^ “ビートルズ「アビイ・ロード」50周年記念盤、4枚組BOXセットで復刻”. SANSPO.COM(サンスポ). 産経デジタル (2019年8月9日). 2019年8月12日閲覧。
- ^ Castleman & Podrazik 1977, p. 82.
- ^ a b "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 2020年9月6日閲覧。
- ^ a b “The Hot 100 Chart”. Billboard (1970年4月18日). 2020年8月23日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – Badfinger – Come And Get It" (in French). Ultratop 50. 2021年3月26日閲覧。
- ^ a b “Songs from the Year 1972”. Tsort.info. 2 October 2016閲覧。
- ^ "The Irish Charts – Search Results – Come and Get It". Irish Singles Chart. Retrieved 2020-02-29.
- ^ "Dutchcharts.nl – Badfinger – Come And Get It" (in Dutch). Single Top 100. 2021年3月26日閲覧。
- ^ “flavour of new zealand – search listener”. Flavourofnz.co.nz. 2020年2月22日閲覧。
- ^ “Top Records of 1970”. Billboard: 48. (26 December, 1970) .
- ^ “Archived copy”. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月29日閲覧。
- ^ “Bologna; Set list”. paulmccartney.com (2011年11月26日). 2019年8月12日閲覧。
参考文献
[編集]- The Beatles (2000). The Beatles Anthology. San Francisco: Chronicle Books. ISBN 978-0-8118-2684-6
- Castleman, Harry; Podrazik, Walter J. (1977). “1969 - "But If Paul's Alive, How Did He Die?"”. All Together Now - The First Complete Beatles Discography 1961-1975 (Second ed.). New York: Ballantine Books. p. 82. ISBN 0-345-25680-8
- ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
外部リンク
[編集]- Come And Get It - The Beatles