葉長石
表示
(ペタル石から転送)
葉長石(ペタル石) | |
---|---|
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
シュツルンツ分類 | 09.EF.05 |
化学式 | LiAlSi4O10 |
結晶系 | 単斜晶系 |
対称 |
単斜晶系プリズム H-M symbol: (2/m) 空間群: P 2/a |
単位格子 | a = 11.737 Å, b = 5.171 Å, c = 7.63 Å; β = 112.54°; Z = 2 |
晶癖 | 板状、柱状結晶、柱状の塊 |
双晶 | 一般的、層状構造 |
へき開 | 一方向に完全、そのほかでは不明瞭 |
断口 | 貝殻状 |
粘靱性 | もろい |
モース硬度 | 6 - 6.5 |
光沢 | 硝子体、へき開部で真珠様 |
色 | 白色、無色、灰色、黄色、ピンク |
条痕 | 無色 |
透明度 | 透明から半透明 |
比重 | 2.4 |
光学性 | 二軸性 (+) |
屈折率 |
nα=1.504 nβ=1.510 nγ=1.516 |
複屈折 | δ = 0.012 |
光軸角 2V | 82 – 84° |
融点 | 1350 °C[1] |
可融性 | 5 |
溶解度 | 不溶性 |
文献 | [2][3][4][5] |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
葉長石(ようちょうせき、petalite)あるいはペタル石(ペタルせき)[6]は、鉱物(ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成は LiAlSi4O10で、結晶系は単斜晶系。準長石グループの鉱物。1800年にスウェーデンのウート島の鉱山でジョゼ・ボニファチオ・デ・アンドラダにより発見された[3][7]。名前はギリシャ語で葉を意味する petalon に由来する[3]。ポルックス石と共産したことから命名された「カストライト castorite」としても知られる(1846年命名のため無効となっている)。
元素のリチウムは、1817年にヨアン・オーガスト・アルフェドソンにより葉長石から発見された。
産出地
[編集]ウート島、ハーニンゲ、ストックホルム、ジンバブエ等で見られる。日本では、福岡県長垂に産する[8]。
リチウムを含んだペグマタイトと、リシア輝石、リチア雲母、電気石の含まれる鉱床で生成される。
性質・特徴
[編集]炭酸成分が少なく、高密度含水アルカリホウケイ酸塩液体の存在する3kbarの圧力下で~500度に熱せられると、リシア輝石と石英に転換される[9]。
用途・加工法
[編集]葉長石は重要なリチウムの鉱石。 無色のものはしばしば宝石として利用される。 萬古焼(ばんこやき)(四日市市)の土鍋に使用され、熱膨張率が非常に小さいために高熱でも鍋が割れない。
家電や自動車に幅広くリチウムイオン電池の需要が世界で広がってきたのを背景に価格が上昇傾向にある。土鍋に向いているジンバブエ産は2017年頃の1キロ100円程度から、2023年現在1000円程度に高騰しており、伝統窯業はペタライトの代替化を迫られている[10][11]。
ギャラリー
[編集]脚注
[編集]- ^ “Petalite” (英語). Digitalfire Reference Database. Digital Fire. 23 October 2011閲覧。
- ^ “Petalite” (PDF) (英語). Handbook of Mineralogy. Mineralogical Society of America. 2011年12月5日閲覧。
- ^ a b c Petalite (英語), MinDat.org, 2011年12月5日閲覧。
- ^ Petalite (英語), WebMineral.com, 2011年12月5日閲覧。
- ^ Hurlbut, Cornelius S.; Klein, Cornelis (1985). Manual of Mineralogy (20th ed. ed.). Wiley. pp. 459-460. ISBN 0-471-80580-7
- ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、324頁。ISBN 4-8181-8401-2 。
- ^ Weeks, Mary (2003), Discovery of the Elements, Whitefish, Montana, United States: Kessinger Publishing, p. 124, ISBN 0766138720 10 August 2009閲覧。
- ^ 松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会〈国立科学博物館叢書〉、2006年、99頁。ISBN 978-4-486-03157-4。
- ^ W. A. Deer (2004). Framework silicates: silica minerals, feldspathoids and the zeolites (2. ed. ed.). London: Geological Soc.. p. 296. ISBN 1862391440
- ^ “リチウム需要増、伝統窯業に打撃”. 日本経済新聞 (2023年6月10日). 2023年6月11日閲覧。
- ^ 国産「土鍋」、原料調達難で価格高騰の可能性…鉱石「ペタライト」EV電池と争奪戦 (読売新聞2023年11月5日)
参考文献
[編集]- 齋藤信房、國分信英・垣花秀武「葉長石の變質に關する一知見」(PDF)『日本化學雜誌』第71巻第2号、日本化学会、1950年、131-133頁、doi:10.1246/nikkashi1948.71.131、ISSN 0369-5387、NAID 40018223597、JOI:JST.Journalarchive/nikkashi1948/71.131。
- 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社、2011年、175頁。ISBN 978-4-416-21104-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 福岡正人. “鉱物リスト(珪酸塩)”. 地球資源論研究室. 広島大学大学院総合科学研究科. 2011年12月5日閲覧。
- “ペタル石”. 地質標本館. 産業技術総合研究所地質調査総合センター. 2011年12月5日閲覧。