一般四元数群
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(ブラウアー・鈴木の定理から転送)
数学において、一般四元数群[1][2][3](いっぱんしげんすうぐん、英: generalized quaternion group)とは、四元数群
を一般化した有限群のこと。これは
という表示で定義される[4][5]、位数 4m で、位数が 2 である部分群()を唯一つ持つ群である[6]。(2群の場合しか考えないこともある[2][7][1]。この場合、位数 2n の一般四元数群を Qn と書く流儀もあり[1]、注意が必要である。)群の生成元を
のように対応させることで、忠実な行列表現を得ることができる。
四元数群
[編集]四元数群(しげんすうぐん、英: quaternion group)は
という表示で定義される[8]。これは位数 8 の非可換群で、すべての真部分群は巡回的である。元 ijk ∈ Q8 は唯一つの対合で中心的であり、 −1 と書かれることも多い。これらの記号はハミルトンの四元数環の生成系に由来する。群の生成元を
のように対応させることで、忠実な行列表現を得ることができる。四元数群はハミルトン群、つまり、すべての部分群が正規部分群であるような非可換群の最小位数の例である。また自己同型群 Aut(Q8) は4次の対称群 S4 と同型である[9]。
ブラウアー・鈴木の定理
[編集]有限群 G の持つシロー 2 部分群が一般四元数群と同型ならば最大の奇数位数正規部部分群 O(G) による商 G/O(G) の中心は位数 2 である[10]。特に、このような有限群 G は決して単純群でない。
脚注
[編集]- ^ a b c 森 1975, p. 63.
- ^ a b 岩波数学辞典 2007, p. 1530.
- ^ 近藤 (1991, p. 31)は「4元数型の群」、鈴木 (1977, p. 255)は「4元数形の2群」という言い方をしている。
- ^ ATLAS 1985, p. xx.
- ^ 「2重巡回群」(英: dicyclic group)と呼ばれることもある (アームストロング 2007, p. 195)。
- ^ 近藤 1991, pp. 31, 382.
- ^ 鈴木 1977, p. 255.
- ^ 一般四元数群の対応する表示は である (Groupprops)。
- ^ Weinstein 1977.
- ^ Michler 2006, p. 265.
参考文献
[編集]- M. A. アームストロング『対称性からの群論入門』シュプリンガー・ジャパン、2007年。ISBN 978-4-431-10007-2。
- 近藤武『群論』岩波書店〈岩波基礎数学選書〉、1991年。ISBN 4-00-007807-0。
- 鈴木通夫『群論 上』 18巻、岩波書店〈現代数学〉、1977年。ISBN 978-4-00-730271-8。 数学 sugaku1947.37.180
- 日本数学会 編『岩波 数学辞典』(第4版)岩波書店、2007年。ISBN 978-4-00-080309-0。
- Michler, Gerhard O. (2006). Theory of Finite Simple Groups. New Mathematical Monographs. 8. Cambridge University Press. ISBN 0-521-86625-1. Zbl 1146.20011
- Conway, J. H.; Curtis, R. T.; Norton, S. P.; Parker, R. A.; Wilson, R. A. (1985). Atlas of Finite Groups: Maximal Subgroups and Ordinary Characters for Simple Groups. Oxford. ISBN 0-19-853199-0. Zbl 0568.20001
- Weinstein, M. (1977). Example of Groups. Polygonal Publishing House. Zbl 0359.20001
外部リンク
[編集]- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Quaternion group”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
- “Dicyclic group”. Groupprops. 2019年5月26日閲覧。