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フランク・J・ドフランシス記念ダッシュステークス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランク・J・ドフランシス記念ダッシュステークス
Frank J. De Francis Memorial Dash Stakes
競馬場 ローレルパーク競馬場
距離 ダート6ハロン[1]
格付け G3(1992年-1993年、2016年-2021年)[2]
LR(2011年-2015年、2022年-)[1]
G1(1999年-2009年)
G2(1994年-1998年、2010年)[3]
賞金 賞金総額35万ドル(2014年)[1]
出走条件 サラブレッド3歳以上[1]
負担重量 定量
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フランク・J・ドフランシス記念ダッシュステークス[4][5]Frank J. De Francis Memorial Dash)は、アメリカ合衆国ローレルパーク競馬場にて開催される競馬の競走である。

「フランク・J・ドフランシス・メモリアルダッシュステークス[6][7]」「De Francis Dash[訳注 1]」などと表記することもあるが、フランクJドフランシスという人物を追悼して命名された競走である。

1990年に創設され、アメリカのダートのスプリント戦の代表的なレースとなり、ブリーダーズカップ・スプリントエクリプス賞最優秀スプリンターの選出に大きく関わってきた。1999年には最高格のG1に格付けされた。しかし2008年に財政難のために中止となって以来、開催が不安定になり、2011年にはグレードを失った。2022年現在はリステッドの扱いである[8]

歴史

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「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」は、アメリカのスプリント戦の最高峰の1つである。

2009年まで、スプリント距離のダートG1戦としてはアメリカに2つしかないレースのうちの1つであり、賞金総額や格式の点でもブリーダーズカップ・スプリントに次いでアメリカで2番目であった。2010年からはアメリカグレードステークス委員会・全米馬主生産者協会(Thoroughbred Owners and Breeders Association[訳注 2])は、この競走をG2に格下げすることを決定した。2011年にはグレード格付けを失った[9][訳注 3]

第1回「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」は、1990年夏にピムリコ競馬場で行われ、1989年のエクリプス賞チャンピオンスプリンターのセイフリィケプト(Safely Kept)を筆頭に、一流スプリンターのグリッターマン(Glitterman)、ソーウィクリー(Sewickley)[訳注 4]など、全米から最良のスプリンターが集まった。ところが、まるで亡きドフランシス氏を讃えるかのように、勝ったのはメリーランド州で生産・調教されたノーザンウルフ(Northern Wolf)だった[訳注 5]。走破タイムはコースレコードの1分9秒だった。

第2回「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」はローレル競馬場に会場を移し、セイフリィケプトとハウスバスターHousebuster)という2頭のチャンピオンホースが出走してきた。ほかにも一流スプリンターのクレヴァートレヴァー(Clever Trevor)やサニーブロッサム(Sunny Blossom)が出てきた。ハウスバスターが5馬身差で優勝し、優勝賞金を獲得した。ハウスバスターは2年連続となるエクリプス賞スプリント部門のチャンピオンに選出された。

その後9年間は「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」はローレル競馬場の夏を飾る代表的な競走だった。その間の勝馬の中には、チェロキーラン(Cherokee Run)、スモークグラッケン(Smoke Glacken)という2頭のエクリプス賞チャンピオンスプリンターもいる。

2001年に、メリーランド競馬会の最高責任者(COO)ルー・ラフェット(Lou Raffetto)は、「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」の開催時期を秋に変更したが、その成果はすぐに現れた。新しい日程はブリーダーズカップ・スプリントの3週あとになったが、この年の出走馬7頭のうち、ブリーダーズカップスプリントの上位馬が4頭も集まったのである[訳注 6][10]

「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」は1992年にグレード格付けを取得し、1999年からG1に昇格した。2008年8月7日に、2008年の施行は中止になることが発表された。その理由は、主催者のメリーランド競馬会の財政難のためである。

フランク・J・ドフランシス

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フランク・J・ドフランシス(Frank J. De Francis、-1989)は、1984年にローレル競馬場の最高経営責任者になると、ローレル競馬場の改革を行い、アメリカ競馬におけるメリーランド州の地位を大きく向上させた。ドフランシスは、途絶えていた大レースであるピムリコスペシャルを1988年に復活させて全米から一流の古馬を集めることに成功し、人気レースに仕立てあげた。そのほか、「インターナショナルターフフェスティバル」や「ウィンタースプリントウィークエンド」などを企画し、成功させた。ドフランシスによって、ローレル競馬場とピムリコ競馬場はアメリカ競馬の重要な競馬場へと変身した。1989年にドフランシスが没すると、ローレル競馬場は翌1990年に「フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ」を創設した[11]

記録

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  • レコードタイム
    • 1分07秒80 - 勝馬Richter Scale(2000年)。レースレコードであると同時にコースレコードである。

歴代優勝馬

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  • 馬名の前の「*」は、その馬が日本へ輸入されたことを示す。(国際競走出走など一時的なものも含む。)
  • 距離の「f」はハロンを指す。6f(6ハロン=3/4マイル)は約1207メートルである。

勝馬
馬齢
騎手
調教師
馬主
距離
優勝タイム
賞金
格付
2024 Dean Delivers 5 Jaime Rodriguez Edward Allard 6f 1:10.10 $250,000 LR
2023 Lightening Larry Daniel Centeno Jorge Delgado 6f $250,000 LR
2022 Beren Frankie Pennington Robert E. Reid, Jr. 6f $250,000 LR
2021 Jalen Journey Feargal Lynch Steven Asmussen 6f $250,000 G3
2020 Laki Horacio Karamanos Damon Dilodovico 6f $250,000 G3
2019 Killybegs Captain Eric Cancel John P. Terranova II 6f $250,000 G3
2018 Switzerland Feargal Lynch Steven Asmussen 6f $250,000 G3
2017 Chublicious Horacio Karamanosl Claudio Gonzalez 6f $250,000 G3
2016 Ivan Fallunovalot Calvin Borel W. T. Howard 6f $250,000 G3
2015 Gentlemen's Bet 6 Daniel Centeno Ron Moquett Harry T. Rosenblum 6f 1:09.34 $350,000 LR
2014 Zee Bros 4 Jose L. Ortiz D. Wayne Lukas Zayat Stables, LLC 6f 1:08.77 $350,000 LR
2013 Immortal Eyes 9 Travis Dunkelberger Damon Dilodovico Robert Abbo Racing Stable 6f 1:08.47 $350,000 LR
2012 Action Andy 5 Horacio Karamanos Carlos Garcia Robert Gerczak 6f 1:10.61 $350,000 LR
2011 Candyman E 4 Joe Bravo Anthony Dutrow Kuehne Racing 6f 1:09.43 $150,000 LR
2010 中止 G2
2009 Vineyard Haven 3 Alan Garcia Saeed bin Suroor Godolphin Racing 6f 1:09.62 $300,000 G1
2008 中止 G1
2007 Benny the Bull 4 Edgar Prado Richard Dutrow IEAH Stables 6f 1:09.86 $250,000 G1
2006 Thor's Echo 4 Corey Nakatani Doug O'Neill Pablo Suarez/Royce Jaime 6f 1:08.71 $300,000 G1
2005 I'm The Tiger 5 Jerry Bailey Robert J. Frankel Stronach Stable 6f 1:09.06 $300,000 G1
2004 Wildcat Heir 4 Stewart Elliot Ben Perkins Cloverleaf Farms II et al. 6f 1:09.45 $300,000 G1
2003 A Huevo 7 Ramon Dominguez Michael Dickinson Mark S. Hopkins 6f 1:08.92 $300,000 G1
2002 D'Wildcat 4 Jorge Chavez Robert B. Hess Fog City Stable 6f 1:10.80 $300,000 G1
2001 Delaware Township 5 Jerry Bailey Ben W. Perkins New Farm 6f 1:09.00 $300,000 G1
2000 Richter Scale 6 Richard Migliore William I. Mott N. Fox/N.R. Kaster et al. 6f 1:07.80 $300,000 G1
1999 Yes It's True 3 Jerry Bailey Michael Simone Padua Stables 6f 1:08.60 $300,000 G1
1998 Kelly Kip 4 Jean-Luc Samyn H. Allen Jerkens Hobeau Farm 6f 1:08.40 $300,000 G2
1997 Smoke Glacken 3 Craig Perret Henry L. Carroll Roberts/Karkenny/Levy 6f 1:09.40 $300,000 G2
1996 Lite The Fuse 5 Julie Krone Richard Dutrow Richard Dutrow, Sr. 6f 1:08.80 $300,000 G2
1995 Lite The Fuse 4 Julie Krone Richard Dutrow Richard Dutrow, Sr. 6f 1:08.80 $300,000 G2
1994 Cherokee Run 4 Craig Perret Frank A. Alexander Jill E. Robinson 6f 1:08.80 $300,000 G2
1993 Montbrook 3 Clarence Ladner Dean Gaudet Israel Cohen 6f 1:08.60 $300,000 G3
1992 Superstrike 3 Danny Sorenson Bruce L. Jackson David R. Kruse 6f 1:09.80 $300,000 G3
1991 ハウスバスター 4 Craig Perret Warren A. Croll, Jr. Robert P. Levy 6f 1:08.60 $350,000
1990 Northern Wolf 4 Mike Luzzi Harold A. Allen Deep Silver Stable 6f 1:09.00 $350,000

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 英語版ウィキペディア
  2. ^ 訳は暫定的な仮訳です。日本で一般的に通用している訳がある場合には置き換えてください
  3. ^ 2014年時点ではリステッドレース扱いなので、グレード格付けの評価対象ではある。
  4. ^ 「セイフリィケプト」、「グリッターマン」、「ソーウィクリー」のいずれも暫定的なカナ転記です。出典に基づく他の転記法がある場合には置換してください。
  5. ^ ドフランシスはメリーランド州の馬産に貢献した人物だった。
  6. ^ Xtra Heat(2着)、Caller One(3着)、Delaware Township(6着)、Kona Gold(7着)

出典

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  1. ^ a b c d ICSC 2014年アメリカ 重賞競走2014年10月28日閲覧。
  2. ^ TOBA Announces U.S. Graded and Listed Stakesbloodhorse.com、2016年3月13日閲覧
  3. ^ EQUIBASE Frank J. De Francis Memorial Dash Stakes2014年10月28日閲覧。
  4. ^ 『世界の種牡馬』p164「イエスイッツトゥルー」
  5. ^ 『海外競馬完全読本2006-2007』p263「国際G1ミシュラン」
  6. ^ 『日本の種牡馬録8』p39「主要国重要レース」
  7. ^ 『ミスタープロスペクター事典』p253「スモークグラッケン」
  8. ^ Blue Grass Stakes to Return to Grade 1 Status”. bloodhorse.com (2022年1月28日). 2022年1月29日閲覧。
  9. ^ Blood Horse: 2011 Graded Stakes: 13 Fewer Than '10
  10. ^ EQUIBASE 2001年フランク・J・ドフランシス記念ダッシュ
  11. ^ ローレル競馬場公式 DE FRANCIS DASH2014年10月28日閲覧。

参考文献

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  • 『日本の種牡馬録8』白井透・著、サラブレッド血統センター・刊、1998
  • 『海外競馬完全読本2006-2007』海外競馬編集部・編、東邦出版・刊、2006、ISBN 978-4809405242
  • 『世界の種牡馬』(全訂第4版),加藤栄,東邦出版,2011 「Yes Its's True」
  • 『ミスタープロスペクター事典』,競馬通信社,1999
  • EQUIBASE