量子気体顕微鏡
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量子気体顕微鏡(りょうしきたいけんびきょう)とは光格子を用いて観察する顕微鏡。
概要
[編集]光格子を用いて光格子中に導入された強相関原子系の原子の空間分布を、単一サイトの分解能かつ単一原子の感度での観測を可能にすることで従来の手法では見えなかった試料の像が可視化される[1]。
対向した鏡の間で原子共鳴周波数から十分に離れた周波数のレーザーの反射を繰り返すことで、原子に対する周期的なポテンシャルとして機能する光定在波(光格子)が出来る[1]。光格子の周期は固体の周期よりも2桁も長く、原子の質量は電子の質量より3-5桁大きいため、光格子中のトンネリングは ms程度の極端に遅いレートで起こるので系のダイナミクスを実時間で追跡・観測できる[1]。
ボース・ハバードモデルに対しては、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)のような状態である超流動状態から、モット絶縁体(MI)相への転移に関してこれまで間接的に推測されていたことを目に見えるように確認出来る[2]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- Bakr, Waseem S., et al. "A quantum gas microscope for detecting single atoms in a Hubbard-regime optical lattice." Nature 462.7269 (2009): 74.
- Levi Barbara Goss, 高橋義朗「量子気体を顕微鏡でみる」『パリティ』第26巻第7号、丸善、2011年7月、28-32頁、ISSN 09114815、NAID 40018886821。
- 中本顕正, Miranda Martin, 野口篤史, 上田正仁, 上妻幹旺「24aEE-2 表面2次元Yb原子気体顕微鏡の構築(24aEE 量子エレクトロニクス(冷却原子(量子情報,光格子中の原子)),領域1(原子・分子,量子エレクトロニクス,放射線物理))」『日本物理学会講演概要集』第66巻、日本物理学会、2011年、187頁、doi:10.11316/jpsgaiyo.66.2.2.0_187_4、NAID 110008757908。
- Miranda Martin, 井上遼太郎, 中本顕正, 奥山勇貴, 上妻幹旺「23pAG-6 Yb原子量子気体顕微鏡の実現」『日本物理学会講演概要集』第70巻、日本物理学会、2015年、703頁、doi:10.11316/jpsgaiyo.70.1.0_703、NAID 110009989639。
- Mazurenko, Anton, et al. "A cold-atom Fermi-Hubbard antiferromagnet." Nature 545.7655 (2017).
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 小林淳, 蔡恩美, 山中修也, 櫻勇人, 山本隆太, 加藤宏平, 高橋義朗「分子の量子気体顕微鏡観測」『日本物理学会講演概要集』第71巻、日本物理学会、2016年、507-507頁、doi:10.11316/jpsgaiyo.71.2.0_507、NAID 130006246172。
- 量子気体顕微鏡でハバード反強磁性体を観測