バイエルンの高地から
『バイエルンの高地から』(From the Bavarian Highlands) 作品27は、エドワード・エルガーが作曲した合唱と管弦楽のための楽曲。『バイエルンの風景』とも呼ばれる。
概要
[編集]1894年の秋、エルガーは一家でオーバーバイエルン、中でも特にガルミッシュで過ごしており、その休暇の想い出に6曲からなり『バイエルンの高地からの情景』(Scenes from the Bavarian Highlands)と名付けられた合唱曲集を書き上げた[1]。エルガーの作曲した音楽に対して妻のキャロライン・アリス・エルガーが歌詞を付けた。詩の題材には「Volkslieder[注 1]とSchnadahüpfler[注 2]から採った」言葉が用いられており[2]、舞踊の精神を手本として書かれている[3]。アリスは休暇の間に訪れたお気に入りの場所の回想として、各曲に副題をあつらえた。この曲集は元来ピアノ伴奏用に編曲されたが(1895年)、後に管弦楽伴奏編曲が生まれた(1896年)。曲集は、エルガー一家が滞在したガルミッシュの宿を切り盛りしていたSlingsby Bethell夫妻に献呈されている[4]。
楽譜はノヴェロ社(Novello & Co)が出版を断ったため、ジョゼフ・ウィリアムズ社(Joseph Williams & Co.)から1895年12月に出版された[5]。
曲集の初演は1896年4月21日、作曲者自身が指揮するウスター音楽祭合唱協会の歌唱で行われた[6]。
楽曲構成
[編集]6曲は以下の通りである。
- The Dance (Sonnenbichl)[注 3] - アレグレット・ジョコーソ
- False Love (Wamberg) - アレグレット・マ・モデラート
- Lullaby (In Hammersbach) - モデラート
- Aspiration (Bei Sankt Anton) - アダージョ
- On the Alm[注 4] (True Love, Hoch Alp) - アレグロ・ピアチェーヴォレ
- The Marksmen (Bei Murnau) - アレグロ・ヴィヴァーチェ
後年、第1曲、第3曲及び第6曲は管弦楽用組曲『3つのバイエルン舞曲』としても出版されている。
演奏や録音は原典版のピアノ伴奏版、改訂版の管弦楽伴奏版のいずれによっても行われている。
脚注
[編集]注釈
出典
参考文献
[編集]- Kennedy, Michael (1987). Portrait of Elgar (third ed.). Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-284017-7
- Moore, Jerrold N. (1984). Edward Elgar: a Creative Life. Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-315447-1
- Young, Percy M. (1973). Elgar O.M.: a study of a musician. London: Collins. OCLC 869820