ハッセ=ダベンポートの関係式
数学において、 Davenport and Hasse (1935) によって導入されたハッセ=ダベンポートの関係式(ハッセ=ダベンポートのかんけいしき、英: Hasse–Davenport relations)とは、ガウス和に関する二つの関係式で、一つはハッセ=ダベンポートの持ち上げ関係式(Hasse-Davenport lifting relation)と呼ばれ、もう一つはハッセ=ダベンポートの積の関係式(Hasse-Davenport product relation)と呼ばれる。ハッセ=ダベンポートの持ち上げ関係式は、数論における異なる体上のガウス和に関連するある等式である。ヴェイユ予想に動機付けられ、Weil (1949) はこの式をある有限体上のフェルマー超曲面のゼータ関数を計算するために用いた。
ガウス和は有限体上のガンマ関数の類似物であり、ハッセ=ダベンポートの積の関係式は次のガウスの積公式の類似物である:
実際、ハッセ=ダベンポートの積の関係式は、p-進ガンマ関数と Gross & Koblitz (1979) のグロス=コブリッツの公式に対する類似の乗法的公式から得られる。
ハッセ=ダベンポートの持ち上げ関係式
[編集]F を q 個の元を持つある有限体とし、Fs を [Fs:F] = s であるような体とする。すなわち F 上のベクトル空間 Fs の次元は s である。
を のある元とする。
を、 から へのノルムで、次で定められるものとする。
今 を 上の乗法的指標で、 と、Fs から F へのノルムの合成で与えられるものとする。すなわち
とする。
ψ をある非自明な F の加法的指標とし、 を と、Fs から F への跡の合成であるような 上の加法的指標とする。すなわち
とする。
今
を F 上のガウス和とし、 を 上のガウス和とする。
このとき、ハッセ=ダベンポートの持ち上げ関係式は次で与えられる。
ハッセ=ダベンポートの積の関係式
[編集]ハッセ=ダベンポートの積の関係式は次で与えられる。
ただし ρ は q–1 を割る exact 位数が m の乗法的指標であり、χ を任意の乗法的指標、ψ はある非自明な加法的指標である。
参考文献
[編集]- Davenport, Harold; Hasse, Helmut (1935), “Die Nullstellen der Kongruenzzetafunktionen in gewissen zyklischen Fällen. (On the zeros of the congruence zeta-functions in some cyclic cases)” (German), Journal für Reine und Angewandte Mathematik 172: 151–182, ISSN 0075-4102, Zbl 0010.33803
- Gross, Benedict H.; Koblitz, Neal (1979), “Gauss sums and the p-adic Γ-function”, Annals of Mathematics. Second Series 109 (3): 569–581, doi:10.2307/1971226, ISSN 0003-486X, MR534763
- Ireland, Kenneth; Rosen, Michael (1990). A Classical Introduction to Modern Number Theory. Springer. pp. 158–162. ISBN 0-387-97329-X
- Weil, André (1949), “Numbers of solutions of equations in finite fields”, Bulletin of the American Mathematical Society 55 (5): 497–508, doi:10.1090/S0002-9904-1949-09219-4, ISSN 0002-9904, MR0029393 Reprinted in Oeuvres Scientifiques/Collected Papers by André Weil ISBN 0-387-90330-5