千鳥格子
千鳥格子(ちどりごうし)は、輪郭を崩したチェック模様(おおまかな方形のパターン)を持つ、二色からなる織り模様および染め模様[1]。白黒の場合が多いが、他の色の組み合わせも用いられる。通常の千鳥格子は、平面充填の一例である。
伝統的な千鳥格子は、縦糸と横糸をいずれも、4本の暗色の糸と4本の明色の糸を交互に繰り返す縞として配置し、それを単純な 2:2 の綾織、すなわち横糸が2本の縦糸の上を通った後に2本の下を通るようにし、横糸を一回通すごとにそれを縦糸一本分ずらしたものになっている。
現在分かっている最も古い千鳥格子の例は、スウェーデンの泥炭沼地から掘り出された紀元前360〜100年頃の[2]、Gerum Cloak という衣類である[3]。現在見られる千鳥格子は、スコットランド低地地方のツイードの模様が起源なのかもしれないが[4]、現代では羊毛以外の多くの織物でも使われている。1885年に開業したニューヨークの高級紳士服/婦人服店であるデ・ピナは、1933年春のメンズスーツ・コレクションの中で、ガンクラブ・チェックやタータン・チェックと共に千鳥格子を取り入れていた[5]。大柄の千鳥格子は、アレキサンダー・マックイーンの2009年の秋コレクションにて「豊穣のツノ」(Horn of Plenty) というコピーで華々しく使われた[6]。千鳥格子はクリスチャン・ディオールの特徴的なツイードのスーツでも使われている[7]。
「千鳥格子」という名称は、その模様が飛んでいる千鳥が連なっているように見えるところから来ている[8]。英語では“houndstooth”、“hounds tooth check”、“hound's tooth”、“dogstooth”、“dogtooth”、“dog's tooth”、“pied-de-poule”とも呼ばれ、小型のものは“puppytooth”とも呼ばれる[9]。織り模様を指す言葉として“houndstooth”が使われた用例は、1936年より前には記録がない[10]。
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彩色された大柄の千鳥格子を着た山崎あおい
脚注
[編集]- ^ “千鳥格子”. 大辞林. 三省堂. 2020年5月21日閲覧。
- ^ “Sveriges äldsta bevarade klädesplagg - Historiska Museet”. historiska.se. 2020年5月21日閲覧。
- ^ “Gerumsmanteln-Färganalys - Historiska Museet”. historiska.se. 2020年5月21日閲覧。
- ^ Dunbar, John Telfer: The Costume of Scotland, London: Batsford, 1984, ISBN 0-7134-2534-2, 1984 (paperback 1989, ISBN 0-7134-2535-0)
- ^ “Gun Club Checks”. The New Yorker (New Yorker Magazine, Inc.) 9: 28. (1933). OCLC 1760231 2011年10月9日閲覧。.
- ^ Eric Wilson (2009年3月11日). “McQueen Leaves Fashion in Ruins”. New York Times. 2015年11月2日閲覧。
- ^ Sarah Mower (2009年3月10日). “Fall 2009 Ready-to-Wear Alexander McQueen”. Vogue. 2015年11月2日閲覧。 “The clothes were, for the most part, high-drama satires of twentieth-century landmark fashion: parodies of Christian Dior houndstooth New Look and Chanel tweed suits [...]”
- ^ “千鳥格子”. 精選版 日本国語大辞典. 小学館. 2020年5月21日閲覧。
- ^ “Style hints & tips, everything a gentlemen needs to know about style - Charles Tyrwhitt”. www.ctshirts.co.uk. 2018年5月17日閲覧。
- ^ "Houndstooth". Dictionary. Merriam-Webster. 2019年9月3日閲覧。