ノート:セカイ系/本文記事整理作業
2007年5月17日 (木) 04:12 版の本文記事を17個の節に要約し、ノート:セカイ系/参考文献抜書のどの部分が対応するのかを示した。 「東2004b」などの記号はノート:セカイ系/参考文献抜書での出典整理記号
- ノート:セカイ系/作品リスト作業ページも参照のこと
(概要)
1.セカイ系の「セカイ」という言葉は、世界を意味する。
2.セカイ系では、主人公もしくは主人公を含む仲間達の少数の行動が、国家や超国家的組織になり代わって全世界の命運を左右してしまう。ここでいう「全世界」は地球全体、異世界全体、全宇宙、パラレルワールドさえ含む時空間全てなどである。
- 波状言論美少女
3.これらの主人公らの人間関係・内面的葛藤・行動等が社会を経ずに世界に直接影響する一連の作品群が「セカイ系」と呼ばれている。
- 浅羽、 東2004b、 長山、 波状言論美少女
4.セカイ系の作品では、主人公が非常に強いもしくは特殊な能力を持った10代の少年少女であることが多い。
5.なんらかの事情により全世界規模の危機的状況にあり、国家や国際機構は危機解決を行わないか危機を助長もしくは発生させている。世界の運命は主人公に握られている。
6.従来の“ヒーローもの”にみられた「世界的危機への対処の中心が国際的軍事組織や研究機関にあり、主人公はその命令に従って行動する」というような物語類型に対立している。
7.従来の物語類型に対して、主人公の責任は増大し、得られる援助の希少さから危機の困難さも増して、よりヒロイックな演出が可能となった。
8.主人公の行為は上位の機関から承認されておらず、人類救済や恋人や自分自身の救済など行為の正当性の根拠が主人公にとって重大な心理的問題となる。
9.これらの構造からセカイ系は社会的・哲学的テーマを導入することが容易になっている。また、個人の内面世界がクローズアップされている。
10.主人公やその周辺の視点のみでいっさいの状況が語り尽くせるほどに狭い「セカイ」の物語として完結している。
- 佐々木
11.精神世界や感情と世界とが直結している設定を特徴とする。登場人物のトラウマが強く全面に押し出される事が多い。個人がそのトラウマを克服出来るかどうかがそのまま世界を救えるかどうかに繋がることも多い。
(発生と過程)
12.セカイ系という単語の初出は2002年10月下旬からで、発言者は「ぷるにえブックマーク」のぷるにえであると言われている。
13.かつての勧善懲悪型の物語から、「正義」や「世界を守る」とは何か、と言うことを視聴者に問いかけるような作品が現れるようになり、『新世紀エヴァンゲリオン』によってその種の作品が爆発的に増加した。
14.「セカイ系」における主人公の悩み(弱さ)は、それまでの漫画やアニメ等に登場する、自分の存在・行動に迷いのない強い主人公への反動である。子供向け娯楽・勧善懲悪の啓蒙としてのアニメが、大人の鑑賞に耐えるメディア・正義の多義性や人生を語りうるアニメとなる上での必然でもある。
15.セカイ系は1990年代の時代背景の中、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のブームとともにジャンルとして形成された。
- 笠井2005、長山。また、セカイ系を「ポスト・エヴァンゲリオン」と呼ぶ例もあり(それは例えば元長でも紹介されており)セカイ系を『エヴァンゲリオン』の影響下に成立したとする言論は散見される。
16.小説『ブギーポップシリーズ』で提示された世界の危機という概念もセカイ系の確立に貢献した。
- 東2004a、
17.『エヴァンゲリオン』『ブギーポップ』『最終兵器彼女』の三作品がセカイ系というジャンルを確立した。
- 笠井2005や長山は『エヴァンゲリオン』を、東2004aは『ブギーポップ』を、元長は『ブギーポップ』と清涼院流水のJDCシリーズを、佐々木は最終兵器彼女』をジャンルの成立を促したものとして記述。