ネカマ
ネカマとは、ネットワークやSNS上で女性を装う男性のこと、またはその行為である[1][2][3]。「ネットおかま」が略語化されてできた言葉である[4][5]。
法学者の白田秀彰によれば、インターネットの黎明期から男性が女性を装う事例は存在しており、当時は女性のインターネット利用者が極端に少なかったこともあって女性であると自称しているものがいればまずネカマであるか疑うのが常識であった[6]。
ネカマの類義語として、「女性が男性を装う」ことはネナベという。「ネットおなべ」が略語化されてできた言葉である。しかし、「ネカマ」と異なり、詐欺等の犯罪行為や嘲笑目的に用いられるケースは珍しく、女性バレした際に言い寄らたり、舐められたり(見下されたり)、などの面倒事を避けるための自衛に用いられる[5]。
悪用
[編集]自分ではない女性の写真等の容姿を悪用した「なりすまし」の犯罪行為に該当する場合もあり、SNSや出会い系サイト上のやり取りだけで非対面状態なのに騙されてしまう男性の金銭等の搾取被害や、容姿を悪用された女性の被害等のネカマ犯罪が社会問題になっており、法的規制強化が求められている[3]。
友人間を含む囮捜査などネカマ行為に使うとの事前に明確な承諾証拠のあるケースを除き、女性の写真や動画等を使用したネカマ行為していた場合は名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪等に問われる。他人の写真等を使用し、金銭等の受け取った場合は詐欺罪に問われる[2][3]。本人が公開等した写真や動画であっても、ネカマ行為への悪用は無断転載・無許可使用行為であるために著作権侵害や肖像権侵害などの罪にもなる[7]。送付や投稿したネカマ悪用動画や画像が猥褻な場合は、わいせつ電磁的記録媒体陳列罪にも違反する。金銭等を得ていた場合はわいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布罪(わいせつ電磁的記録有償頒布目的所持罪)、ネカマ悪用された被害者女性が未成年の場合は児童ポルノ禁止法にも問われる[3]。
脚注
[編集]- ^ 浅井 2009.
- ^ a b 「政界往来」第66巻,p55 ,2000年。
- ^ a b c d 「すぐに役立つ 電子商取引から削除請求まで 図解とQ&Aでわかる 最新 ネットトラブルをめぐる法律とトラブル解決法 」p35-37, 2022
- ^ 「ネカマ」『知恵蔵』 。コトバンクより2021年5月14日閲覧。
- ^ a b 「THECHAT。 」p186 ,椙本孝思, 2006年
- ^ 白田秀彰 (2005年6月7日). “意思主義とネット人格・キャラ選択時代について”. 白田秀彰の「インターネットの法と慣習」. 2011年11月2日閲覧。
- ^ 「すぐに役立つ 電子商取引から削除請求まで 図解とQ&Aでわかる 最新 ネットトラブルをめぐる法律とトラブル解決法 」p39, 2022
参考文献
[編集]- 浅井, 亮子「情報通信技術が広げる性の多層性表出の可能性」『Informatics』第2巻第2号、明治大学、2009年、57-64頁。
関連項目
[編集]- なりすまし/肖像権
- バ美肉(バーチャル美少女セルフ受肉)
- 青識亜論#フェミニストなりすましアカウントの運用