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ニンジャ:インポッシブル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニンジャ:インポッシブル
Kommandør Treholt & ninjatroppen
監督 Thomas Cappelen Malling
脚本 Thomas Cappelen Malling
製作 Eric Vogel
出演者 Mads Ousdal
ヨン・オイガーデン
Linn Stokke
Amund Maarud
Henrik Horge
音楽 Gaute Tønder
撮影 Trond Høines
編集 Simen Gengenbach
配給 Euforia Film
公開 ノルウェーの旗 2010年8月13日
上映時間 77分
製作国  ノルウェー
言語 ノルウェー語
製作費 NOK 17,900,000 [1]
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ニンジャ:インポッシブル[2]ノルウェー語: Kommandør Treholt & ninjatroppen; : Norwegian Ninja)は、2010年に公開されたノルウェーのアクション・コメディ映画。監督はトーマス・キャペラン・マリング英語版

この映画は、2006年に書かれたマリングの書籍をもとにしており、スパイとして有罪判決を受けた存命の実在人物アルネ・トレホルト英語版を、冷戦下のノルウェーを救う忍者部隊のリーダーとして描いている。

概要

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この映画は、1985年にソビエト連邦とイラクのために働いたとして逮捕され、大逆罪とスパイ罪で有罪判決を受けたノルウェーの政治家・外交官アルネ・トレホルトをめぐる物語を、大雑把にもとにしている[3]。2006年、トーマス・キャペラン・マリングは Ninjateknikk II. Usynlighet i strid 1978(直訳「ニンジャテクニックII: 1978年の見えない戦争」)という本を書いた[4]。「1978年にトレホルトによって書かれた軍事マニュアル」という触れ込みで発売されたこの本は、5000部を売り上げて成功したと考えられ、カルト的地位を得た[5]

プロット

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東西冷戦下の1984年、両陣営の対峙の中で独立を維持するノルウェー。国王オーラヴ5世は、ノルウェーの独立を維持するために国王直属の秘密のニンジャ部隊「近衛忍者隊」を創設していた。ニンジャ部隊はトレホルト隊長の下、秘密基地で訓練にいそしむ。そんな中、CIA配下の諜報機関「SB」が、西側諸国で共産主義者のしわざに見せかけた大規模テロを行い(偽旗作戦)、NATOによるソ連へ軍事攻撃を誘発する陰謀を進めていることが察知される。ニンジャ部隊は「SB」の陰謀を阻止するための戦いに乗り出す。

キャスト

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(演者名 - 役名で表記)

制作

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トーマス・キャペラン・マリングには従来映画製作の経験がなかったが、2008年12月にノルウェー映画協会英語版はこの映画の制作を支援し1050万クローネを拠出すると発表した[5]。映画の原作となった書籍はパラレルワールドもので、オーラヴ5世がソ連と戦うために創設したニンジャ集団のリーダーをトレホルトが務める[6]。仮題は Nytt norsk håp (新しいノルウェーの希望)で、総予算は1900万クローネであった[5]。プロデューサーたちはこの物語を「1984年にトレホルトが逮捕される直前のできごと」としており、「冷戦期のノルウェーを守ったトレホルト隊長とニンジャ部隊の真実の物語」と謳っている[7]。マリング自身はこの作品を「歴史改変もの」("alternative history"、もう一つの歴史)と述べ、同時にあらゆる歴史は"alternative"(代替的なもの)であるとしている[8]。トレホルト自身は、書籍と映画の双方について承諾していると伝えられている[9]

この映画の不条理な設定は、公開前から多くのメディアの注目を集めた。ノルウェー最大部数の主要紙『アフテンポステン英語版』は2010年1月に、この映画がノルウェー映画の中で最も不条理な作品の1つとなるだろうと予測した[9]。最大のタブロイド紙『ヴェルデンス・ガング』は、プロデューサーのEric Vogelが「こんな映画はノルウェーに今までなかった。知ってる限りでは世界中どこにも!」と語ったと引用、またトレホルト役のMads Ousdalにもインタビューし、彼が演じた役は、実際のトレホルトがやったこととは全然違うと述べている[8]オーラヴ5世を演じたのは、コメディアンの Trond Viggo Torgersen である[6]

評価

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この映画は大きな興行的成功を収めたとは言えないが、いくつかの非常に良い批評を受けた。

ウォールストリートジャーナルのJ.S.マーカス(J.S. Marcus)は以下のように評した。

Hilarious and menacing, absurd and insightful, it is a novice work by a first-time director -- at times, almost a shot in the dark -- and an accomplished work of genre filmmaking that authoritatively upends the cold-war spy thriller.[10]
愉快にして恐ろしく、不条理にして洞察に満ちている。これが初作品という監督の未熟な作品であるが、冷戦スパイスリラーをしっかりとひっくりかえしてみせた、ジャンル映画として堂に入った作品である。

関連項目

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脚注

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  1. ^ Filmfond, Norsk (2008年12月18日). “Nytt norsk håp” (Norwegian). オリジナルの24 July 2011時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110724175845/http://www.filmfondet.no/icm.aspx?PageId=2194 2010年12月1日閲覧。 
  2. ^ 日本でのDVD(配給・彩プロ[1]、販売・ラインコミュニケーションズ[2])による名称
  3. ^ Halvor, Elvik (2008年12月14日). “Treholts svik, på nytt” (Norwegian). Dagbladet. http://www.dagbladet.no/nyheter/2008/12/14/558153.html 2010年3月26日閲覧。 
  4. ^ Tore, Rem (2006年10月16日). “Parodi for spesielt interesserte” (Norwegian). Dagbladet. http://www.dagbladet.no/kultur/2006/10/16/479840.html 2010年3月26日閲覧。 
  5. ^ a b c Jappée, Gjermund (2008年12月19日). “Treholt som norsk ninja” (Norwegian). Dagbladet. http://www.dagbladet.no/tekstarkiv/artikkel.php?id=5001080095074 2010年3月28日閲覧。 
  6. ^ a b Thorkildsen, Joakim (2010年3月26日). “Sjekk Trond Viggo spille kong Olav i ny film” (Norwegian). Dagbladet. http://www.dagbladet.no/2010/03/26/kultur/film/trond_viggo/11014307/ 2010年3月26日閲覧。 
  7. ^ Vogel, Eric (30 September 2009). “Cast and release date!”. Tordenfilm AS. 26 March 2010閲覧。
  8. ^ a b Selås, Jon (2009年8月13日). “Mads Ousdal er "Arne Treholt"” (Norwegian). Verdens Gang. http://www.vg.no/film/artikkel.php?artid=556722 2010年3月26日閲覧。 
  9. ^ a b Furuly, Jan Gunnar (2010年1月10日). “Rekordmange norske kinofilmer i 2010” (Norwegian). Aftenposten. http://www.aftenposten.no/kul_und/article3431876.ece 2010年3月26日閲覧。 
  10. ^ Marcus, J+S+ (23 July 2010). “Norway in Action”. Wall Street Journal. https://www.wsj.com/articles/SB127983224313020091 22 November 2010閲覧。 

外部リンク

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