ドン・ファン
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(ドン・ジュアンから転送)
ドン・ファン(スペイン語: Don Juan[1])は、17世紀スペインの伝説上人物。ティルソ・デ・モリーナの戯曲「セビリアの色事師と石の客」が原型。好色放蕩な美男として多くの文学作品に描写されている。プレイボーイ、女たらしの代名詞としても使われる[2]。 なお、「ドン」はスペイン語圏等における男性の尊称である。
概要
[編集]元になった伝説は簡単なもので、プレイボーイの貴族ドン・ファンが、貴族の娘を誘惑し、その父親(ドン・フェルナンド)を殺した。その後、墓場でドン・フェルナンドの石像の側を通りかかったとき、戯れにその石像を宴会に招待したところ、本当に石像の姿をした幽霊として現れ、大混乱になったところで、石像に地獄に引き込まれる。
この物語は、日本語では「ドン・ファン・テノーリオ[3]」(西: Don Juan Tenorio、スペイン語発音: [doɴ ˈχwan tenoɾjo] ドン・ホワン・テノリヨ)としても紹介されている。
「Don Juan」は日本語では、英語風に「ドン・ファン」(英: Don Juan[4])、イタリア語風に「ドン・ジョヴァンニ」(伊: Don Giovanni)、フランス語風に「ドン・ジュアン」(仏: don Juan[5][6])とも呼ばれる。
作品
[編集]- セビーリャの色事師と石の招客(戯曲)、ティルソ・デ・モリーナ(1630年)ドン・ファン・テノーリオ
- ドン・ジュアン (戯曲) - モリエールの戯曲。1665年発表。
- ドン・ジョヴァンニ(オペラ)、モーツァルト(1787年)
- ドン・ジュアン(評論/小説)、E・T・A・ホフマン(1814年)
- ドン・ジュアン(詩)、バイロン(1819-24年)
- 石の客(『小悲劇』中の一編)、プーシキン(1830年)
- ドン・フワン・テノーリオ(戯曲) 、ホセ・ソリーリャ(1844年)
- ドン・ジュアン(戯曲)、A.K.トルストイ(1862年)
- 石の客(オペラ)、ダルゴムイシスキー(1872年初演)
- 交響詩「ドン・ファン」(管弦楽)、リヒャルト・シュトラウス(1889年)
関連作品
[編集]- 『人と超人』(Man and superman)、ジョージ・バーナード・ショー - ヒロインに結婚を迫られる『革命家必携』の著者ジョン・タナーが、ドン・フアン・テノーリオに擬される。
- 『オペラ座の怪人』(Le Fantome de l'Opera )、ガストン・ルルー - 作中において「ドン・ファンの勝利」という演目がある。
- 『若きドン・ジュアンの冒険』(Les Exploits d'un jeune Don Juan)、ギヨーム・アポリネール - 1911年に匿名で出版された性愛文学作品、およびその映画化作品の題名。
- 『ドン・フアン(本人が語る)』( Don Juan (erzählt von ihm selbst))、ペーター・ハントケ - ドン・ファン本人の一日毎に語る過去1週間分の体験談が聞き手の料理人視点で綴られていく小説。
脚注
[編集]- ^ スペイン語発音: [doŋˈxwan] ドン・ホワン(ホアン/フワン/フアンに近い発音もみられる)
- ^ 『ドンファン』 - コトバンク
- ^ 『ドン・ファン・テノーリオ』(ホセ・ソリーリャ著、高橋正武訳、岩波書店、1949年、全国書誌番号:49012744)
- ^ イギリス英語発音:[ˌdɒn ˈhwɑːn] ドン・ファーン、アメリカ英語発音:[ˌdɑːn ˈhwɑːn] ダーン・ファーン(ホワーンに近い発音も見られる)
- ^ フランス語発音: [dɔ̃ʒɥɑ̃] ドンジュアン
- ^ イギリス英語発音:[ˌdɒn ˈdʒʊən] ドン・ジュアン、アメリカ英語発音:[ˌdɑːn ˈdʒʊənn] ダーン・ジュアン(ジュワンに近い発音も見られる)