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デヴィッド・グレーバー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
デヴィッド・グレーバー
デヴィッド・グレーバー(2015年)
生誕 デヴィッド・グレーバー
(1961-02-12) 1961年2月12日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市
死没 2020年9月2日(2020-09-02)(59歳没)
イタリアの旗 イタリアヴェネツィア
研究分野
研究機関
出身校
博士課程
指導教員
マーシャル・サーリンズ
主な業績
影響を
受けた人物
影響を
与えた人物
ウォール街を占拠せよ
主な受賞歴
プロジェクト:人物伝
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デヴィッド・ロルフ・グレーバー: David Rolfe Graeber1961年2月12日 - 2020年9月2日[1])は、アメリカ人類学者、 アナキストアクティヴィストロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの人類学の教授を務めた[2] 。妻がおり、グレーバーの死去を伝えたのも妻である[3]

『負債論──貨幣と暴力の5000年』、『官僚制のユートピア──テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』、『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』などの著作で知られる。

生涯

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1998年から2007年までイェール大学で人類学の助教および准教授として、 価値の理論や社会理論の研究に従事する。 在職期間中にイェール大学が契約を更新しないと決定した際には、学術界で論争が起こった。2007年から2013年まではロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ社会人類学を教えた。

2001年にはケベック・シティーの第3回米州首脳会議で、2002年にはニューヨーク世界経済フォーラムで抗議運動に加わる。2011年のウォール街を占拠せよ運動では指導的な役割を果たし、「私たちは99%だ(We are the 99%)」 のスローガンを考案したとされるが[4]、 グレーバー自身は「99%」の部分を考えただけで、他の人間がそれをスローガンに発展させたと述べている[5]

2020年9月2日、イタリアヴェネツィアの病院で死去。享年59[6]。グレーバーの最後の著書である『The Dawn of Everything: A New History of Humanity』は、デビッド・ウェングローブとの共著で、日本語訳「万物の黎明 人類史を根本からくつがえす」が2023年秋に出版された[7]

著作

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単著

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  • Toward an Anthropological Theory of Value: The False Coin of Our Own Dreams. (New York: Palgrave, 2001)
    『価値論 人類学からの総合的視座の構築』(藤倉達郎訳、以文社、2022年)
  • Fragments of an Anarchist Anthropology. (Chicago: Prickly Paradigm Press, 2004)
    『アナーキスト人類学のための断章』(高祖岩三郎訳、以文社、2006年)
  • Lost People: Magic and the Legacy of Slavery in Madagascar. (Bloomington: Indiana University Press, 2007)
  • Possibilities: Essays on Hierarchy, Rebellion, and Desire. (Edinburgh; Oakland: AK Press, 2007)
    『資本主義後の世界のために──新しいアナーキズムの視座』(高祖岩三郎訳、以文社、2009年)
  • Direct Action: An Ethnography. (AK Press, 2009)
  • Debt: The First 5000 Years. (Brooklyn, NY: Melville House, 2011)
    『負債論──貨幣と暴力の5000年』(酒井隆史監訳、高祖岩三郎・佐々木夏子訳、以文社、2016年)
  • Revolutions in Reverse: Essays on Politics, Violence, Art, and Imagination. (Minor Compositions, 2011)
  • The Democracy Project: A History, a Crisis, a Movement. (New York: Spiegel & Grau, 2013)
    『デモクラシー・プロジェクト──オキュパイ運動・直接民主主義・集合的想像力』(木下ちがや江上賢一郎原民樹訳、航思社、2015年)
  • The Utopia of Rules: On Technology, Stupidity, and the Secret Joys of Bureaucracy. (Melville House, 2015)
    『官僚制のユートピア──テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』(酒井隆史訳、以文社、2017年)
  • Bullshit Job: A Theory. (Penguin, 2018)
    『ブルシット・ジョブ──クソどうでもいい仕事の理論』(酒井隆史・芳賀達彦・森田和樹訳、岩波書店、2020年)

共著

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  • On Kings. (with Marshall Sahlins) (Hau Books, 2017) 〔『王たち』(マーシャル・サーリンズとの共著、以文社、刊行予定)〕
  • Revolution oder Evolution: Das Ende des Kapitalismus? (with Tomas Sedlacek) (trans.to German by Roman Chlupatý and Hans Freundl, Hanser, Carl GmbH + Co., 2015)
    『改革か革命か 人間・経済・システムをめぐる対話』(トーマス・セドラチェクとの共著、三崎和志・新井田智幸訳、以文社、2020年)
  • The Dawn of Everything: a New History of Humanity. (Written with David Wengrow) (Farrar, Straus and Giroux. 2021)
    『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』(デビッド・ウェングローブとの共著、酒井隆史訳、光文社、2023年)

没後刊行物・未刊書籍

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  • Anarchy—In a Manner of Speaking. Diaphanes. (September 2020). ISBN 9783035802269  Conversations with Mehdi Belhaj Kacem, Nika Dubrovsky, and Assia Turquier-Zauberman.[8]
  • Uprisings: An Illustrated Guide to Popular Rebellion. PM Press. (December 2020). ISBN 9781629638256  Written with Nika Dubrovsky.[9]
  • Pirate Enlightenment, or the Real Libertalia. Farrar, Straus and Giroux. (January 2023). ISBN 9780374610203 [10] 〔『啓蒙の海賊あるいはリバタリアの真実の歴史』(以文社、刊行予定)〕
  • A David Graeber Reader. PM Press  Coedited by Romy Ruukel.[11]
  • Whose Creative Energy? Action and Reflection in the Construction of Value. Ibunsha (in Japanese) and Berghahn Books (in English)  Coedited by Setsuko Nakayama.[11]

編著

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  • Shukaitis, Stevphen; Graeber, David, eds (2007). Constituent Imagination: Militant Investigations / Collective Theorization. Oakland, California: AK Press. ISBN 978-1-904859-35-2. OCLC 141193537 

学術論文

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ジャーナリズムや商業媒体に発表された論考

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その他・日本語訳された記事

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  • 「新しいアナーキズムの政治」(聞き手・訳:高祖岩三郎、『VOL 01 政治とはなにか/アヴァン・ガーデニング』、以文社、2006年)
  • 「新しいアナーキズムの哲学」(聞き手・訳:高祖岩三郎、『VOL 02 ベーシック・インカム/ドゥルーズ『シネマ』、以文社、2007年)
  • 「Cartographers After 9.11(vol.3.1)  アナーキスト人類学から見る社会 現実のあるがままを捉える/ニューヨーク論」(高祖岩三郎との対談、『新建築』83(16)、2008年12月号、32-35頁)
  • 「なぜエルドアンはイスラム国を助けるのか」(高祖岩三郎訳、『現代思想』43(20)、2016年1月号、240-244頁)
  • 「アナキズム、仕事、そして官僚制 デヴィッド・グレーバーへのインタビュー」(聞き手:アロ・ヴェルメット、芳賀達彦・酒井隆史訳、『現代思想』46 (10)、2018年6月号、43-53頁)
  • 「ブルシット・ジョブの上昇 デヴィッド・グレーバーへのインタビュー」(聞き手:S・ワイズマン、芳賀達彦・森田和樹・酒井隆史訳、『現代思想』46 (17)、2018年11月号、112-128頁)
  • 「いらない仕事が増える理由 「新しい仕事をつくり雇用を増やさなければならない」という社会の大きなプレッシャー」(大野和基訳、『Voice』492号、2018年12月号、154-163頁)
  • 〈黄色いベスト〉運動 私たちの足もとで地面は大きく動いている」(片岡大右訳、『世界』917号、2019年2月号、124-130頁。以文社ウェブサイトに転載、2020年5月公開)
  • 「序文」、アーニャ・フラッハ、ミヒャエル・クナップ共著『女たちの中東 ロジャヴァの革命 民主的自治とジェンダーの平等』(山梨彰訳、青土社、2020年)
  • 『パラサイト』はなぜ社会的不平等を描いた映画ではないのか 神の建築とクレイジーキルト」(ニカ・ドゥブロフスキーとの共著。片岡大右訳、以文社ウェブサイト、2020年8月公開)
  • 「根本的他性、あるいは「現実」について」(難波美芸訳、『思想』1158号、2020年10月号、岩波書店、7-58頁)
  • 「クソどうでもよくない仕事を求めて」(ブライアン・イーノとの対談。片岡大右訳、『tattva』3号、2021年、ブートレグ、110-129頁)
  • 「テレビインタビュー バットシット・コンストラクション : とち狂った建設について」(ロス・アシュクロフトとの対談。芳賀達彦訳、『福音と世界』77 (1)、2022年1月号、34-43頁)
  • 「負債、暴力、非人格的市場 ポランニー的省察」(佐久間寛訳、『負債と信用の人類学 人間経済の現在』佐久間寛編、以文社、2023年)

脚注

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  1. ^ Cain, Sian (September 3, 2020). “David Graeber, anthropologist and author of Bullshit Jobs, dies aged 59”. The Guardian. https://www.theguardian.com/books/2020/sep/03/david-graeber-anthropologist-and-author-of-bullshit-jobs-dies-aged-59 September 3, 2020閲覧。 
  2. ^ London School of Economics Department of Anthropology Staff List”. London School of Economics. September 30, 2013閲覧。
  3. ^ 「負債論」デヴィッド・グレーバー氏が死去”. 日刊スポーツ (2020年9月4日). 2023年10月23日閲覧。
  4. ^ Stuart Jeffries (March 21, 2015). “David Graeber: ‘So many people spend their working lives doing jobs they think are unnecessary’?”. The Guardian. https://www.theguardian.com/books/2015/mar/21/books-interview-david-graeber-the-utopia-of-rules?paging=off 
  5. ^ Cain, Sian (September 3, 2020). “David Graeber, anthropologist and author of Bullshit Jobs, dies aged 59”. The Guardian. https://www.theguardian.com/books/2020/sep/03/david-graeber-anthropologist-and-author-of-bullshit-jobs-dies-aged-59 September 3, 2020閲覧。 
  6. ^ 人類学者のデビッド・グレーバーさん死去 59歳 「負債論」が世界的反響”. 毎日新聞. 2021年9月26日閲覧。
  7. ^ 人類学者で『ブルシットジョブ』の著者であるデヴィッドグレーバー、59歳で死去”. Axion デジタル経済メディア (2020年9月4日). 2021年9月27日閲覧。
  8. ^ Anarchy—In a Manner of Speaking”. Diaphanes. 2020年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ2020年9月25日閲覧。
  9. ^ Uprisings: An Illustrated Guide to Popular Rebellion”. PM Press. 2020年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ2020年9月25日閲覧。
  10. ^ Pirate Enlightenment, or the Real Libertalia”. Macmillan Publishers. 2022年3月30日閲覧。
  11. ^ a b Curriculum Vitae”. DavidGraeber.industries (2017年). 2020年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ2020年9月25日閲覧。
  12. ^ ASA 2006 Panels - Keynote address” (2012年1月12日). January 12, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月16日閲覧。