ベンチオカーブ
ベンチオカーブ Benthiocarb | |
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S-(4-Chlorobenzyl) diethylcarbamothioate | |
別称 チオベンカルブ、サターン | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 28249-77-6 |
PubChem | 34192 |
ChemSpider | 31512 |
日化辞番号 | J3.483E |
KEGG | C14428 |
ChEMBL | CHEMBL388559 |
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特性 | |
化学式 | C12H16ClNOS |
モル質量 | 257.780 g mol−1 |
外観 | 淡黄色ないし茶色がかった黄色の液体 |
密度 | 1.145-1.180 g cm−3(20℃) |
融点 |
3.3 ℃ |
沸点 |
126-129 ℃(0.008トル) |
水への溶解度 | 28.0 mg/L(25℃) |
溶解度 | アセトン、エタノール、キシレン、メタノール、ベンゼン、ノルマルヘキサン、アセトニトリルに易溶 |
log POW | 3.42(オクタノール/水)[1] |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 165.8 °C |
半数致死量 LD50 | 1300 mg/kg(ラット、経口) 560 mg/kg(マウス、経口)[2] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
ベンチオカーブ(英: Benthiocarb、ベンチオカルブ)はチオカルバマートの一種。チオベンカルブ(英: Thiobencarb )とも呼ばれ、除草剤として用いられる。
用途
[編集]クミアイ化学工業が開発し、日本では1969年9月25日に農薬登録を受けた[3]。「サターン」の商品名で、主に水田のノビエやマツバイ、レタス畑での一年生雑草に対する除草剤として使用される[4]。ペンディメタリンやリニュロンとの複合剤も生産される。1999年の統計では日本国内で3207トンの原体が生産され、これは除草剤原体の生産量としては最大であった[3]。主な作用機序はオーキシンの活性阻害およびタンパク質(ジベレリン誘起α-アミラーゼ生合成)合成阻害による生育抑制や種子の発芽停止であるが、タンパク質合成阻害は選択性を持ち、ノビエに対してはイネの約14倍の強さで作用する[5][6]。
安全性
[編集]日本の毒物及び劇物取締法上は普通物扱いであるが、有機溶剤を含む製剤は消防法上の危険物第4類・第2石油類に該当することがある[7]。一日摂取許容量は0.009 mg/kg/日。コメ・豆類には0.05 ppm以下の残留基準が適用される。水質汚濁防止法上の排水基準は200 μg/L以下、環境基本法による環境基準および水道法による水質基準は基準はいずれも20 μg/L以下と定められている[3]。紫外線により速やかに光分解するが[8]、土壌中での分解半減期は100日を越えることがある[3]。本物質の乳剤の水生生物に対する有害性は、コイの半数致死濃度(LC50)が3.6 mg/L(96時間)、オオミジンコの50%効果濃度 (EC50)が2.70 mg/L(48時間)であり、長期的影響により水生生物に強い毒性を示すことがある[7]。
脚注
[編集]- ^ Tomlin, C.D.S. (ed.). The Pesticide Manual - World Compendium, 11 th ed., British Crop Protection Council, Surrey, England 1997, p. 1192
- ^ Worthing, C.R. and S.B. Walker (eds.). The Pesticide Manual - A World Compendium. 8th ed. Thornton Heath, UK: The British Crop Protection Council, 1987., p. 796
- ^ a b c d 『農薬毒性の事典 改訂版』p196
- ^ 製品情報-サターン乳剤(クミアイ化学工業)
- ^ 殺草特性と性質-ベンチオカーブ(公益財団法人日本植物調節剤研究協会)
- ^ 除草剤ベンチオカーブの作用機構(CiNii)
- ^ a b 製品安全データシート (PDF) (クミアイ化学工業)
- ^ 除草剤ベンチオカーブの光分解(CiNii)
参考文献
[編集]- 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044。
外部リンク
[編集]- 製品情報-サターン乳剤(クミアイ化学工業)