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ハイドロタルク石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダイアルミネートから転送)
ハイドロタルク石
ハイドロタルク石
蛇紋石を伴うハイドロタルク石(ノルウェーブスケルー県Modum Snarum。Size: 8.4 x 5.2 x 4.1 cm)
分類 炭酸塩鉱物
シュツルンツ分類 5.DA.50
Dana Classification 16b.6.2.1
化学式 Mg6Al2CO3(OH)16·4(H2O)
結晶系 三方晶系Trigonal crystal system
対称 Trigonal hexagonal scalenohedral
ヘルマン・モーガン記号H-M symbol): 32/m
空間群: R3m
単位格子 a = 3.07 Å, c = 23.23 Å; Z = 3/8;
晶癖 Subhedral platey crystals, lamellar-fibrous, rarely euhedral prismatic; commonly foliated, massive
へき開 {0001}, perfect
粘靱性 Flexible, not elastic
モース硬度 2
光沢 Satiny to greasy or waxy
White with possible brownish tint
条痕 白色
透明度 Transparent
比重 2.03 - 2.09
光学性 一軸性
屈折率 nω = 1.511 - 1.531
nε = 1.495 - 1.529
複屈折 δ = 0.016
その他の特性 Greasy feel
文献 [1][2]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ハイドロタルク石 (Hydrotalcite) は、炭酸塩鉱物の一種。結晶系三方晶系ハイドロタルカイトヒドロタルサイトヒドロタルシト[3]とも呼ばれる。天然に産出する粘土鉱物の一種である。

性質・特徴

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層状構造を持ち、層間に陰イオンを取り込む性質を持つ。人工物はこの性質を利用して、制酸剤や塩化ビニールの安定剤としての用途がある。

炭素の放射性同位体をマーカーにした実験では、空気中から1gあたり4ccの二酸化炭素を取り込んで、数日から1週間程度で元々保持していた炭酸イオンと交換している事が判明している。この交換は一方的な吸着や放出ではなく、循環して行われている。この性質は鉱物では初の発見である。また、二酸化炭素より分子径の小さな窒素は取り込まない事も判明している[4]

ハイドロタルク石グループ

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一般式

M18−xM2x(OH)16CO2·nH2O

で表される複水酸化物で、

M1 = Mg2+, Fe2+, Zn2+, Ca2+, Li2+, Ni2+, Co2+, Cu2+
M2 = Al3+, Fe3+, Mn3+

などの組成が知られる。5 ≤ x ≤ 2 程度といわれる。n ≥ 0(脱水により大きく変わる)。

  • デソーテルス石[3] (desautelsite) - Mg6Mn3+2(CO3)(OH)16·4H2O
  • ハイドロタルク石 (hydrotalcite) - Mg6Al2(CO3)(OH)16·4H2O
  • iowaite - Mg6Fe3+2(OH)16Cl2·4H2O
  • パイロオーロ石[3] (pyroaurite) - Mg6Fe3+2(CO3)(OH)16·4H2O
  • stichtite - Mg6Cr2(CO3)(OH)16·4H2O
  • takovite - Ni6Al2(CO3)(OH)16·4H2O
  • wermlandite - Mg7(Ca,Mg)(Al,Fe)2(SO4)2(OH)18·12H2O
  • zaccagnaite - Zn4Al2(CO3)(OH)12·3H2O

用途・加工法

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制酸剤有機合成における触媒として利用される。

制酸剤

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制酸剤はアルミニウムマグネシウム等の化合物で、合成ヒドロタルサイトと呼ばれる[5][6]胃酸中和し、胃粘膜を保護する。効能は下記における制酸。

副作用として、牛乳カルシウムを含むサプリメントと併用すると、ミルクアルカリ症候群を起こし、頭痛吐き気食欲不振を起こすことがある。また、腎機能が悪いと、体内にアルミニウムが蓄積し、アルミニウム脳症などを起こす危険性がある[5][6]透析を受けている人には用いない。

出典

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  1. ^ Hydrotalcite (英語), MinDat.org, 2012年8月14日閲覧 (英語)
  2. ^ Hydrotalcite (英語), WebMineral.com, 2012年8月14日閲覧 (英語)
  3. ^ a b c 松原聰宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年。ISBN 978-4-486-03157-4 
  4. ^ Dynamic Breathing of CO2 by Hydrotalcite Journal of the American Chemical Society
  5. ^ a b 合成ヒドロタルサイトとは
  6. ^ a b サモールN

関連項目

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外部リンク

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