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ヴラディーミル・ソフロニツキー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソフロニツキーから転送)
ヴラディーミル・ソフロニツキー
Влади́мир Софрони́цкий
基本情報
出生名 Влади́мир Влади́мирович Софрони́цкий
生誕 1901年5月8日(ユリウス暦4月25日)
ロシア帝国の旗 ロシア帝国 サンクトペテルブルク
死没 (1961-08-26) 1961年8月26日(60歳没)
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国 モスクワ
ジャンル クラシック音楽
職業 ピアニスト
担当楽器 ピアノ
アレクサンドル・スクリャービン

ヴラディーミル・ヴラディーミロヴィチ・ソフロニーツキィロシア語: Влади́мир Влади́мирович Софрони́цкий / Vladimir Vladimirovich Sofronitsky、1901年5月8日(ユリウス暦4月25日) サンクトペテルブルク1961年8月26日 モスクワ)は、ソビエト連邦ピアニストアレクサンドル・スクリャービンの信奉者にしてその演奏様式の継承者であり、その遺児エレーナと結婚した。

略歴

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物理学教師の父親と、貴族の出自の母親との間に生まれる。1903年ワルシャワに移り、ニコライ・ルビンシテイン門下のアンナ・レベデヴァ=ゲツェヴィチにピアノの手ほどきを受けた後、9歳からアレクサンデル・ミハウォフスキに師事。1916年から1921年までペトログラード音楽院レオニード・ニコラーエフに師事し、ディミトリー・ショスタコーヴィチマリヤ・ユーディナの同級生となる。ニコライ・メトネルにも師事。同級生の中に、スクリャービンの長女エレナ・スクリャービナがおり、二人は1917年に出逢ってから親交を深め、1920年に結婚した。

1919年に最初の公開演奏会を開き、1928年から1929年にかけて生涯唯一の国外演奏旅行をフランスにて行う。(ただし1945年には、急遽スターリンによってポツダム会談に派遣され、連合国の指導者に御前演奏を披露したことがある。)

1936年から1942年までレニングラード音楽院で、その後は没年までモスクワ音楽院で教鞭を執った。

演奏様式とレパートリー

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妻エレナと初めて出逢った時にはスクリャービンは鬼籍に入っていたため、ソフロニツキーは公的にも私的にも、生前に岳父と知り合うことはなかった。しかしながらスクリャービン未亡人ヴェーラによって、スクリャービンの後期作品の最も正統的な演奏家として認められた。ソフロニツキーの演奏は、即興的でニュアンスに富んだ雰囲気と、軽く柔らかいタッチにおいてスクリャービン本人の演奏の特色を受け継いでおり、実際にソフロニツキーによるスクリャービン作品の録音は、比類ない演奏として多くから認められている。

ソフロニツキーがそのほかにとりわけ親近感を抱いていた作曲家は、ショパンであった。あるインタビューに応じて、「ショパンへの愛情が自分の全人生を貫いている」と答えている。スクリャービンとショパンは別格としても、ソフロニツキーのレパートリーは、バッハからメトネルまでと幅広く、なおかつ19世紀から20世紀初頭に至るロシア音楽を主軸としていた。

受容と評価

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ソフロニツキーは西側において、全くと言ってよいほど演奏旅行を行わず、また録音も出回らなかったため、ほとんど無名の存在だったが、ソ連国内においては高い評価を受けていた。スヴャトスラフ・リヒテルエミール・ギレリスは、ソフロニツキーを巨匠と呼んで心酔していた。ある日のこと、ソフロニツキーが陶然として、「ギレリスは天才だ!」と叫んだ時、リヒテルは「ギレリスが天才ならあなたは神です」と答えたという。またギレリスは、ソフロニツキーの訃報に接した時、「世界で最も偉大なピアニストが亡くなった」と語ったと言われる。

ソフロニツキーの録音は、西側では少ししか入手することができない時代が20世紀末まで続いたため、リヒテルより幻の存在であった。BMGレーベルの“Russian Piano School (ロシアのピアノ楽派)”シリーズにおけるシューマンの演奏が、このピアニストの本質を良く捕らえており、摩訶不思議で夢見心地で、しかも移り気な表現が特徴的である。フィリップスの「20世紀の偉大なピアニスト」シリーズでは、ショパンマズルカワルツの繊細多感な解釈に加えて、スクリャービンの《トリル・ソナタ》や《焔に向かって》の圧倒的な演奏を聴くことができる。

日本では、デンオンから数々の音源がCDに復刻されていた。現在はVista Veraが遺された録音の全集の復刻作業を進めており、西側のみならず全世界で購買が可能となっている。ソフロニツキーの録音は、極めて強烈で個性的なピアノの魅力を効果的に引き出した、20世紀屈指の個性の記録である[1]

家族

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娘のヴィヴィアナ(Viviana Sofronitsky)はカナダやオランダへの留学を経て、現在はクラヴィーア奏者(チェンバロならびにフォルテピアノ奏者)として国際的な活動を続けている。

参考文献

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  • Piero Rattalino - capitolo Sofronitsky il leggendario, in Pianisti e Fortisti, Giunti-Ricordi 1999
  • Farhan Malik: Vladimir Sofronitsky: A Spiritual Interpreter, note al Cd Philips 456 970-2
  • ヴァレリア・ツェノヴァ (1 de enero de 1997). Underground Music from the Former USSR (en inglés). Psychology Press. ISBN 9783718658213.
  • Дельсон В. Владимир Софроницкий: Москва, Музгиз,1959.
  • Воспоминания о Софроницком: Сборник. — М.: Советский композитор, 1968.
  • Воспоминания о Софроницком: Сборник, 2 издание с изменениями, 1982
  • Поэт фортепиано: Сборник. ТИССО, 2003.
  • Вспоминая Софроницкого / Сост. Скрябин А., Никонович И. – М.: Классика XXI, 2008.
  • Богданов-Березовский В. М. Софроницкий // Встречи. — М.: Искусство, 1967. — С. 191—236. — 280 с. — 25 000 экз.
  • Черников О. Счастливый принц. // "Персона". 2000. №3; То же // "Музыка и время" - 2002. - №6.
  • О.Черников. Рояль и голоса великих. Серия: Музыкальная библиотека. Издательство: Феникс, 2011 г. Твердый переплет, 224 стр.ISBN 978-5-222-17864-5
  • Последний великий романтик фортепиано: Владимир Софроницкий издали и вблизи. СПб.: Центр гуманитарных инициатив, 2013.
  • The New Grove Dictionary of Music and Musicians. United Kingdom, United States: Oxford University Press.

脚注

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  1. ^ The New Grove Dictionary of Music and Musicians. United Kingdom, United States: Oxford University Press.

外部リンク

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