スロバキア内務省航空局
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設立 | 1993年 | |||
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ハブ空港 | ブラチスラヴァ空港 | |||
保有機材数 | 固定翼機:4機 回転翼機:3機 | |||
本拠地 | スロバキア・ブラチスラヴァ市 |
スロバキア共和国内務省航空局(LÚ MV SR, Letecký útvar Ministerstva vnútra Slovenskej republiky)は、スロバキア・ブラチスラヴァ市を本拠地とするスロバキア政府の航空事業体で、スロバキア共和国内務省憲法上要人および外交官保護庁(ÚODM MV SR, Úrad pre ochranu ústavných činiteľov a diplomatických misií Ministerstva vnútra Slovenskej republiky)の外局である。
概要
[編集]大統領・首相などの憲法で規定されている役職に就く憲法上要人(sk:Ústavný činiteľ)の輸送業務と内務省内の警察(警察隊、PZ)・消防救難(消防救助隊、HaZZ)・山岳救助(山岳救助サービス、HZS)および内務省危機管理室(SKR MV SR)が所管する市民保護(CO, Civilná ochrana)の各航空業務を主な業務とするほか、内務省の許可がある場合には商業航空運送やその他の目的で飛行することができる。本拠空港はブラチスラヴァ空港。スロバキア共和国内務省航空(Letka Ministerstva vnútra Slovenskej republiky)またはスロバキア共和国政府航空(Vládna letka Slovenskej republiky)とも呼ばれる。
憲法上要人輸送業務用の政府専用機と警察等4航空業務用のヘリコプターを運航しており、長く憲法上要人輸送業務用にツポレフTu-154MとヤコブレフYak-40、警察等航空業務用にミルMi-171を使用してきたが、2015年に警察航空業務用ベル429、2016年に憲法上要人輸送業務用エアバスA319およびネーデルランド・エアクラフトカンパニー製フォッカー100を導入した。内務省航空局の登録記号は"B"で始まる形式である。
憲法上要人輸送業務ではこれまでに、首脳専用機としてチリ、日本、アルゼンチン、オーストラリア、ニュージーランドに飛行したほか、人道支援や外国で事故や急病などに見舞われたスロバキア人の帰国輸送としてイラン、パキスタン、トルコ、スリランカ、ハイチ、エジプトなどへの飛行を行っている。発足以来航空事故は起きていなかったが、2017年5月10日、東部スロバキアのプレショウ県にある空軍基地用地内で警察業務用の新鋭ヘリコプターベル429が墜落大破し、2人が死亡する事故を起こした。
歴史
[編集]スロバキア共和国内務省航空局は、警察航空業務およびチェコスロバキア共産党幹部や政府高官、来訪外国首脳の航空輸送業務を目的としたチェコスロバキア社会主義共和国内務省航空課(スロバキア語:LO MV, Letecký oddiel Ministerstva vnútra)のブラチスラヴァ基地駐屯部隊として、1961年11月17日にブラチスラヴァ空港に設置された部隊を源流とする。
内務省航空課は救難業務を付加して1979年に連邦内務省航空管理部(スロバキア語:LS FMV, Letecká správa Federálneho ministerstva vnútra、対外名称・連邦内務省第8管理部)に改組されたのち、1988年、内務省内の国民保安隊航空管理部(スロバキア語:LS ZNB, Letecká správa Zboru národnej bezpečnosti)に移管された。
民主化に伴う国民保安隊解体を受けて1990年に航空管理部は業務ごとに分離され、高官輸送業務は国家航空局(スロバキア語:ŠLÚ, Štátny letecký útvar)に改組。警察航空業務は連邦内務省航空業務庁(スロバキア語:ÚFMV LS, Úrad FMV pre leteckú službu、1990年-1991年)に改組されたのち、連邦警察隊発足に合わせて連邦警察隊航空サービス(スロバキア語:LS FPZ, Letecká služba Federálneho policajného zboru、1991年-1992年)に再編。さらにチェコスロバキア連邦共和国の連邦制解消に伴い、両機関のスロバキア共和国内における業務を再統合して1993年1月1日、スロバキア共和国内務省航空局が発足した。
2005年には内務省直轄から同省の憲法上要人および外交官保護庁に移管されスロバキア共和国内務省憲法上要人および外交官保護庁航空輸送部(OLP, Odbor letecký prepravy ÚODM MV SR)に改称したが、翌2006年には同庁の外局に再編され、旧称のスロバキア共和国内務省航空局(LÚ MV SR, Letecký útvar MV SR zaradenie ÚODM MV SR)に復した。
保有機材
[編集](2019年11月現在)
憲法上要人輸送業務用
[編集]機種 | 機材数 | 写真 | 機体記号 | 注記 |
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エアバスA319 | 2 | OM-BYA OM-BYK |
Tu-154Mの代替機。 客室内は用途に応じて換装可能で、OM-BYA(2016年6月14日運用開始)は34席の要人輸送用のほか、旅客輸送用(74席)、医療用(5床)に、OM-BYK(2017年9月2日運用開始)は旅客輸送用(69席)、医療用(3床)にそれぞれ対応できる。チェコスロバキア建国に貢献したスロバキア人軍人、ミラン・ラスチスラウ・シュテファーニクの肖像をデザインに取り入れ、機体左側面は英語、右側面はスロバキア語で国名を表記している。 | |
フォッカー100 | 2 | OM-BYB OM-BYC |
Yak-40の代替機。OM-BYCは2016年9月26日から、OM-BYBは2017年1月29日から運用開始。OM-BYBは客室を医療用(1床)に換装可能。チェコスロバキア建国に貢献したスロバキア人軍人、ミラン・ラスチスラウ・シュテファーニクの肖像をデザインに取り入れ、機体左側面は英語、右側面はスロバキア語で国名を表記している。 |
警察・消防救難・山岳救助・市民保護航空業務用
[編集]機種 | 機材数 | 写真 | 機体記号 | 注記 |
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ベル429 | 1 (2) |
(OM-BYM) OM-BYD |
主に警察業務に使用。写真の1機目・OM-BYMは2017年5月10日、プレショウ空軍基地の軍用地内で乗員2人が死亡、4人が重傷を負う墜落事故を起こして失われた。黒塗装特別仕様のOM-BYD1機のみ運用。 | |
ミルMi-171 | 2 (4) |
OM-BYH OM-BYU (B-1717) (B-1730) |
Mi-2、Mi-8の代替機として2001年から2003年に導入。2015年、社会主義時代から長く続いた警察業務用の特別記号(B、Bezpečnosť:"保安"の頭文字)と数字の組み合わせによる特殊機体記号を廃止して国籍記号と登録記号によるICAO形式(B-1786→OM-BYH、B-1770→OM-BYU)に改定し、白・濃青の従来塗色を維持しつつ塗り分けをベル429・OM-BYMに合わせた新塗装に改めた(写真は旧記号・旧塗装時代)。OM-BYHは後部に貨物ハッチがある。B-1717、B-1730は2010年に退役、のち売却。 |
過去の機材
[編集]機種 | 機材数 | 写真 | 機体記号 | 注記 |
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ツポレフTu-154M | 2 | OM-BYO OM-BYR |
OM-BYRは1998年に対ソ連債権の現物償還としてロシアから譲受したもので、2012年に退役。OM-BYOは2017年に退役し、コシツェ航空博物館(コシツェ市)で保存されている。 | |
ヤコブレフYak-40 | 2 | OM-BYE OM-BYL |
OM-BYEはYak-40、OM-BYLはYak-40K。ともに2017年退役。OM-BYEはコシツェ航空博物館(コシツェ市)で保存されている。 | |
ミルMi-8 | 4 | B-8231 B-8427 B-8939 B-8532 |
B-8231、B-8427、B-8939はMi-8P、B-8532はMi-8PS-11。 | |
ミルMi-2 | 6 | B-2405 B-2406 B-2048 B-2744 B-2909 B-2950 |
B-2405およびB-2406はMi-2FM。 |