スランプ構造
スランプ構造(英語: Slump structure、英: Slumping structure[1])は主に海底における地すべりによって形成された構造のことである[2]。
スランプ構造の各種
[編集]スランプ構造は先述の通り地すべりによって形成された構造の総称であるが、その形状によっていくつかに細分されている。
スランプ褶曲
[編集]スランプ褶曲(英: Slump Fold)は複数の地層を巻き込んで形成された「流れ褶曲」の一種である[3]:144-145。堆積作用に関係なく形成されているかという点において、一般の褶曲とは以下の点で異なる。
また露頭においてはこれが示す走向・傾斜が上下の層と著しく異なることが多いため、注意が必要である。反対に一部のみが露出している場合は通常の堆積層と紛らわしいため、これをその露頭の走向・傾斜とすることは誤りであるが、露頭内で異常な走向・傾斜を示しているからといってスランプ褶曲であると断定してもならない。例えば断層による地層の引きずりなどによっても異常な走向・傾斜を示す[4]:33。
スランプ礫
[編集]スランプ礫(Slump rock、同時礫とも)はスランプ褶曲は地層が分断されずに連続しているのに対して、分断されて破片が基質中に分散している状況のものである[4]:33。
成因
[編集]スランプ構造は主にその層が堆積直後のため未固結である海底において発生する地すべり(英: submarine slump)によって形成される[3]:144-145[4]:33。小川 & 久田 (2005)によると、堆積性メランジュ[注釈 1]に限った話ではあるものの、粗粒であれば液状化が起こりやすいため、砂質のものが基質になりやすいとしている[5]:80。
スランプ構造の例
[編集]神奈川県三浦市海外町のスランプ構造
[編集]神奈川県三浦市海外町に所在する露頭の一つにはスランプ褶曲が認められる[6]:146。
神奈川県三浦市浜諸磯のスランプ礫
[編集]神奈川県三浦市浜諸磯の海岸においてはスランプ礫が認められる箇所が存在する。三浦層群三崎層のスコリア質砂岩を基質とし、ここに泥岩が含まれている[7]:29。
注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ 砕屑性堆積物研究会, ed (1983). 堆積物の研究法 -礫岩・砂岩・泥岩-. 地学双書. 地学団体研究会. NCID BN02157927. OCLC 673531170. 国立国会図書館書誌ID:84023898 全国書誌番号:84023898
- ^ Gerard V Middleton (2013-02-28). Encyclopedia of sediments & sedimentary rocks. Springer. doi:10.1007/978-1-4020-3609-5. ISBN 978-1-4020-3609-5. ISSN 1388-4360. OCLC 738624314
- ^ a b 天野一男; 狩野謙一 (2009). 日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会. ed. 構造地質学. フィールドジオロジー. 6. 共立出版. ISBN 978-4-320-04686-3. NCID BB00535778. OCLC 676218652. 国立国会図書館書誌ID:000010655976
- ^ a b c d 坂幸恭 (1993). 地質調査と地質図. 朝倉書店. ISBN 978-4-254-16234-9. NCID BN09040677. OCLC 47344393. 国立国会図書館書誌ID:000002244409 全国書誌番号:93037481
- ^ a b 小川勇二郎; 久田健一郎 (2005). 日本地質学会フィールドジオロジー刊行委員会. ed. 付加体地質学. フィールドジオロジー. 5. 共立出版. ISBN 978-4-320-04685-6. NCID BA73027781. OCLC 676413808. 国立国会図書館書誌ID:000007896079 全国書誌番号:20878002
- ^ 三浦市教育委員会, ed (1994) (PDF). 三浦の自然. オリジナルの2020-05-09時点におけるアーカイブ。 2020年9月27日閲覧。
- ^ “三浦半島のジオサイト” (PDF). 早稲田大学 (2013年). 2020年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月27日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- スランプ構造 - 絵で見る地球科学 - 産業技術総合研究所
- slump structure - Encyclopedia.com
- slump - ブリタニカ百科事典