スパイト
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(スパイト行動から転送)
スパイト(英: spite)とは、公平分割問題(ものを公平に分割する数学の問題のこと)において、他の参加者の配分が増加したときに、ある参加者の配分が減少する状況において、ある参加者が自己の配分をより減少させて、他の参加者の配分が、より少なくなることを選択すること。
「私が損をしているのだから、あんたも損をすべきだ」という心理から生まれる[1]。なおスパイトの原義は意地悪(wikt:spite)。
スパイトジレンマ、スパイト行動とも。
社会生物学
[編集]社会生物学では、スパイト行動は、行為者と周囲の両方に否定的な影響を与える社会的行動とされる。スパイトが血縁淘汰に有利に働くのは次のような場合である[2]。
- 行為者と十分に血縁関係にある第三者に間接的な利益をもたらす場合(ウィルソン型スパイト)
- 主に負の血縁関係にある個体に向けられる場合(ハミルトン型スパイト)
負の血縁とは、2つの個体が平均よりも低い血縁関係にあることである。
行動経済学
[編集]行動経済学では、相手の配分を減らすために、自己の配分を減らす行為をスパイト行動と呼ぶ[3]。
脚注
[編集]- ^ “日本人のマスク着用率の高さは、意地悪な性格の裏返し?スパイト行動とは”. Yahoo!ニュースオリジナル (2024年1月1日). 2024年4月23日閲覧。
- ^ Gardner, A.; West, S.A. (2004). “Spite and the scale of competition”. J Evol Biol. 17 (6): 1195-1203. doi:10.1111/j.1420-9101.2004.00775.x. PMID 15525404.
- ^ 西條辰義「日本人は「いじわる」がお好き?!」『THE KEIZAI SEMINAR』第611号、2005年12月、46-53頁、NAID 40007035758。
関連文献
[編集]- Foster, K.R.; Wenseleers, T.; Ratnieks, F.L.W. (2001). “Spite: Hamilton's unproven theory”. Annales Zoologici Fennici 38 (3/4): 229-238. JSTOR 23735842 .
- Gardner, A.; West, S.A. (2006). “Spite”. Current Biology 16 (17): R662-R664. doi:10.1016/j.cub.2006.08.015. PMID 16950082.