SPYDER 地対空ミサイルシステム
SPYDER | |
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SPYDER-SR ミサイル発射車両 | |
種類 |
短距離および中距離地対空ミサイル 自走式 |
原開発国 | イスラエル |
運用史 | |
関連戦争・紛争 | 南オセチア紛争 |
開発史 | |
開発者 |
ラファエル社 IAI社 |
製造業者 | ラファエル社 |
製造期間 | 2005年~ |
派生型 |
SPYDER-SR SPYDER-MR |
諸元 (弾頭部) | |
重量 |
105 kg (パイソン5) 118 kg (ダービー) |
全長 |
3.1 m (パイソン5) 3.62 m (ダービー) |
直径 |
160 mm (パイソン5) 160 mm (ダービー) |
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弾頭 |
11 kg (パイソン5) 23 kg (ダービー) |
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主兵装 | パイソン5 または ダービー 4連装 |
誘導方式 |
赤外線画像 (パイソン5) アクティブ・レーダー誘導 (ダービー) |
発射 プラットフォーム |
タトラ社製トラック メルセデス・ベンツ・アクトロストラック MAN TGSトラック スカニアPシリーズトラック 東風汽車公司製トラック |
SPYDER (Surface-to-air PYthon and DERby)は、イスラエルで開発された地対空ミサイルシステムの名称である。
概要
[編集]SPYDER地対空ミサイルシステムは、イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社およびイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ社(IAI社)によって開発された、短距離および中距離の地対空ミサイルシステムである。SPYDERは、Surface-to-air PYthon and DERby の文字を繋げた語で、その名が示す様に、ラファエル社で開発された航空機搭載用の空対空ミサイルである、パイソン5(短距離用)およびダービー(中距離用)を、地上発射式の地対空ミサイルとして運用するという構想の兵器である。SPYDERの主開発企業はラファエル社で、IAI社がこれに協力した。SPYDERは2005年に行われたテストでテスト用の標的にミサイルを命中させる事に成功し、これ以降、世界各国の防衛・安全保障展示会(兵器見本市)に出展されている。
SPYDERは、低高度で侵攻してくる航空機、ヘリコプター、UAV、ミサイル、誘導爆弾などに対し即応して迎撃を行う防空兵器として開発されており、固定式あるいは自走式としての運用が可能である。自走式の場合、タトラ社製トラック、メルセデス・ベンツ・アクトロストラック、MAN社製TGSトラック、スカニア社製Pシリーズトラック、東風汽車公司製トラックなど、民生品の非装甲トラックを改造しての搭載・運用が可能となっている。また、SPYDERの発射機は、航空機搭載型のパイソン5、ダービー空対空ミサイルをそのまま使用可能である。
SPYDERには2種類のバージョンがあり、それぞれSPYDER-SR(short range、短距離型)、SPYDER-MR(medium range、中距離型)と呼称される。いずれのバージョンも即応可能、全天候対応、ネットワーク情報共有、4連装のランチャー装備、自走式、といった特徴は同じである。SPYDER地対空ミサイルシステムの標準的な構成としては、1台の指揮車両に対して6台のミサイルランチャー装備車両、および1台のミサイル弾頭運搬・再装填車両、といったものになる。
SPYDER-SRにはエルタ社製EL/M-2106 ATARレーダーが使用され、SPYDER-MRには同じエルタ社のEL/M-2084 MMRレーダーが使用される。後者のレーダーは、イスラエル軍で運用されている"アイアンドーム"ミサイル防空システムと同じ物である。SPYDER-SRの対応高度は9km、有効射程は15kmであり、SPYDER-MRの対応高度は16km、有効射程は35kmである。
SPYDERはインド、シンガポールに導入されたほか、グルジア軍でも使用され、2008年の南オセチア紛争に投入された。
使用国
[編集]参考記事
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 288. ISBN 978-1-032-50895-5