ジルベール・ウングボ
ジルベール・F・ウングボ Gilbert F. Houngbo | |
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国際労働機関第11代事務局長 | |
就任 2022年10月1日 | |
前任者 | ガイ・ライダー |
国際農業開発基金第6代総裁 | |
任期 2017年4月1日 – 2022年7月8日 | |
前任者 | カナヨ・F・ヌワンゼ |
後任者 | アルバロ・ラリオ |
トーゴ共和国第10代首相 | |
任期 2008年9月8日 – 2012年7月23日 | |
大統領 | フォール・ニャシンベ |
前任者 | コムラン・マリー |
後任者 | クエシ・アオメイ=ズュニュ |
個人情報 | |
生誕 | 1961年2月4日(63歳) トーゴ共和国 中央州アグバンディ |
政党 | 無所属 |
出身校 | ロメ大学 ケベック大学トロワリヴィエール校 |
ジルベール・フォッスン・ウングボ[1][注 1](Gilbert Fossoun Houngbo、1961年2月4日 -)は、トーゴの政治家、会計士、国際公務員。2008年から2012年までトーゴの首相を務めた。2000年代より国際連合機関で活動しており、2017年より5年間国際農業開発基金 (IFAD) 総裁を務め、2022年には国際労働機関 (ILO) 事務局長に就任した[7]。
経歴
[編集]1961年、トーゴ中部の町アグバンディに誕生[8]。首都ロメにあるベナン大学(現ロメ大学)で経営学を学んだ後カナダのケベック州に移り、トロワリヴィエールにあるケベック大学トロワリヴィエール校で会計学・財務学を修めた[7]。
カナダ勅許会計士協会の会員となり、1986年から1993年までプライス・ウォーターハウスに勤務[7]。1994-96年にマリ共和国首都バマコのマリ国際銀行で財務部長を務めた後、国際連合開発計画 (UNDP) に転出し事務次長補やアフリカ地域局長などを歴任した[7]。
2008年9月、トーゴのコムラン・マリー首相が辞任すると、ウングボはフォール・ニャシンベ大統領により新首相に任命された[9]。47歳での就任当時、財務・金融に関するキャリアは豊富だったものの政治家としての経験はなく、国民の間ではあまり知られていない人物だった[9]。9月15日に第1次ウングボ内閣が成立し、マリー前首相は保健大臣に任命された[10]。
2010年3月4日の大統領選挙でニャシンベは再選し5月3日に就任宣誓した[11]。ウングボはそれに伴い首相を一度辞任したが[12]、ニャシンベ大統領により再度任命され[13]、5月7日に第2次ウングボ内閣が発足した[14]。第2次内閣ではニャシンベ率いる与党のトーゴ人民連合 (RPT) とジルクリスト・オリンピオ(初代大統領シルバヌス・オリンピオの息子)率いる野党の変革勢力同盟 (UFC) との協議により、UFCにも閣僚ポストが用意されることとなった[15]。
2012年7月23日、ウングボは首相を辞任し、クエシ・アオメイ=ズュニュ貿易大臣が新たな首相となった[16]。辞任の理由については公表されていないが、与党が過半数を占める国民議会において、選挙法の特定の条項を改正し、議会の定数を81人から91人に増やす法律が採択されたことが、野党連合「トーゴを救え」 (CST) からの反発を招いたことが関係しているとみられる[17]。
2013年、ウングボは国連に復帰[7]。ILOの副事務局長(フィールドオペレーション・パートナーシップ担当)となり、同年9月に欧州議会国際貿易委員会 (INTA) においてバングラデシュの労働条件・安全衛生基準についての演説をおこなった[18]。11月にはエチオピアのアディスアベバで開催された「持続可能な開発目標に関するアフリカ地域協議」において演説した[19]。
2017年4月1日にIFADの第6代総裁に就任し、2021年2月に再選された[7][20][21]。この他に、国連水関連機関調整委員会 (UN-Water) 議長や[20]、天然資源ガバナンス研究所 (NRGI) 理事長、国際塩水農業研究センター (ICBA) の理事も務めている[7]。IFAD総裁として2017年7月と2019年8月に日本を訪問している[22][23]。
2022年3月25日、第344回ILO理事会(正理事56人、副理事66人、計122人)のうち投票権を有する正理事56人による次期事務局長選挙が実施された[24]。5人の候補者のうち、康京和(韓国前外交部長官)、ムトゥンジ・ムトワバ(南アフリカ共和国の起業家、前ILO理事会使用者側副議長)、グレッグ・ヴァインズ(ILO管理運営・改革担当事務局次長、オーストラリア出身)の3人が第1回投票で敗退、第2回投票にてウングボが前フランス労働大臣ミュリエル・ペニコーを30票対23票で破り、アフリカ出身者として初めてILO事務局長に選出された[25]。2023年4月、岡山県倉敷市で開催された「G7倉敷労働雇用大臣会合」に出席するため訪日し、岸田文雄首相や林芳正外相、国際協力機構 (JICA) の田中明彦理事長らと会談した[26][27][28]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ トーゴ新聞 (PDF) - トーゴ共和国大使館、2011年7-8月
- ^ カン・ギョンファ前外相、ILO事務局長選への出馬表明…当選すれば女性・アジア初 - ハンギョレ新聞(2021年10月2日)
- ^ アフリカにおける紛争予防と人間の安全保障 (PDF) - 峯陽一著、国際協力機構 (JICA) 刊「国際協力研究 Vol.24 No.1(通巻47号)特別号」29頁(2008年4月)
- ^ 月刊アフリカニュース (PDF) (2022年4月15日 No.114) - 一般社団法人アフリカ協会
- ^ 日本政府による対UNDP拠出額の動向 アフリカにおけるUNDPプロジェクトへの拠出額が急増 - 国連開発計画 (UNDP) 駐日代表事務所(2006年4月28日)
- ^ 国連加盟国が「国際ケアデー」に合意: ジェンダー平等と持続可能な社会のための中間地点 - UNウィメン日本事務所(2023年10月30日)
- ^ a b c d e f g Biography of Gilbert F. Houngbo , 11th ILO Director-General(第11代ILO事務局長ジルベール・F・ウングボの経歴) - 国際労働機関(2024年4月3日)
- ^ OIT : Un Africain devient directeur général, une première(ILO、初のアフリカ人事務局長就任) - Africa World Radio(2022年3月27日)
- ^ a b Gilbert Fossoun Houngbo, "l'oiseau rare"(ジルベール・フォッスン・ウングボ、「ロワゾー・ラール(珍しい鳥)」) - トーゴ共和国政府(2008年9月9日)
- ^ L'équipe autour de Gilbert Fossoun Houngbo(ジルベール・フォッスン・ウングボを中心としたチーム) - トーゴ共和国政府(2008年9月15日)
- ^ Faure Gnassingbe formally declared president of Togo(フォール・ニャシンベがトーゴ大統領就任を正式に宣言) - ReliefWeb(2010年5月3日)
- ^ Togolese Government resigns(トーゴ内閣総辞職) - トーゴ共和国政府(2010年3月6日)
- ^ Houngbo re-appointed(ウングボ再任) - トーゴ共和国政府(2010年5月7日)
- ^ Houngbo II(第2次ウングボ内閣) - トーゴ共和国政府(2010年5月7日)
- ^ Historic agreement between the RPT and the UFC(RPTとUFCの歴史的合意) - トーゴ共和国政府(2010年5月27日)
- ^ Pas d’autre solution que le dialogue et la concertation(対話と協議の他に解決策なし) - トーゴ共和国政府(2023年7月23日)
- ^ Togo: démission du Premier ministre Gilbert Houngbo(トーゴのジルベール・ウングボ首相が辞任) - Jeune Afrique(2012年7月12日)
- ^ ILO Deputy Director General Houngbo addresses European Parliament on Bangladesh garment industry(ILOのウングボ副事務局長がバングラデシュの衣料品産業について欧州議会で演説) - 国際労働機関(2013年9月17日)
- ^ Speech by Mr. Gilbert F. Houngbo, Deputy Director-General, International Labour Office (PDF) (国際労働機関のジルベール・F・ウングボ副事務局長によるスピーチ) - アフリカ経済委員会
- ^ a b Gilbert F. Houngbo (PDF) - 国際農業開発基金
- ^ International Fund for Agricultural Development (IFAD) - Twelfth Replenishment and reappointment of Mr Gilbert Houngbo as President (16-18 Feb. 2021) (IFAD、第12次増資およびジルベール・ウングボ総裁の再選) - フランス外務省
- ^ ウングボ国際農業開発基金総裁による小田原外務大臣政務官表敬 - 日本外務省(2017年7月28日)
- ^ ウングボ国際農業開発基金総裁による鈴木外務大臣政務官表敬 - 日本外務省(2019年8月28日)
- ^ 第11代ILO事務局長にトーゴ出身のジルベール・F・ウングボIFAD総裁を選出 - 国際労働機関(2022年3月25日)
- ^ Le Togolais Gilbert Houngbo devient le premier Africain à prendre la tête de l’OIT(トーゴのジルベール・ウングボがアフリカ人として初めてILO事務局長に就任) - ル・モンド(2022年3月25日)
- ^ ウングボ国際労働機関(ILO)事務局長による岸田総理大臣表敬 - 日本外務省(2023年4月24日)
- ^ ウングボ国際労働機関(ILO)事務局長による林外務大臣表敬 - 日本外務省(2023年4月24日)
- ^ 田中理事長が国際労働機関(ILO)のジルベール・F・ウングボ事務局長と会談 - 国際協力機構(2023年4月26日)
外部リンク
[編集]- Gilbert F. Houngbo (@gilbertfhoungbo) - X(旧Twitter)