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シンプソンの公式(シンプソンのこうしき、英: Simpson's rule)とは、数値解析の分野における、数値積分の方法の一つである。定積分
の近似値を、関数 f(x) を二次関数で近似することによって得る。名前は、トーマス・シンプソンに因んでいる。次数2の閉じたニュートン・コーツの公式である。シンプソン則ともいう。
シンプソンの公式は、f(x) を二次関数 P(x) で近似することによって導かれる。ここで、P(x) は f(x) の a, b, m における値をそれぞれとる[1]。P(x) は、ラグランジュ補間によって、次の多項式(x の二次式)になることが分かる。
この多項式を範囲 [a, b] で積分すると、次のシンプソンの公式が得られる。
シンプソンの公式による、積分の近似の誤差は、a と b の間にある ξ によって、次式で見積もれる(h の5次式)。
ただし、h = (b − a)/2。さらに f(x) が2回微分可能で f'' が凸関数であるとき、定積分は次の下限と上限とで抑えられる。
シンプソンの公式は、積分範囲 [a, b] が十分小さい場合であれば適当な近似であることが分かる。したがって、積分範囲が大きい場合は、積分範囲を小さな部分区間に分割し、各部分区間についてシンプソンの公式を適用し、その結果を足し合わせるという方法が考えられる。この方法は、合成シンプソン公式(composite Simpson's rule)として知られている。
ただし、n は [a, b] を等しく偶数個に分割した部分区間の個数、h = b − a/n は各部分区間の長さ、xi = a + ih (i = 0, ..., n)、特に、x0 = a, xn = b。この式は、次のようにも書ける。
合成シンプソン公式に基づく最大誤差は、次式で見積もることができる。
- Burden, Richard L. and Faires, J. Douglas (2000). Numerical Analysis, (7th Ed). Brooks/Cole. ISBN 0534382169